嫌な映画ではなく、厭な映画。
バッドエンドの映画が好き。
たいていの健全な人はハッピーエンドが好き。単純に幸せな気分になるしね。
ハッピーエンドもいいけど、観終わってからずしんと心が重くなったり
これはなんだったんだ。というようなバッドエンディング映画も大好物。
バッドエンドな映画は嫌う人が多いよね。
スプラッターや人が大量に殺されちゃうとか残忍とかでの刺激、
ではなく
考えさせられるような、単になんだこの映画はというような心に精神的に刺激やショックとして突き刺さってくるような。
そこまで大げさじゃなくても 期待を裏切るオチ、重み。とか。
「悪魔のいけにえ」ファミリーの表紙が最高。
先日、映画秘宝別冊の「厭な映画」というテーマでの本が出て あちらはかなりマニアックに
古い作品とか掘り下げてライターの方々が書いて読み応えあるような本になってたけど
自分が欲しいものは違ったの、皆におすすめしたいのは(もう映画ファンなら観てるのも多いだろうけど)
もう少しポピュラーで、でも一般ウケは決してするとは思えないけど良作。
単なるホラーとかではない、厭な映画ではあるが、観て欲しいな~と思った作品を集めた特集を残したくて
今回はまとめました
レビューを書いてる作品はタイトルクリックでレビューへ。
(順不同)
1.ミヒャエル・ハネケ作品
ハネケ作品は、ほんとに観る者を圧倒させ、考えさせてずっしりと心にくる作品が多い。
その筆頭はデビュー作の「セブンスコンチネント」
絶望。そして破滅へ向かう一家。
デビュー作でこんなの撮っちゃうんだからやはりハネケは天才。
その後も、 少年の悪を描く「ベニーズ・ビデオ」や
過去の過ち。罪の意識。良心の呵責。を深く描ききる。
これもほんっとにすごい作品でした~ とにかく観て欲しい。そして語り合いたくなる。
少年犯罪についての作品も多い。上に挙げた「ベニーズビデオ」もそうだけど
誰もが観た後のものすごい気分の悪さをよく言われるのがこちら。
これもハネケ作。
USA版と比較→ ファニーゲーム
幸せな一家に突然襲いかかる、不条理。(主演の男は「ベニーズビデオ」の彼)
アメリカ版もハネケ自身が監督脚本でキャストを変えてわざわざリメイク。
ナオミ・ワッツとティム・ロス夫婦とその息子に襲いかかる災難。
カット割りほか全て演出も一緒。
ハネケが言う、
「なぜ人々がこの映画に憤慨するのかはハッキリしています。憤慨させる為に作ったのですから...。
暴力は撲滅できないものであり、痛みと他人への冒涜であることを伝えたい。
だから、暴力を単なる見せ物ではなく見終わった後に暴力の意味を再認識するものとして描かなければならない。
また、今やハリウッドでは暴力が快楽を求める手っ取り早い方法となりつつあり、ユーモアとして処理されている」
ということであえてハリウッドを製作したらしい。
「自分の映画は気晴らしの為の娯楽ではない。
しかし、映画に気晴らしと娯楽だけを求めてる人たちが
面と向かって向き合わされたくないものと向き合わされるのはいいことだ。」
とのこと。
ハネケ作品はこのくらいにして。
2.マーターズ
ダリオ・アルジェント監督に、「これはホラーの新しい形」と言わしめた傑作カルト映画。
二人の少女が主演。前半後半で主演がそれぞれ入れ替わり、
作品のテイストもすっかり変わる珍しい作品。
初めは殺された家族の復讐を描く話だったのが、それだけに終わらずすごい展開に!!
