ついに映画界進出
自らをネタを自伝的ホラーとして描いた、楳図先生原案&脚本による
楳図かずお初監督作品
子供の頃に、いきなり父が「イアラ」の中でも一番面白い「イアラ」の第三巻を
買って来た事から大ファンになってしまったわたし。
ただ怖いだけ、じゃない深層心理を描いた作品と
奇想天外で予測のつかない独特な世界が魅力。
その昔、過去関わったラジオの仕事で「怖がらせる仕事」についてのインタビューや、
その後数回お会いする機会もあって、ホラーの神様として心から尊敬する方でもある楳図氏。
これまでの作品はいくつか映画化もされて全部観て来たけど、
今回は完全にご本人が創った映画。
ということで、楽しみにしてました~。
劇場での舞台挨拶つき先行の上映会にて観てきた
楳図かずお役には、歌舞伎界では「ラブりん」と呼ばれ親しまれる片岡愛之助さん。
「似てないし、即お断りしました」とご本人も言ってるけど
ほんとに似てないしはじめ聞いたときは何故?と思ったけど。
演技云々、似せるとかじゃなくて愛之助さんの確実な演技力が欲しかったんだろうと納得。
そもそも、楳図さん自らがオファー(いやもしくは諸事情?)したのだからこれでいいのだ☆
既に実際に他界している母親役には、真行寺君枝さん。
1976年がデビューの現在54歳。
人気漫画家となった息子を愛しながらも、
自らの悲しい過去を拭いきれずに死の間際に不可解な言葉を残してこの世を去るイチエ。
謎めいたこの母親が死後に巻き起こる奇怪な事件。
イチエは、身内への復讐のために蘇る
美しいひと、は楳図ホラーに欠かせない、重要なキャラクターで
美しければ美しいほど恐ろしさが出るという意味でもこの方はまさにハマり。
そして、楳図さんの自伝本を出版したいと持ちかける元々ファンの新人編集者、
若草さくら。元、宝塚雪組トップ娘役、舞羽美海。
宝塚は疎いから知らなかったけど、上映前のトークで愛之助さんが
「宝塚の方って、登場とかが悪い意味じゃなくすごく特徴ある演技でわかる。けど
舞羽さんはまったくそれがなくて、、、」とおっしゃってた通り、
途中まで宝塚だったのがこの方だったとは気づかないほど、普通の女優さんかと思ってた。
ところでこの役名、楳図ファンには嬉しい名前。
美ぼうの衰えた元大女優が、美に執着するあまり、
自らが生んだ美しい一人娘に自分の脳を移植するという恐ろしい母を描いた作品
わたしが一番好きな「洗礼」の主人公と同じ。
そしてその上司は谷川ということで、そういう細かいところ含め
コアファンにはお楽しみポイント
そして、楳図先生を敬愛し交流もある中川翔子が友情出演。(セリフなし1、2分くらい)
漫画、歌舞伎、宝塚という3つの日本芸能の代表が集結
楳図さんも親戚の声(電話)出演 笑。
ある日、漫画家の楳図のもとに生い立ち本を製作したいとの依頼が舞い込む。
新人の若草さくらが担当編集者となり取材が進められていく。
やがて楳図の創作の原点に、 亡くなった母イチエが深く関わっていることが明らかとなってくる。
そんな中、楳図の生まれ故郷の山村へとやって来たさくらは、次々と不可解な現象に遭遇していく。
一方、東京にいる楳図のもとには、故郷の友人や親戚たちからイチエが現われたというにわかには信じがたい知らせが寄せられていた。
最後は自分のところにやって来ると確信し、恐怖する楳図だったが…。
6/10(60点)
過去の楳図作品の映画化はダメなのがほとんどだけど、
本作、ご本人が全て関わって監督までした作品ってことで
こだわりポイントが随所にあって、ファンならば余計にわかるところもちょこちょこ。
漫画がそのまま映画として演出された恐怖。
死体の目などは映さずに鼻から下のみ、フレームの端っこに映され
その口が、大きくしわがよっていて大きく開かれた 漫画と同じだったり
すごいスピードで走って追いかけてくる女(母親)、床を這う姿、
楳図先生も、これまで映画じゃこれはできないだろうという怖がらせ方を
漫画で描いてみるという事で常に映画は意識していたというけど
そんな中、今はCGが凄いので それを使って何でも出来ちゃうから
困った時はそれに頼れる、みたいなことを言ってたけど
ほどほどに、CGじゃなきゃ無理なとこは使い、基本はアナログな作風が楳図作品らしい。
過去の楳図作品の映画化を観ていて、これはハリウッドが大作でやるくらい
お金かけて創らないと、日本でちょこっと作ってもチープになちゃってダメって
思ってたんだけど、この内容(脚本)だったらOK 笑
「半沢直樹」も観てないし、片岡愛之助さんの演技観るのは初めてだったけど
とても楳図さんには思えないんだけど、演技は確実なのでその点では安心して見れた。 笑
楳図先生の描く、絵コンテが完璧すぎて、それを元に演じるので楽でした。
先生も、逆にそれを見せたら完璧に演じてくれるので、任せちゃってました。だそうで。
「本当のお母さんは、あんなに美しくない、普通の母親でした。
でも、映画や漫画では普通じゃ面白くない」と語った楳図先生。
まったくその通りです
母親の霊をやっつけるために、母親の嫌いなアイテム、
楳図の描く美少女と、蜘蛛を武器に対決するシーンはチープで、マンガか!?
って感じだけどそんなシーンや脚本も楳図先生らしくもあり。
(脚本はちなみに、「富江 アンリミテッド」の脚本家、継田淳さんとの共同脚本。)
随所に原作の絵や、楳図先生がその場で即興でこんな感じとつけた音楽など
全体的な雰囲気で広がる楳図ワールドを堪能出来る。
表向きは、恐ろしい母親の復讐劇でホラー仕立てにしてるけど
それはもう、楳図かずおの、
いつもにも増した母親愛が全身で感じる作品になっておりました~
ってことで、ホラー指数は2/5 くらい。
母親の実家に行ったさくらが、真っ暗闇の空き家に入って
泣き声のする方に近づいてって、しゃがんで泣いてる子供が振り返る、、、、ってシーン
POVでちょっと「REC レック」風で、怖いのが苦手な人には一番怖いシーンかな。
楳図かずおファンはもちろん必見
ファンじゃなくても、ご興味ある方、ラブりんファンはぜひ
初日舞台挨拶もあるよ
公式サイト
マザー 2014年 日本 84min
9月27日より、ロードショー
映画『マザー』予告編
この日のイベントで、新宿ピカデリーの階段は
レッドカーペットならぬ、特別仕様で楳図カラーの紅白
グワシ