SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

第20回日本肝胆膵外科学会

2008-06-01 | 学会
 2008年5月29-30日山形大学消化器・一般外科の木村理教授と同教室の主催で第20回日本肝胆膵外科学会が開催されました。木村理先生は私と同じ浦和高校の出身で、普段から親しくさせていただいています。蔵王にはスキーで約15年前に行ったことがありますが、山形市に行ったのは20数年ぶりでした。山形新幹線にも初めて乗りましたが、東京から3時間以内で山形に着くのには驚きました。

 今回の学会のテーマは「安全でかつ確実な肝胆膵手術-死亡率ゼロをめざして」でした。肝臓や膵臓の外科手術はかなり安全になったとはいえ、依然として手術の危険性が高いことが問題ですので、大変意義深いテーマだと思いました。

 私は膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)の手術適応条件について発表しました。この膵腫瘍は主膵管型と分枝型に大別できるのですが、前者は高率にがんの部分が存在しますので全例手術適応と考えられるのに対して、後者は良性の腺腫であることが多く手術適応を再検討すべき時期に来ていると思います。実際、主膵管が5mm未満で壁在結節のない分枝型の切除例では13例全例が腺腫でした。しかし、画像診断では壁在結節や充実性の浸潤癌成分がはっきりしないがんもありますので、他の画像診断を十分駆使して検討することが必要となります。