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 本は私の人生の友・・・

『燕は戻ってこない』

2022年03月11日 | 

著者 桐野 夏生

 

北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、

非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。

「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、

ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、

国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。

 

>「あなたは人助けをしたのよ。本当に偉いわ」

人助け? リキは怪訝な顔をしてしまった。

基(もとい・代理母出産で子供を希望)の自己満足を叶えたことが、

人助けなのか。 人助けというのは、もっと切迫した悩みがあって、

困っている人を助けることかと思っていた。

いや、人によって切迫度は違う。 子ができないということが、

切迫していない悩みだとは言えない。 だが、青沼(女性・アメリカの

生殖医療専門クリニックの日本のエージェント)の言うことは

ピントがずれているように感じる。

 

(著者・桐野さんの言葉)

女性の貧困化が進み、日本の女性が代理母になるビジネスが行われるかもしれない。

その不安から書き始めた小説。

恐ろしいほど発達した生殖医療に、人間の精神も日本の法律も追いついていない。

私自身、結論が出なかった。

波乱の物語は、ある代理母出産で終わる。

その子は誰のものか。

誰も分からない、だから子供に聞いてみたい。

今、別の小説で、不自然な状況で出生した子供の成長した姿を描き始めている。

 

あっという間に読みました…

桐野さんの小説は、読みやすくて面白いです。