道議会水産林務委員会(冨原亮委員長)が2月5日開かれ、昨年の夏場から続いている噴火湾地域の養殖ホタテ大量へい死問題で、道から現状報告を受け、原因の解明や対応策で質疑を交わした。
水産林務委員会の委員7人は、1月28日〜29日に渡島管内の長万部漁協、胆振管内のいぶり噴火湾漁協伊達支所を訪れ、養殖ホタテへい死状況を視察調査し、現地の漁協関係者から原因究明を求める声や資金支援の要請が相次いだ。
5日の委員会では、生田泰水産基盤整備担当局長が噴火湾の養殖ホタテの生産状況を説明した。それによると、噴火湾のホタテ養殖は近年10万㌧前後で推移してきたが、28年以降はへい死や台風被害などの影響により減少傾向にある。特に30年10月〜31年5月の生産は前年に比べ7割減となる見込み。成貝のみならず、30年生まれの稚貝のへい死も確認されている。
道漁連の調査によると、生産見込みは胆振管内の5,000㌧(前年速報値1万4,580㌧)、渡島側の1万5,500㌧〜16,000㌧(同60,266㌧)を合わせて2万500㌧〜2万1,000㌧(同7万4,846㌧)と3割弱にとどまる。従来はザラボヤの付着による作業の遅れ、時化による施設の振動などが影響しているとの視点で、道総研や大学と連携し、国の事業を活用した生育状況のモニタリング、時化の影響を受けにくい水深帯を明らかにする試験を進め、関係先と連携しへい死の状況に関する情報共有に努めてきた。しかし道が11月に関係漁協に聞き取り調査を行ったところ、胆振で20〜50%、渡島で50〜80%がへい死しているとの事態が判明した。
道漁連の調査によると、生産見込みは胆振管内の5,000㌧(前年速報値1万4,580㌧)、渡島側の1万5,500㌧〜16,000㌧(同60,266㌧)を合わせて2万500㌧〜2万1,000㌧(同7万4,846㌧)と3割弱にとどまる。また、へい死で不足する稚貝は、漁業者が他管内から調達に努めている。
昨年12月には地域の8漁協で構成される噴火湾ホタテ生産振興協議会(会長・高野勇一長万部漁協組合長)が道に対し、ホタテの安定生産に向けた既往資金の延長、長期にわたる運転資金の支援、漁場環境観測施設の整備などの支援を要請した。道は金融面で系統団体と連携し、既往資金の償還の据置、返済期限の延長などを行い、運転資金も既存の漁業振興資金の活用により支援していく。観測施設の整備は国の事業が活用できるため、採択に向けた助言などを協力する。
これに対し、冨原委員長は委員会を代表して現状の受けとめ、原因究明、今度の取り組みなど道の対応を質した。幡宮輝雄水産林務部長は「噴火湾地域のホタテ養殖は基幹漁業であり、地域経済に大きな役割を果たしている。生産現場に即したへい死の抑制対策など漁業者の経営安定を図るため、管理実態や現地との意見交換、道総研と連携した必要な調査に取り組み、系統との連携した金融支援を通じて生産回復と経営安定を図る」と答えた。冨原委員長は「噴火湾のホタテ養殖は国内、輸出において大きな位置づけにあるが、ザラボヤ、3.11など度重なる被害を受け、再び厳しい状況に追い込まれている。この際、へい死問題の解決に特化した、胆振・渡島の対策を進める組織を部内につくり、対応すべき重大な状況と受けとめている」と述べ、道の対策を注視し期待するとした。
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