Petri Mount Adapter:
写真を撮りながら、古いレンズを訪ね歩いて来た。それとなく入手しているうちに集めるともなく集まってきて、今ではすっかりコレクターかと見紛うほど。そんな中でもPetriのレンズは何ともやっかいだった。第一にMount Adapterが無い。皆さんあれこれ工夫してAdapterを作っているようだが、自分もそれを真似てやってみた。それでも、部材費がチビチビと積もり積もって結構お金は掛かる。
にも関わらず、どうも今一つお気に召さない。不安定、不格好、いかにも粗雑で怪しい等。それで、最終的には自分なりに設計、製図して金属加工屋さんに作ってもらうという暴挙に出た。カネの糸目などすっかり忘れている。金属加工屋さんもさぞかし迷惑であったかと思うが、何とか付き合ってくれて、出来上がったのがコチラ。Adapterの構成部品は以下A~Cの3点。
A:Petri Camera Body(FTE等)から外して移設したMount受け部。
取り付けは、Camera Bodyから外した時のネジ(CPM2)をそのまま使用して取り付ける。
B:今回新規に設計、製作したアルミ素材の接続部(黒・クロメート艶消し仕上)。
C:L39-NEX Adapter/中国製の市販品。
L39側のリング(M3イモネジ3点止め)を外して、代わりにB(接続部)を組み込む。
L39-NEX 変換AdapterをベースにしてPetri Mountを乗せたものである。単純に、CameraのBodyからMount受け側を外して載せ替えればよい。勿論、無限遠点は確保している。指標も真上に合わせることが出来るという優れものだ。詳細設計を四回もやり直して出来上がった力作である。(この顛末は機会があれば、いずれ記事にしたいと思っているが)しかし、「お高い」処ではない。まったく道楽にも程があると自戒するのだが。
特殊ドライバー:
PetriレンズのMountは3点ネジ止めだが、その1本が位置決めピンと兼用で、最初からこれでは先が思いやられるが、ちょっと特殊なドライバーがないと外せないのである。ピンセットやラジペン等で外そうとすると、たちまち傷だらけになり、外すだけならともかく、再び取り付けることを考えれば、どうしても綺麗に外す必要がある。これも、皆さんいろいろ考えて工夫しているが、これだという方法は見当たらない。
位置決めピンをノギスで測定してみると、ピンはφ1.7mm、ネジ部フランジ外径はφ3mmである。そこで、或る日東急ハンズに出掛けて、何かないかとブラブラしてみた。φ3mm、30cmの真鍮パイプ(283円)というものがあった。中空で、何だか位置決めピンにピッタリのような気配が・・・。
もし、ピンに合わなかったらドリルで少し広げよう等と思いながら、1本購入した。早速当ててみたら、何とピッタリではないか。真鍮パイプの中空は、どうやらφ1.8mmらしい。
真鍮パイプを精密ドライバーと同じ程度の長さ120mmに切断し、先端をヤスリ1本で加工してみた。とにかく小さいので根気がいる。ほとんど彫金の世界だが、出来ないこともない。2回、3回失敗しても何も問題はない。最後にバリ取りをして完成した。(右側画像は先端部)
太さφ3mmということもあって、力が入らないのが難点だが、この特殊ドライバーのために何か立派なハンドルを探すというのもどうかと思う。で、柄は輪ゴムを巻き付けて代用したが、これで充分だった。このような経緯をたどって位置決めピンは無事に無傷で外すことが出来た。特殊ドライバーの必要に迫られた方は、是非参考にしていただければと思う。
Rear Cap:
Petriレンズで困るのはリヤ・キャップがなかなか入手できないこと。他のレンズにも見られることだが、350円で出品した中古リヤ・キャップが競争の末に1,500円で落札、なんてこともある。とてもそこまでは思い切れないのだが、ある日、今晩のメシは何にしようかと冷蔵庫を覗いて調味料等何があるかと見ていたら、85gの「コンソメ」があった。突然の「コンソメ」登場で、これから料理の話になるのかと思われそうだが、そうではない。(左側、85gコンソメ・ボトルの写真)
この「コンソメ」のフタを見た途端、ピンと来た。何だかPetriレンズのリヤ・キャップに、大きさと言い、深さと言いピッタリではないかと。いや、いや、そんな都合のいい話があるはずもないと思いながらも、フタをレンズのMountに合わせてみた。すると、何と驚いたことにピッタリではないか。
これにはビックリ。「コンソメ」を消費して空になった所で、フタを頂戴し、内側をジックリ監察してみる。内部には緩み防止の段々が180°で作られている。一方、レンズ側はBayonetの羽根が120°で3枚均等で配置されている。フタの段々とは合わない訳だが、そこを何とか工夫すれば立派なリヤ・キャップが出来るはず、と意気込んだ。彫刻刀を持ち出して、内側のネジ部等を適当に削りながら作ってみたが、ロックを利かせるのはなかなか難しい。真っ当なモノが入手できるまでのツナギ程度には出来たが、まあ、「無いよりマシ」のレベルであろうか。
意気込み以降、作り方を誤ったかもしれない。次回はレンズのBayonet部を外して、これにキッチリ合うようにフタの方を削り加工する。ロックも利かせることが出来るかもしれない。何としてもキャップが欲しい方は挑戦してみてはいかがだろうか。
ところが、最近スーパーで「85g顆粒コンソメ/味の素」が見当たらない。何と、生産が終了となり、今は市場在庫があるだけ、ということらしい。永らく愛されてきた「85gコンソメ・ボトル」、折角見つけたリヤ・キャップだったが試作に終わってしまった。実に残念である。
しかしまあ、Petriのレンズは始めから終わりまで、とんでもないことになったものだ。一体Petriの何が気に入ってこんな事をしているのか、自分でも判りかねる。おそらく類い稀、純粋無垢、正真正銘の「レンズ沼」に違いない。
「M42 Mount Spiral」さんがPetriをやたら褒めちぎっている。
蘊蓄は「M42 Mount Spiral」さんの記事を参照していただくとして、立派なMount Adapterも完成したことだし、これからジックリあれこれ検証してみようと思う。
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