ⅩⅩⅩⅩⅢ「アイス・ポイズン」を観る聴く、
ミャンマーの田園、畑焼き、親子、枯れ草を集めて、小屋の前で野菜を袋詰め、野菜の値段が語られる、経済問題なのだ、収穫と値段と、親子は連れだって街に、野菜を売った帰りか、知り合いと語らい、尋ねて、座って、世間話、手仕事の夫人、老婆、大きなベルトの回転する小屋の男、金を出資してくれる人を探し歩いていたのか、何に利用するのか、その男から漸くに金では無く中古のバイクを借り受けて、バイクを遣っての配送の仕事、牛を担保に、こうして息子はバスの停留所に、街から遣ってきた人を乗せて、郊外まで運ぶのだ、バイクタクシー、認可制では無いのか、誰でも出来るのか、バスの乗り口には多くのこんな若者たちが集まって声を掛けている、しかし、なかなか、客は見つからない、簡単には稼げないのだ、そんな最中、一人の娘が、急いでいると、交渉、斯くてバイクに、走る走る、娘は後ろの席に座って、風が彼女の顔に吹き付ける、手前の息子と、後ろの娘と、それぞれに何を見詰める、無言、ひた走る、舗装されていない道、この疾走こそが、近代、二人の揺らぎこそが、中国系の人々、娘はやっと実家に辿りついて、母は遅かったなと、息子はとり決めた金以上を請求、娘は決めたでしょと、納得いかない顔、母はそのくらい払えと、払い終えて小屋の中に、実は娘の祖父が危篤、娘は嫁入りした中国から戻ったのだ、死に装束を持ってきたのだ、文革の時に埋めて隠していたもの、それを持って遣ってきた、待っていた母、慌てて祖父の元に、ここには死に装束すら無いのか、が、既に瀕死、そのままに死してしまう、ドラマはここから娘の世界に、息子の世界は離れてしまう、この転回が素晴らしい、映画はどこに、出向くのか、祖父の死、葬儀のために母と娘はまた街の者に金の普請に、やはり経済問題、娘は中国に嫁入り、年の離れた老人の元に、どうも面白くない現実、耐えられなかったらしい、戻ったここで暫く働くと、直ぐに戻る気のない娘、そんな娘の元に携帯電話を持って現れるバイクの配送の仕事の青年、ドラマは始まりの親子と繋がってくる、一安心、人を乗せて運ぶことがなかなか旨く行かずに、こんな運び屋をしているのだ、街に娘の中国の家から連絡が、そして、息子は娘の元に携帯を持って現れる、連絡が入っていると、娘に携帯を差し出すと、暫くして中国から連絡が、外を見ている息子、話す娘、暫くここに残り働くと、電話が終わり、息子は金を受け取って去って行く、また来なさいと娘、娘と始まりの息子の関係が交錯してくる、バス停では相変わらず、仕事が旨く運ばない息子、娘は知り合いに語らう、闇の商売、ドラッグの運び屋、金のためには一か八か、息子と約束、カラオケ、歌われる歌謡曲、二人はドラッグの運びに、彼らもまたドラッグを吸うのだ、火で炙り、嗅ぐ二人、二人の場、癒やされた間、バイクの疾走、売人ら、これもまた経済問題、金に余裕が出来たか、息子は父に、果物を買って戻る、父は水タバコ、父はどこまで知って居る、息子の様子で判っているか、それでも、金の為だ、結局何も言わない、娘の母だって、知らないはずもあるまい、知って、この現実、高台、二人して吸い、横になる二人、これは二人のセックスとも、歌う娘、この歌声の中、疾走する、バイク、前移動のカメラ、素晴らしい、この空気、間、だが、次の売人の元に娘が近寄ると娘はそのままに捕らえられてしまう、これは警察か、対向するやくざ者か、主人公は遁れる、走る走る、バイク、息子は狂気のごとく、父を探すのだが、家に父は居ない、裸で、罵り、叫び、一人、始まりの畑に、火を放つのだ、捌かれる肉、牛を担保にしたときに、決めた日が来て返せないときには、牛を貰い始末すると男は語っていた、今捌かれていく牛、肉、もしかしたら、あの娘を捕らえた者たちは、街の男の手下では無かったか、初めから利用して、こうして娘の手にした金を奪って、ならば、働かせて、全てが男の手に、壊れかけたバイクも旨くさばけて、牛を売り金に、見事に経済問題、近代なのだ、これが、貧しい農民の父と息子、貧しい母と娘、バス停、あの空気、響きはまさに、途上国の現実、雑踏、屯す人々、それでも巡る、回る、金が、経済が、関係が、野菜が売られ、バイクと牛が交換され、バスが遣ってきて、バイクが疾走し、車の回転運動、男の小屋の大きなベルトの回転、ドラッグと金、捌かれ売られるだろう牛の肉、巡り、回り、これが近代、その狭間に、娘の悲劇、息子の狂気、これらを交えながら利用しながら回転するのだ、まさに途上国の近代、いや、世界中の近代、わたしたちの近代、近代のわたし、映画のわたし、痛々しいわたし、