タイトルの「マーターズ」とは、殉教者、犠牲者。の意味。
心臓が強い人におすすめ。
3.フェノミナ
フェノミナ
わたしが一番怖かったホラーなのに、残念ながらレビュー書いてなかった
ダリオ・アルジェントの1984年作品で主演は少女の頃のジェニファー・コネリー。
1995年に日本で発売されたTVゲーム「クロックタワー」は本作の影響で作られた。
昔ハマってこのゲーム攻略したけど、ゲームの方もほんとに怖かったな~。
虫も出て来て気持ち悪さと不快感が残る、けど名作。
ちなみに、幽霊も映ってると噂になりほんとに映ってたよ
4.ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
それこそ今や色んなゾンビものが出ているけど
ゾンビの誕生はこの1本から。
生みの親、ジョージAロメロの描き出した傑作。
制作費はわずかで低予算で作ったと見て取れる、モノクロで映像自体お金もかかっていなさそう
だけど、この映画のオチは本当にやるせない。
びっくりするバッドエンドが待ち構えていて、まさかこうなるとは。
シンプルなのに多くを語る傑作。
5.セブン
セブン
デヴィッド・フィンチャーの1995年の名作。
ブラピ主演なので、当時話題にもなったし映画ファンならハズせない1本で
バッドエンディングの代表とも言える作品。
7つの大罪、猟奇殺人が犯した罪。
恐ろしい結末は予測不能。
ケヴィン・スペイシーの気味悪さは「ユージュアル・サスペクツ」に続き評価された。
フィンチャーはサスペンスではなく、ホラーだと言ってるらしい。ま、確かにホラーな展開だね。
6.隣の家の少女
ジャック・ケッチャム原作を映画化。ハリウッドリメイクもされてる。
田舎町で過ごした時代を振り返る男性の回想ナレーションから入り
かつて隣人が、少女に対して行った悪夢そのものの虐待を見せつける。
隣の少女というか、加害者のばばあ(口悪いの失敬)が強烈すぎ
ヤラレっぱなしは気持ちのもっていきどころがなく非常に気持ちの悪い後味。
「少なくともこの20年間で最も本質的に恐ろしい、
ショッキングなアメリカ映画だ。
まさに「スタンド・バイ・ミー」と表裏一体をなす作品といえるだろう」 とは、スティーヴン・キングのお言葉。
7.ミスト
こちらはスティーブン・キングの原作を「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボンが監督映像化。
フランク・ダラボンといえば、全米で大ヒット中「ウォーキングデッド」の製作も彼。
だからウォーキングデッドに出てる俳優が何人か本作に出演。
こちらも最悪の結末、バッドエンディングで有名。
こちらも、やるせなさの残る重みあるラスト。
8.ダンサー・イン・ザ・ダーク
ダンサー・イン・ザ・ダーク
ラース・フォン・トリアー監督、ミュージシャンのビヨーク主演。
こちらも救いのないオチで有名。
哀しい結末ととるか本人にとっては幸せととるかは人それぞれだけど
何ともラストに重みのある1本。ビヨークの熱演と音楽も素晴らしい。
9.レクイエム・フォー・ドリーム
クスリによって堕ちて行く、それぞれの人生。
ダメ。ゼッタイ。
クスリの怖さのリアリティ。
ジャレッド・レト、ジェニファー・コネリー。そして母親役のエレン・バースティンの恐ろしい変わり様がリアルな恐怖。
「ブラック・スワン」などのダーレン・アロノフスキー監督の監督第2作目。
10.冷たい熱帯魚
園子温監督作。
実際の事件を基にして書かれた脚本で高橋ヨシキ氏が共同監督。
抑圧された教育が間違った人格形成を生む。
ちょっとコメディチックなところも多くわたしは笑ったけど、画的にはグロさ強烈で
後味悪いバッドエンド作品。
11.少年は残酷な弓を射る
ロンドン映画祭で作品賞受賞、英国インディペンデント映画賞で多数ノミニー&監督賞受賞ほか、
主演のティルダの演技も絶賛されていくつかの賞を受賞
この息子、生まれながらに反抗期
このときまだTVドラマ出身の新人で本作で映画デビューしたエズラ・ミラーの存在感が最高。
母親を陥れる息子が怖い。愛なのか、それとも憎しみか。
12.偽りなき者
少女の仕返しからはじまった小さいけれど重い、嘘。
小さな村で幼稚園の教師として働くルーカスは離婚を乗り越え、息子と過ごすクリスマスを心待ちにしながら、
仲間たちと狩猟を楽しむ穏やかな日々を送っていた。
ある日、ルーカスにプレゼントを受け取ってもらえなかった園児クララが、
軽い仕返しのつもりで発した嘘が彼の人生を狂わせる
13.隣人は静かに笑う
隣人は静かに笑う
大学でテロリズムの歴史を教えているマイケルはワシントン郊外で幼い息子と暮らしていた。ある日、花火で大やけどを負った少年を助けた。それが最近隣に引っ越してきたラング家の子供だった。両親のオリバーとシリル夫妻は彼に感謝し、両家の交際がはじまる。が、マイケルはオリバー宛の同窓会案内から疑念を抱く。彼の学歴詐称の調査をするうち、彼らがなにか企みを持った集団の一員であることに気付き始める。
これも怖いよ~。DVD昔から持ってて(今廃盤でまだ正方形のプラスティックケースの時の)
いつかレビューしたいと思いつつそのまんま。
ティム・ロビンスとジェフ・ブリッジス対決!
14.縞模様のパジャマの少年
ホロコーストの悲劇を無邪気な少年の視点から綴ったジョン・ボインの世界的ベストセラーを「ブラス!」のマーク・ハーマン監督が映画化した重いドラマ。強制収容所で働くナチス将校を父に持つ少年が、収容所の実情を知らぬまま、偶然出会った同い年のユダヤ人少年と禁じられたフェンス越しの友情を築くが、、、。
子供の純粋な気持ちが生んだ、取り戻せない悲劇。
ほか、色々と最悪なもやもやするエンディングを集めてみましたが
ラストでスカっとする映画もいいけど、たまにはこんな、うわー!!となるトラウマ系もいかがでしょう
涼しくなって来た秋の夜長に、ね