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教育系ポップスバンド 風船花(ホウセンカ)の活動日記
日常の中であれこれ思ったことなど

続 ひまわりのころ 4

2015年08月27日 17時25分18秒 | 続 ひまわりのころ

ここから、語り手が南先生になります。

「六年生、坂田君、今すぐ、職員室に来なさい」
おれは、大漁祭のあとの月曜日の昼休み、遥希を職員室に呼んだ。
「失礼します!」
遥希は一礼すると、ニコニコしながら職員室に入ってくる。
「ハルキ、なんで呼ばれたかわかるか?」
ニコニコ顔が、神妙な顔に変わっていく。田中先生が、
「ハルキ、わからんのか?」
にやけた顔で冷やかすように声をかける。遥希は、困り顔になり、
「わかりません」
と答えた。今、思えば、うんと喜ばせたかったからといえ、子どもをからかう悪い大人たちだった。 そして、こう告げた
「小学校での野球の最後は広人との対決ぞ」
遥希は、期待どおり、うれしさを隠し切れないという表情で、
「先生、寿ファイターズとの試合!ヒロトと野球ができるの?」
飛び上がるように喜んでくれた。大漁祭ですべてが終了した思っていた遥希にとっても考えもしないイベントが飛び込んできたのだから
 大漁祭が終わって、一週間後、おれは、寿ファイターズとの練習試合を組んだ。本当に頑張り屋のこの子たちにたくさんの思い出を作ってやりたかった。この子たちの友情物語をとことん演出したかった。
 十一月はじめに行う六年生を送る会では、毎年、お父さんやお母さんとのレクレーション試合が恒例だった。それを元チームメイト、いや親友との対決試合にしたのだ。
「一緒にやるんじゃないぞ、対決だ!」
おれは「対決」と繰り返した。
 そして、この大人は悪のりを続けた。
「ハルキ、ちょっと耳を貸せ!」
「え~!」
おれは、小学生の子ども相手にとんでもないことを耳打ちした。

「負けたものは、カホに告白するんだ」


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