郷が杜備忘録

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2018年の読書再録~「八日目の蝉」(角田光代著)

2022-11-02 | 読書

読んだ小説は、角田光代さんの「八日目の蝉」と「対岸の彼女」であった。
角田さんの作品は以前に「紙の月」を読んで以来である。
「紙の月」はTV版を見て(あったと思う、映画は見ていないので)、興味を持ち読んだものであった。

今回の「八日目の蝉」は、その変わった題名の意味を知りたかったのと、映画の予告編の影響による。
「八日目の蝉」は小説を読んだ後も、DVDも借りてきて見た。

赤ちゃんを誘拐して、自分の子として育てる永作博美が、印象に残った。
3歳ころまで育てて、フェリー乗り場で捕まってしまい、子供と引き離されるところが、悲しかった。
誘拐された子供が成長した役が、井上真央であった。

犯人とされた永作博美演じる希和子に育てられたため、本当の親に引き合わされてからも、両親との関係が
築けないことが、大学生になるまでずっと引きずり、子供の成長と親との関係が大事なことに気づかされた。
しかし、希和子にも恵理菜にも、そうなるまでの間に、無責任な、情けない男の存在があるのに気づいた。
希和子を妊娠させ、堕胎させた秋山丈博、恵理菜のアルバイト先に現れる理解あるような男、岸田、彼らは
自分の欲望のために女性を利用し、その挙句責任も取らず知らないふりをする。

小説の終盤、小豆島へ渡るため岡山のフェリー乗り場へ来た恵理菜と千草(映画では小池栄子)が、刑期を終えた
希和子と遭遇する場面があった。恵理菜は昔の記憶を思い出し、希和子は幼少育てた恵理菜(子供の時は薫)
の健やかな成長と将来の安らかさを願っている。小説は終わるが、二人のこれからが気にかかる終わり方だった。
私には、このあとの二人の人生がどうなるのか、特に希和子に幸福な人生が訪れることを願わずにはいられなかった。


『対岸の彼女」は直木賞受賞作品であった。




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