気の向くままに

山、花、人生を讃える

小倉山

2015年04月01日 | 

20年ほど前、一人飛び込みで下呂温泉の比較的安い料理旅館に泊まった。その時、旅館の主人が「どうしてここへ来たんですか」と尋ねるので、「山へ昇るため」と答えると、主人は「ああ、そうですか。山へ登る人に悪い人はいないといいますね」とかなんとか言ったので、その時、はじめてそんなことを聞いたのだが、「なるほどそうかもしれない」と思ったことがある。

たしかに山中に入ると、自然の中に抱かれ、自然の中に溶け込んだような、広々としたうれしい気持ちにさせられる。山に登り始めた頃、これはうれしい発見であり驚きだった。それは自然(野生)をとりもどしたような「自然人」というような感覚だったが、山に登る人はその感覚の歓びがあるから山へと向かうのだろう。こんな時には、おおらかでやさしい気持ちになっているから、「山に登る人で悪い人はいない」ということも一理あるように思う。

さて、いよいよ春山シーズンだが、昨日は先ず足慣らしということで近くの小倉山に登った。何度も登っている平凡な山だが、しかし自然に平凡はない。どこを見ても美しいし、どこを見てもうれしい。豊かな自然の一つ一つが鏡に映るように心の中に入ってくる。

木々は芽吹き前の静けさ。アセビは咲きはじめ、カンアオイも土の中から顔を出しはじめていた。

中腹の木漏れ日の射すところでは白い妖精のバイカオウレンが花盛りだった。

麓の桜は登る時には蕾が多かったが、下山の時にはこの日の暖かさで7分咲きの見ごろになっていた。

 

 

≪バイカオウレン≫

    

 

        人知れず春の宴か白き花

にぎやかに咲いているが、登山道からはほんの少しながら離れているので、気づく人はほとんどいないようだ。

 

コメント
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