「小澤征爾さんと、音楽について 話をする」で触れているが、1962年4月6日 カーネギーホールの「グレン・グールド:レナード・バースタイン「ブラームス:ピアノ協奏曲第1番」の演奏の前にレニーが突然ステージに出てきて、客席に向かって「これは、私が本来やりたいスタイルの演奏ではない。ミスタ・グールドの意思でこうなった」とおしゃべりをしたという。これに至るいきさつは他にも詳しく書かれたものもあるが、レニーの副指揮者としてこの場に居合わせ小澤征爾さんの話には実感がある。これ以降、レニー、カラヤン先生(征爾さんはこう呼んでいる)と長く接した小澤さんの話、小澤さんの音楽人生のふしぶしを春樹さんが実にうまく引出して、一度で読んでしまうのは惜しい書でもある。ジャケットは、そのコンサート収録のCDを持ち合わせていたので、あらためて聴いてみると、違いがわかる。2枚目のCDは、術後1年あまりを経て、サイトウ・キネン・オーケストラとカーネギーホールで復帰公演を果たした「ブラームス:交響曲 第1番」のライブ盤。お気に入りの一枚である。