三百両の為替金の封印を切って梅川を身請けした忠兵衛は
梅川と二人、雪の降る中を追っ手の目を逃れて、
忠兵衛の実父・孫衛門の住むを新口村へとたどり着く。
寒さに凍える梅川。
二人は近くの小屋に身を潜めます。
二人が小屋に身を潜めていると、雪の中を忠兵衛の実父・孫衛門
がやって来る。
下駄の緒が切れ転んだ孫衛門を見て思わず梅川が走り出て助け起こす。
下駄の緒を繕う梅川。
梅川は孫衛門に迷惑がかかってはと名乗る事もできないが、
孫衛門はこの女が倅の嫁だと気づく。
小屋から見守る忠兵衛。
何とか忠兵衛を実父・孫衛門に会わせたいと苦悩する梅川。
白い雪景色に黒留袖、裾の割れ目からのぞく赤襦袢。
いや~艶やかですね。
飲兵衛もうゾクゾクしてしまいました。
梅川はついに「面無い千鳥」というお座敷遊びと同じ様に目隠を
して忠兵衛に会わせる。
父の手が息子の身体を撫で、息子が父の手を握るのでした。
罪人と知って匿ったとあれは父にも罪が及ぶ。
父との別れを惜しみつつも、雪の降り積もった竹薮の道を二人は
逃げていく。
逃げていく二人を見守る孫衛門の嘆き!
現世では幸せになれない二人が、来世で幸せになることを願う。
近松門左衛門の一貫した世界観・人生観が見事に表現されていました。