先日の9月8日のNHKのイッピンの放送で、以前記事を書いた城崎温泉の麦わら細工の放送がされていました。
取材した神谷民芸店の神谷勝さんも出ておられ、お元気に活躍されているいることが分かりました。
また、自分が書いた記事以外の視点で麦わら細工の編集がされており、分かりやすく伝えるという点で参考になりました。
記事はこちら → ものづくり・工場改善 会社編 ⑦ かみや民芸店
そのせいでしょうか、当ブログの9月8日のアクセス数がはねあがっていてびっくりしました。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第397回(2019年9月16日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 人材採用・人材教育 / 儲かる工場の組織づくり 大野孝久
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はじめに
この本を3冊の中でまず最初に紹介する理由は、第1章および第2章に人材採用・人材育成に関する基本データが書かれているからです。このデータをまず最初に頭に入れていただきたいと思います。
また、本の正確なタイトルは「超人材難でも儲かる工場の組織づくり」です。上記のタイトルでは、長くなるので「超人材難でも」の部分は省かせていただいています。
そして、正直に書かせていただくと、本を読むだけでは具体的に理解できない点が私にはいくつかありました。たとえば、具体的にはどんな組織構造になっているか組織図がわからなかった。また、評価基準が具体的にはどのようになっているのかわからなかった。そんな中で以下を書いていきますので、ご了解をお願いします。
目次
本の章立ては以下のようになっています。第1章で採用難のデータを示し、第2章で著者の主張の総論が述べられ、第3章と第4章と第5章で具体的な3つの実行ポイントについて記述がなされ、第5章は今後のことについて書かれています。
第1章:人材を有効に活用できない「ダメな組織」が会社を破壊に導く
第2章:「人」に任せない組織のつくり方
第3章:仕事体社員のシンプルな構造が企業を成長させる
第4章:徹底的に「今やるべきこと」を遂行させる
第5章:時間単位の「稼ぎ」を認識させる
第6章:人材難時代を生き残るための第一歩
章のタイトルについては、もう少し記載があるのですが、その点は以下で説明します。
著者の紹介
著者の大野孝久さんは、デンソー、製造会社の営業職を経験後に、大野精工を創業。現在代表取締役。職人的な経験と勘に頼ったものづくりでなく、指導者を立てない独自の人事教育システムを構築して、ほぼ毎年売上高20%以上アップを達成。
ポイント
・人材採用と人材育成のデータ
データから、特に確保できていないのが技能人材(16p)で、その傾向は大企業より中小企業が強い(17p)ことが分かります。また、中小企業では技術・技能人材はベテラン中心で技術継承が困難になっています(19p)。以上から、どう人を採用して、どのようにして教育・育成するかがポイントになります。
次に、人が辞めていく(高い給料の会社に移っていく?高齢化?)ために、現場の技能が失われ、現場は人手不足で生産性が低下して品質低下などが起きています(20p)。どう生産性を上げるのかもポイントになります。
結局は、人が辞めて、残った人に負荷がかかり、人が採用できないので負荷の低減が出来ず、さらに人が辞めていくという、悪魔のサイクルが回っているように思われます。
・著者の主張
著者の主張は「社員が勝手に育ち、勝手に稼ぐ組織をつくれば問題を解決できる。」ということになります。具体的なつくり方が、
●フラットな組織図(第3章)、
●「人」に頼らない教育の仕組み(第4章)、
●平等で明確な評価基準(第5章)
の3点になります。それぞれの項目についてはそれぞれの章の中で確認いただけたらと思います。ただ、概略を掴もうとしたら、各章の表紙をまず読み砕かれたら良いのではと思います。私が読み砕いた事例を下記に記載しています。
・人材採用について
社長さんは採用面接はされないそうです。しかし、2つの条件を付けられており、社員が一緒に働きたいという人を採用するようにされています(33p)。理由はいくら社長がいいと思った人でも、現場の人が一緒に働きたいと思わないといけないから。そのため、従業員が友達を誘って入社されることもあり、人手不足にはならないそうです。
・人材育成について(4章のタイトルの読み砕き)
例えば、第4章のタイトルは、「徹底的に「今やるべきこと」を遂行させる」となっていますが、章の表紙には
利益の出し方をマニュアル化し、
徹底的に
「今やること」を
遂行させる
つくり方②「人」に頼らない教育の仕組み
となっていますが(文字の大きさや行変更もほぼ同じにしました)、これらを入れ替えをして、「人」に頼らない教育の仕組みをつくるには、①利益の出し方をマニュアル化し、②徹底的に「今やるべきこと」を遂行させる というように並べ変えていただくと大変分かりやすいのでではないかと思います。つまり、①利益の出し方をマニュアル化することと、②今やることを徹底的に遂行させること になります。ですから、①-1利益はどうしたら出るのかを説明し、①-2具体的にするべきことをマニュアル化する、②-1(上司の指示で動くのでは無く)仕事と社員のシンプルな構図(組織)をつくり、②-2仕事を徹底的に遂行させる が大切になります。
でも、既に述べたように、具体的にはどんな組織構造になっているか組織図がわからなかった。また、評価基準が具体的にはどのようになっているのかわからなかったというのが正直なところです。(そんなものはなかなか外部には出せませんよね。)
・マニュアル化(①-2に関係して)
上記で書いたマニュアル化という点では徹底されています。事例を2点挙げると、124pに具体的なムダのマニュアル化の事例が載っています。また、大野精工の価値観を共有するためのルール(これも私はマニュアルに等しいと思うのですが)が43pに記載されています。この中で面白いと思ったのは、会社の中ではマスク使用は原則したらいけないそうです。理由は、表情が見えないからコミュニケーションの妨げになるからだそうです。コミュニケーションが一番大切との考え方です。(このようなことまで決められていることは独特の価値観がありますね。)
終わりに
先ほど具体的にわからないと書きましたが、大事なことは、書かれていることを理解することではないですね。むしろ、本を読んだそれぞれが、それぞれの会社で書かれている改善の方向性で改革・改善を進めることが大切です。
3冊の本の著者は皆さん共通に、2008年のリーマンショックを経験され、大変なご苦労をされています。その中から今の会社を築かれていますので、参考になる点は多いと思います。以下の言葉を敢えて書かせていただきます。
ブレークスルーが大切(突破口は必ずある)
データ
タイトル :超人材難でも儲かる工場の組織づくり
著 者 :大野孝久
出 版 社:幻冬舎
出 版 年:2018年
ページ数 :207p
外観: