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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第322回記事(2017年1月23日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
「コストは、必ず半減できる。」 三木博幸 / ものづくり・工場改善 +アルファ
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はじめに
「コストは、必ず半減できる。」そう言われても半信半疑の人や否定的な意見の人が多いのではないでしょうか。この本はそんな疑問・意見をお持ちの人に読んでいただきたい本です。人は過去の苦い経験から、いろいろな推測をしています。しかし、コスト半減ができた事例をいくつも明示され、そしてその具体的な実現方法を示されたとき、コスト半減ができるのではないかとの希望を持つことができます。
半減できる理由
「なぜ半減できるのか?」と問われれば、答えは「設計された製品そのものにムダが多いから。」となります。ムダがあることについては、かつて設計をしていた私には思いあたるところがあります。
製品の構造
製品の強度
製品の重量
使用している部品の数
組立の工数・やり方
製品の品質
などなど今から思い起こせば多くのムダが見つかります。(コスト的にムダのある安全策をよくとりました。)これらのムダを省けばコストが半減できます。ただ、大切なことは製品の基本的な設計から考え直すことです。人も組織もかつての成功体験に固執して、革新的な製品の開発に踏み出すことができないと、コスト半減は難しいでしょう。
私の経験から
私もかつては製品の開発をしていました。著者の三木さんほどのことはできていませんが、経験に裏打ちされた言葉は強いので、その時の開発・設計の順番を並べてみると
①製品の機能・性能を設計
②製品の機能・性能を作りこめる部品を設計
③その部品で組み立て可能か確認
④部品コスト・組み立てコスト・金型償却費を集計
⑤計画の原価より高い場合は、コストダウン(場合により、部品メーカとのネゴ)
となります。最終的なコストがわかるのは開発段階の最終ステージで、部品代が予想より高く、理由を調査して、
設計をやり直そうとするのですが、設計をやり直す時間も少なく、とにかく四苦八苦状態でした。
(この本をもっと早く読んでよけばよかったとつくづく思います。)
著者独自の開発方法
コストダウンが開発ステージの早い段階からできるのは、開発者に
「コスト算出マニュアル」
を渡して、部品設計された時点で概略のコストがわかるようにしている点が一番大きいと思います。
(コスト算出マニュアルについては三木さんの別の本「部品半減」に詳しく書かれているそうです。特に作り方。詳細はそちらに譲るとして、)
ここでは、著者の経験に基づいたいくつかの開発の方法について紹介します。
①全員参加の同時体験則
(開発者全員が集まった場で、毎日15~30分(毎日です!!)、さまざまな課題について担当のメンバーが発表し、それを三木さん講評し、修正を経て実地に採用していく。つまり、全員が順に発表する機会を持つだけでなく、その場に参加して発表された内容を共有することでスキルアップさせる。)
②IP抽出
(IPはImpressed Point(感動点)の略で、他社のヒット商品等を分析して内部の構造や個別の部品などを見ながら感動点、つまり自分が未知の知恵と技を感じたところを発見し、それをスケッチしていく。写真撮影はだめで、あくまでスケッチをしないといけないそうです。)
③3日目検図
(昔はドラフターで図面を書いていたので、設計者の背中から図面を見れば概略の状況がわかりました。しかし今はCADのためわかりません(わかりずらいです)。3日目毎に検図すれば、手戻りも少なくなります。)
とにかく、そのベースにあるのは、開発者・設計者への教育重視のスタンスと思いました。
最後に
開発は考え方の合理化だ!!(143p、207p)
この言葉に同意します。とにかく、この本が弱くなっていると思われる日本のものづくりの強化につながってくれればと思います。
外観
データ
タイトル:コストは、必ず半減できる。
著者:三木博幸(クボタ機械設計社長などを歴任。現在、コンサルタント)
出版社:日本経済新聞社
出版年:2014年
ページ数:221p
定価:1400円+税(当時)
目次:初めに 図面を見れば、コストは半減
第1章 ものづくりの困った現場
第2章 ものづくりは面白い
第3章 ものづくりのアタマの鍛え方
第4章 ものづくりはもっと強くなれる
おわりに 開発現場の新しい姿は
井上 直久
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