著者 齊藤 彩
母と娘……20代半ばまで、お風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。
公判を取材しつづけた記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。
獄中であかりは、多くの「母」や同囚との対話を重ね、接見した父のひと言に心を奪われた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。
一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした……。
殺人事件の背景にある母娘の相克に迫ったノンフィクション。
数年前の週刊誌広告「医大受験に9年浪人した被告女性」という見出しを記憶しています。
一審の裁判長の言葉……
「あなたはいままでお母さんに敷かれたレールを歩まされてきたけれども、
これからは真摯に罪と向き合って、
罪を償い終えた後は、あなた自身の人生を歩んでください」
あかりは、母親との苦しみを、他人であっても理解してくれると知りました。
(去年の8月に読んで下書き保存していた記事です)