遺伝子組み換え

タンパク質やDNAを理解すれば
より優れた作物をつくれるかもしれない
除草剤に耐性がアリ乾ききった場所でも育つ小麦
新鮮さを長く保つトマト
ビタミンを多く含んだジャガイモや米
　しかし、生命の基本要素に手を出すときは注意深くならなければならない。
その植物のなかに存在しなかった移植された遺伝子が
周囲の野生環境に漏れ出したら・・・
小麦の除草剤から保護する遺伝子が
道端の雑草に受け継がれてしまったら・
それが国中に広がって最も強力な化学薬品でも阻止できなくなってしまったら

　*諸刃の剣

作物の遺伝子組み換えは
これからの人口増加と世界的な気候変動(温暖化等)によって
間違いなく生じる食糧不足の解決には絶対欠かせないという意見もあるが
遺伝子を弄ぶ行為を未知の危険とみなし、
科学者が地球を実験室がわりに使用する行為だと述べる者もいる

　*溢れだした組み換え植物

ノースダコタの原野で初めて葉種の一種が見つかる

アーカンソー大学の研究者グループにより原野で２種の組み換え植物見つかる
ほかに両方の遺伝子をもつ植物も発見され
遺伝子組み換え植物は、異種交配が可能なことがわかった
興味深いのはその自然集団が広い農場の片隅にかぎらず
かなりはなれた場所でも生育していたことだった

　それは非常に変異原性のたかいプロセスです
　ゲノムに予想外の変化を引き起こす場合があります
　これまでに登場した作物はいわれたトウリにやっているようにみえますが
　問題はほかにどんなことが植物の構造にたいして行われているか・・・
　もしかしたら何の気なしに有害・有毒性を持たせてしまうかもしれない

　*生態系への影響

イギリスでは自然主義者たちが作物自体の安全性だけでなく
"作物の広域殺虫性"についても懸念している
保護する作物以外のものを殺す力が強すぎるせいで
農地の動物たちが生存する為に必要なマイナーな植物や種を一掃してしまう危険がある
土壌や植物のなかにいる小虫・地虫の数が減ると
ヒバリ・つぐみ・ハタホオジロの生息数も減る
どんな農地の生態系でも異なる生命体が光と栄養を求めて競っているが
組み換え技術によってすべてのライバルを打ち負かし
自らの資源(作物)だけに集中できるおそるべき武器を手に入れたのだ

2007年　生態学者ロージー・マーシャルは
組み換えしたトウモロコシのかけらを餌としたトビケラが
普段のトビケラより成長が半減し
花粉を食べたトビケラの死亡率も２倍になっていた
もし、このトウモロコシの栽培が広まれば
その地の野生動物に悪影響を及ぼし
”生態系レベルでの予想外の結果"を招くかもしれない

　結果　遺伝子的な生物の多様性は重要で
　生物工学が生んだスーパー雑草やスーパー害虫が
　野生の植物にも影響を与えるならば
　この貴重な遺伝子倉庫は永久に失われてしまうだろう


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# 番外篇

組み換えを支えるテクノロジーは長足の進歩をとげ
たんなるDNAの組み換えだけでなく
ゼロから遺伝子や生命を作ることが出来るようになっている。

この分野のパイオニアがクレイグ・ヴェンダーで
2010年に彼は山羊の乳腺炎を引き起こすバクテリアをもとに
世界初の"人工生命"を作り出した
彼は実験室の化学物質から遺伝子を作り上げ合成ゲノムで機能する
既存のバクテリアを挿入した
ヴェンダーによるとこのテクノロジーはバクテリアをプログラムし
環境にやさしいバイオ燃料を作らせたり、流失した石油や
大気中から有害な汚染を吸収させたりすることができるという

むろん　誰かが普通に手に入るゲノム情報を使用して既存のウィルス・バクテリアを
合成したり、
人や作物種にまったく免疫耐性のない新しい菌を作り出すことも
そう遠くないだろう・・・



　生物に関わる人間の活動の歴史を振り返ると
　我々は新しい生命体を本来の場所に留めて置ける
　自信の材料になるものは殆ど見当たりません