水産庁は、マサバ・ゴマサバ太平洋系群の資源管理方針を話し合う4回目の検討会(ステークホルダー会合)を開き、ウエブを含め140人が参加し、最新の資源評価を踏まえた漁獲シナリオの検討を行った。その中で、資源評価モデルを従来のVPA(コンホート解析)からより安定したSAMに変え、自然死亡率(M)の仮定の変更などのほか、再生産関係より生物特性(成長・成熟)を重視した予測に転換を図り、資源量、親魚量の推定が大幅に減ったため、まき網や水産加工関係者から「受け入れ難い」と困惑の声があがったほか、ロシア船の常磐・三陸沖の操業を制限するよう求める要望も出た。
魚谷敏紀資源管理部長が「新しい資源管理目標や漁獲シナリオによる資源管理を始めて5年目となり、資源管理方針の再検討、変更の時期に来ている。今回は資源評価が大きく変わるが、どのような管理のあり方が適切なのか意見を伺いたい」と挨拶し、自ら司会進行を務め、水産研究・教育機構から令和6年度資源評価結果の報告を受けた。
水産庁からは前回の検討会(SH)の指摘事項、資源評価の概要、漁獲シナリオを説明し、意見交換した。マサバの新たなMSYは19.2万㌧で、従来の37.2万㌧に比べ18万㌧下方修正した。漁獲シナリオ(マサバ・ゴマサバの合計)は2種類提示され、低い方は2025管理年度のABCが6.8万㌧、高い方は同じく10.9万㌧と提案された。水産庁は柔軟な運用を検討する意向だ。
2024管理年度のTACは35.3万㌧で、漁獲実績は12月までに4.9万㌧が報告されている。
次回は3月に第5回目のSH会合を開催する予定だが、魚谷部長は「まだ管理の方向性や試算が定まっていない中、次のSH会合に向けアイデアを出し、検討に参加してほしい」と呼びかけた。「スケジュールありき」ではないが、TAC管理は7月から始まるため、限られた時間での検討が求められる。
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