「平成万葉集」第2部「女と男」の中で、こんなナレーションがありました。
平成時代の特徴として、
○50歳までに一度も結婚したことのない人は、男性では4人のうちの1人、女性では7人のうち1人・・・・と。
女性の「7人のうち1人」でも多いと思うが、男性の「4人のうちの1人」というのは、予想外を通り越して「それ本当の話?何かの間違いでは?」と疑いたくなるような数字です。それで、そのコーナーではこんな歌が紹介されていました。
恋をしてほしい息子は恋をせぬ ゆっさりと夏のケヤキみたいで
結ばれることはそんなに正しいか 未も既も消して非婚と書けり
勿論、結婚しなくたって問題があるというわけではないが、その数が多いとなれば話は別で、「何か変」という気がしてきてもおかしくないと思う。ところが、この頃の若い人は恋愛もしないのかと思うとそうでもないようだ。例えば、こんな歌が紹介されています。
ソックスを忘れた土曜の昼間でも 一番ホームの君を探している
コーラにもカレー粉にもある香料の ように私に必要な君
海のくせに黙って引いてゆくなんて 意気地なしって言えずに泣いた
待ち受けを空から海へ変えている 会いたくて仕方がない夜である
ケータイを畳み両手で胸に当て あこがれこがれこわがるなかれ
大嫌い何度も思った帰り道 でも君意外とは喧嘩はしない
永遠の時間をかけて君が好き 北斗七星は明日も七つ
こういう歌を見ると、「青春て、いいなあ」と思うし、応援したい気持ちにもなります。
ところが、人生は複雑であって、いや、人の心が変わりやすいのか、こんな歌も出て来ます。(笑)
ホームラン打ったつもりで結婚し 三十五年試合は続く
家じゅうにお節介なる声のする 家電いずれも女のしゃべる
この世には弱い女はいてません はかなげ見せこそ最強の人
妻と毒字画似ておりあなどるな 目には見えねど牙を持つ
緒の切れた堪忍袋携えて 今週も行く熟年離婚講座
と、いうように、思わず「同感!」と笑ってしまうものもあります。
まあ、いろいろありますが、どれも人生の一断面。
『神との対話』によれば、人間は、喜びも悲しみも、いろいろ経験しながら、何がほんとうの自分かを経験的に知るのだと・・・。
そして、悲しみの経験が人を育てる、大きくするということも事実。(だからといって「悲しみ」を経験したいとは思わないが)
人の歌の紹介ばかりでは申し訳ないので、わたしも作ってみました。まじめな歌なので絶対笑わないでいただきたい。
お前のこと今でも好きと言いたいが 何とかならぬかそのおせっかい
あな嬉し「長生きしてね」に喜べば 年金たくさんもらえるからだって
昔ヒデハルさん今お父さん 一度やさしく「あなた」と呼んで
え~、可笑しいと思ったら、どうぞご遠慮なくお笑いください。笑うのは健康にもいいそうですのて。
泣くのも良いそうだが。
それでは最後に、お口直しで(前の)天皇・皇后陛下のお歌です。
人々に見守られつつ御列の 君は光の中にいましき (平成21年 皇后陛下 即位の日を思出して)
五十余年吾を支え来し我が妹も 七十七(ななとせなな)の齢迎えたり (平成23年 天皇陛下)
去れる後も如何に思わむこの苑(‘その)の 光満ち君の若くませし日 (平成30年 皇后陛下)