〜 娘たちの歳月 〜
著者 梯(かけはし)久美子
渡辺和子「私は父の最期のときを見守るために、この世に生を享けたのかもしれない」
齋藤史「もののふの父の子に生れ もののふの父の寂しさを吾が見るものか」
島尾ミホ「死ニタイ、シンドイ、結婚シタ事ヲ悔ヤム。ジュウ(父)ヲ捨テテ来タバチカモ」
石垣りん「父と義母があんまり仲が良いので 鼻をつまみたくなるのだ」
茨木のり子「いい男だったわ お父さん 娘が捧げる一輪の花」
田辺聖子「やさしい言葉の一つもかけることなく、父を死なせてしまった」
辺見じゅん「父が亡くなり、私もまた死んだと思った」
萩原葉子「私はまさしく 父親の犠牲者として この世に生まれた」
石牟礼道子「憎くて、ぐらしか おとっつあま、地ごく極楽はおとろしか」
唯一無二の父娘(おやこ)関係が生んだ、9人の女性たちの強く、しなやかな生涯。
>本書で取りあげた9人の女性は みな父親から大きな影響を受けているが、
それは一方的な受け身の立場としてではない。
父の人生を深く受け止め、さらにそれを相対化することで、
自分の人生の中に「父の場所」を作り出したといえる。
その過程で重要だったのは、書くという行為だったのではないかと思う。
(著者の言葉より)