今年5月の米国中西部のミネアポリスでの警官による黒人男性暴行死事件は、8年前の2012年のフロリダ州での黒人少年が自警団に射殺されながら自警団の男性には無罪判決が出たことに対して抗議していたBLM運動と呼応し、全米で抗議運動が始まると共に、植民地政策で利益を得ていた西欧各国にも拡散して、新型コロナ感染症で外出自粛が呼び掛けられている中で世界的な広がりを見せました。
このBLMは“Black Lives Matter”の略ですが、“Black Lives Matter”については、何とかニュアンスは判るものの、日本語にした場合「黒人の命は大事」なのか「黒人の命も大事」の何れが適切なのか判断できなかったので、元の“Black Lives Matter”のまま使っていました。
私が、悩んだのは、
「黒人の命は大事」だとすると、黒人以外の人の命は大事では無いのか?
「黒人の命も大事」だとすると、黒人は付け足しか?
というような、事でした。
8月7日の毎日新聞夕刊の1面トップに、これに関して「黒人の命は{①は ②も}大事」との大きな見出しで触れられていました。これで私の悩みもある程度整理できましたが、この記事を目にされておられない方も多いかと思いますので、ポイントだけを下記しますと、
◆柴田元幸氏(現代米国文学翻訳者)の意見
・「黒人の命も」は、白人の命がまず大事という前提になる
・「黒人の命こそ」は、黒人の命のみが強調され、いわばひいき引き倒しになる
・「黒人の命は」は、「黒人は人間だ」というのと同じような不自然さがある
※ 翻訳はちゃんと考えれば一つの正解に辿りつけるものではない
◆坂下史子氏(アフリカ系米国人の歴史研究家)
・あえて訳さず、カタカナのままが良い
※ 言葉の先にある複雑な意味を考える為には、簡単に答えを出せない方がいいのではないか
◆ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)
・「黒人の命を軽く見るな」
※ 英語で良く遣われる“It does not matter”(気にしないで、大したことない)の反対と考えた
◆「Letters for Black Lives」(黒人差別地手のに資料を作成・翻訳するプロジェクト)
・今までの「黒人の人たちの命を大切に」を6月から「黒人の命を尊重しろ」に変更
◆矢口祐人氏(米国研究家)
・米国の保守層では、“Black Lives Matter”に対して、“All Lives Matter”という言葉を使う人もいる、(一見真っ当な意見に思えるが)黒人差別への抗議に対しては議論のすり替えだ
というような意見が紹介されていますが、“Lives”には“単に「命」だけでなく、暮らしや生きること全般”と言う意味もあり、この言葉が用いられた背景には黒人が不平等な扱いを受ける仕組みや安心して生活できない事への抗議が込められている事を理解するとともに、どんな言葉を使うかよりもこの問題に関心を持つ事が大切だ
と述べられています。
何時も感じているのですが、何気なく使っている言葉の意味や背景を確認しておかねば、表面だけの薄っぺらな理解になるのでしょう。(まさ)
このBLMは“Black Lives Matter”の略ですが、“Black Lives Matter”については、何とかニュアンスは判るものの、日本語にした場合「黒人の命は大事」なのか「黒人の命も大事」の何れが適切なのか判断できなかったので、元の“Black Lives Matter”のまま使っていました。
私が、悩んだのは、
「黒人の命は大事」だとすると、黒人以外の人の命は大事では無いのか?
「黒人の命も大事」だとすると、黒人は付け足しか?
というような、事でした。
8月7日の毎日新聞夕刊の1面トップに、これに関して「黒人の命は{①は ②も}大事」との大きな見出しで触れられていました。これで私の悩みもある程度整理できましたが、この記事を目にされておられない方も多いかと思いますので、ポイントだけを下記しますと、
◆柴田元幸氏(現代米国文学翻訳者)の意見
・「黒人の命も」は、白人の命がまず大事という前提になる
・「黒人の命こそ」は、黒人の命のみが強調され、いわばひいき引き倒しになる
・「黒人の命は」は、「黒人は人間だ」というのと同じような不自然さがある
※ 翻訳はちゃんと考えれば一つの正解に辿りつけるものではない
◆坂下史子氏(アフリカ系米国人の歴史研究家)
・あえて訳さず、カタカナのままが良い
※ 言葉の先にある複雑な意味を考える為には、簡単に答えを出せない方がいいのではないか
◆ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)
・「黒人の命を軽く見るな」
※ 英語で良く遣われる“It does not matter”(気にしないで、大したことない)の反対と考えた
◆「Letters for Black Lives」(黒人差別地手のに資料を作成・翻訳するプロジェクト)
・今までの「黒人の人たちの命を大切に」を6月から「黒人の命を尊重しろ」に変更
◆矢口祐人氏(米国研究家)
・米国の保守層では、“Black Lives Matter”に対して、“All Lives Matter”という言葉を使う人もいる、(一見真っ当な意見に思えるが)黒人差別への抗議に対しては議論のすり替えだ
というような意見が紹介されていますが、“Lives”には“単に「命」だけでなく、暮らしや生きること全般”と言う意味もあり、この言葉が用いられた背景には黒人が不平等な扱いを受ける仕組みや安心して生活できない事への抗議が込められている事を理解するとともに、どんな言葉を使うかよりもこの問題に関心を持つ事が大切だ
と述べられています。
何時も感じているのですが、何気なく使っている言葉の意味や背景を確認しておかねば、表面だけの薄っぺらな理解になるのでしょう。(まさ)