第144回記事(2013年5月6日(月)発行)
今回はバランス・スコアカードの本の紹介の2冊目になります。
著者の吉川先生は、バランス・スコアカードの日本での第一人者ですが、日経文庫として出来る限り初心者にもわかりやすく書かれています。
タイトル
バランス・スコアカードの知識(日経文庫1063)
著者
吉川武男(横浜国立大学経営学部および大学院教授。エジンバラ大学客員教授 (いずれも出版時))
出版社
日本経済新聞社
定価
830円(購入当時)
私のおすすめ度
初心者向けの本と位置付けた上で、5ランク中の4とします。
減点理由はポイントと感想のところに記載しています。
参考となるポイントなど
<おすすめ対象>は、
バランス・スコアカードの初心者
<全体の構成>は、
・バランス・スコアカードの基礎
・バランス・スコアカードの成功事例
・バランス・スコアカードの構築ステップの説明
・バランス・スコアカードの特徴と効果
からなっています。
特にバランス・スコアカードの構築ステップでは、どの本も同じなのですが、
・プロジェクトチームの編成
・ビジョンと戦略の策定
・視点の洗い出し
・戦略マップの作成と戦略目標の設定
・戦略目標に対する重要成功要因の洗い出し
・重要成功要因に対する業績評価指標の設定
・業績評価指標に対する数値目標の設定
・数値目標を実現するアクションプランの作成
になります。
読んでみて特に<認識が深まった点>は、
・戦略を具体的な行動に落とし込むこと
・その時に、因果関係が存在するようにすること
・作成した戦略マップは、みんなが見て理解できること
・行動の結果を、数値で必ず評価すること
が大変重要であることです。
本の中で特に<参考になる点>は、
良くないバランス・スコアカードの例です。
・業績評価の寄せ集めとなっているもの
・戦略が組織に浸透していないもの
・目標や要因や指標間に因果関係がないもの
・視点間の繋がりがないもの
が、「バランス・スコアカードの特徴と効果」の章に図で紹介されており、わかりやすいものとなっています。
また、あまりにも4つの視点が有名ですが、この4つの視点にこだわらなくても良いのだそうです。ただし、自治体関係のバランス・スコアカードでは、財務の視点と顧客の視点の位置が逆転していますので。
<残念な点>(わかりにくかった点)は、「バランス・スコアカードの構築」の説明が大変複雑な構造になっています。各ステップの中が
・〇〇分析のワークシートと、
・戦略マップのテンプレート(テンプレートがあると初めて認識しました)
の並列記載になっている上に、テンプレートの説明では
・モービル石油のバランススコアカードと
・テンプレートのバランス・スコアカード
の並列記載になっています(さらに、見開きの右と左のページになっていないところがあり、比較がやりにくい)。そのため、今読んでいるところはどこかを認識しながら読まれると理解が促進されると思います。本当はもっと書きたいのですがこのくらいで。
外観
井上三右衛門
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