著者 太田 愛
その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。
動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の
若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。
四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。
ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。
誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、
この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。
一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。
千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。
そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった……。
>『みなさんは、憲法とは、国の力を制限するための、
「国民から国への命令書」だということを、知っていますか?
個人の自由がうばわれないように、国を治める人たちが、
自分勝手な政治をおこなわないように、歯どめをかけているんです』
>「労働者が力を合わせて、待遇や職場環境をより良いものに変えていく。
そうして本当の意味で健康で文化的な生活を維持できる労働者が増えれば、
社会も より良いものになると私たちは考えている。労働者は皆、消費者でもあるからな。
一部の超富裕層が富を独占するよりも、大勢の労働者が安心して子供に本や服を買ってやったり、
ちょっと旅行をしたり、芸術鑑賞ができたりする方が、
まっとうで幸福な社会であろうし、そうなってほしいと思っている」
>この国ではこれから先、貧富の差が急激に拡大する。
そして一握りの超富裕層と若干の富裕層、その他大勢の貧困層と極貧層へと分化する。
この流れは加速し、想像を絶する格差が生まれる。
社会は不安定になり、犯罪が増加する。
非正規労働者が4割もいる日本は、労働賃金も労働環境も先進国の中で最低な国のようです。
ますます犯罪が増え、高齢者である私も被害者になる可能性があります。
夢の無い国・日本……子供たちが可哀そう!