2009年ジェノバに集まった科学者たちは
欧州原子核研究機構の研究所で、
大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のスイッチをいれた
記念すべき出来事だが誰もが祝賀ムードではなかった
なかにはこの巨大な機械が空間そのものを引き裂いてしまうのではないかと
警告を発する人々もいた
ジェノバの山の下で引き裂かれた空間に発生したブラックホールが
我々を飲み込み無に帰してしまうのではないか、と
LHCの狙いはまさしくビックバン直後の瞬間を再現することだ
陽子をお互いに向けて光速に近いスピードまで加速することで
科学者たちは衝突の残骸から新たな素粒子の痕跡を見つけ
自然に関する自分達の知識に新たな新境地を開きたいと願っている
LHC内で加速された陽子のエネルギーは
およそ7テラ電子ボルトに達する
アルバートアインシュタインのE=MC2という方程式によると
これだけのエネルギーを持つ陽子の質量は
平時の陽子のおよそ7000倍にあたる10マイナス23乗キログラム
こうした粒子同士が近距離から衝突するとそのエネルギーは
極小の空間に濃縮される。つまり ときには衝突した粒子が
ブラックホールの形成にまで接近することもありうるわけだ
しかしこの主張には問題がある・・・
質量が10マイナス23乗キログラムの陽子2つでは
あまりにも物質量が少なすぎて
ホーキングとカーのいう原始ブラックホールを作り出すことが出来ないのだ
無論超光速で加速すれば2つの陽子で原始ブラックホールができる
だがホーキングとカーの基準を満たすためには
我々の銀河系なみの巨大な加速器が必要なのだ
だとしたら、
何故・・・地球上のブラックホールに懸念することはないのでは?
それは違うホーキングとカーの理論は20世紀初頭にアインシュタインが
公式化した重力の数学的記述"一般性相対性理論"に基づいているのだ
重力の働きに関する近年の理論では
ちっぽけなブラックホール形成に必要な密度は
ホーキングやカーが当初考えていたよりも、
ずっとすくないのではないかと見られている・・・
重力の量子論のなかで特に有力視されている"ひも理論"は
宇宙には通常の3次元を超える次元があると予測されている
重力は他の力と異なりこうした次元にも伝播し
その結果近距離では予想外に強くなる
3次元では2つの物体の距離が半分になると重力は4倍になる
けれども9次元では重力は256倍の強さになるのだ。
もし重力が実際にこうした形で別次元に及ぶとしたら
ブラックホールはもっと簡単に作れることになる、
2001年に科学者たちはLHCは陽子を衝突させるたびに
ブラックホールを生み出すことができると結論付けた
#欧州原子核研究機構はブラックホールの工場になるだろう
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