ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅢ「彼岸花」を観る聴く、
始まりは東京駅、風の注意の標識、ベンチに座る駅員の二人が語らう、今日は日和が良いのかと、何組も新婚がホームにやってくると、そして、花嫁の器量までも、、良いのが余り居ないと、何処かコミカルだが、何処か嫉妬とも、未だ、その結婚に入り込めない二人の愚痴、背景を列車が走り去る、式場の外、ロングで捕らえる窓たち、一つの窓が開いて、白いカーテンが舞う、ドラマを招き入れて、結婚式、旧制中学の同級生たち、その一人の娘が結婚、挨拶する主人公、己らの夫婦と比較しての話、笑みの隣の妻、時代が変わった、二次会、馴染みの店、店の女将も馴染み、男が強いと娘が生まれ、女が強いと男が生まれるとの戯れ言、そこに女将、息子ばかりだろうと同級生、なんで判りますのと不審顔の女将、同級生らは皆それぞれに今や戦後の社会の中での重鎮たち、主人公も大きな会社の重役、二人の娘が、結婚の時期、家の中、式から先に戻った妻が甲斐甲斐しく後片付け、翌日には葬儀が在るらしい、明日はどうしますと妻、スーツで良いだろうと主人公、そうね、モーニングも混乱しますわね、戦時中に防空壕で四人で逃げて、あの時に、このまま家族一緒に死んでしまうかと、そんな過去が、四人でいつも食事して、あの時が懐かしいと妻、威張った奴らばかりで、私はあの頃は気に入らないと、時代が変わった、下の娘、自由な恋愛を語る、父らの見合いなど古いとばかり、そうかと、困惑顔の父、後から戻ってくる姉娘、使用人の伯母さん、小津のショットたち、人物を捕らえる構図、それぞれが何処を見ているのか、確かに、厳密に見れば、壊れているのだとも、ショットの主体たちは、何を見ている、まさに、カメラとしか、監督をとしか、詰まりは私たち、姉には見合いの話が、聞き入れる姉娘、会社、ビルの中、音が素晴らしい、建築の音、ドリル音、まさに、戦後、復興、更なる経済発展の中、朝鮮特需、この豊かさとは、結婚式に現れなかった一人の同級生が尋ねてきた、彼の娘が家を飛び出したのだ、ミュージシャンと同居して、娘はバーで働いているらしい、こんな事も在って、結婚式には出席出来ずに、主人公に、尋ねて様子を観てきてくれないかと、そこに関西から馴染みの宿の女将が、人間ドックに、彼女の娘の結婚相手を探して、女将にも適齢期の娘が、相変わらずに話し好き、終わるまで待てずに、トイレにと立ってしまう主人公、こうして休日に、女将の娘が尋ねてきて、人間ドックに入った母のトリックを語る、実はその医院の医師を娘と結婚させたいが故に、わざわざ、東京の医院に入ったのだ、ちゃんと見抜いていますと娘、庭を見詰める娘、視線、だが、その先に何が見えているかは判らない、この娘の視線と、主人公の視線、これは何を見ているのか、家の外、庭、家族の外、結婚話のドラマの中に、その外を見詰める、二人、孤独、個人の視線、哀しみ、関西の女将の娘と主人公の娘の語らい、座っている二人、対面しながらも、それぞれの後ろ姿、お尻の可愛らしさ、素晴らしい、手前の娘の後ろ姿、ずれて、横に、対面する娘の姿、約束、それぞれに助け合いましょうと、両親らに振り回されないように、主人公ら家族の箱根、ボートの姉妹、見詰め、手を振る母と父、四人で一緒に来れるのは最後かもと母、彼女もまた、孤独を感じている、子供たちは去って行く、いや、夫だって、どこに居るのだろうか、今や、四人一緒の食事など、特別なときでも無いと、それぞれに忙しいのだ、皆の帰りを待つばかりの妻、主人公ののオフィス、若者が書類を持って、そこに今一人の若者が、若者同士は知り合いか挨拶して、部下は去り、残った初対面の若者、主人公の姉娘と結婚したいと、今度転勤に成るので、それまでにしっかり決めておきたいと、姉娘は、母の勧める人とお見合いをしたばかり、主人公も気に入って、彼らはこれで漸くとばかり、だからこの青年の話に怒り、今日のところは帰ってくれと、そこにまた現れた始まりの結婚式に出席出来なかった友人、娘の事で、行ってくれたかいと、忙しくてまだだと、今日にも行ってみると、斯くてバー、先ほどに結婚したいと現れた青年と語らっていた部下の若者も連れて、知り合いらしいから、大学の先輩です、良い人らしいばかりで、満足に知らないのだ、何だ何も知らないでは無いかと主人公、しかも、この店のマダムと若者は馴染みらしい、ずいぶん歩いたのに、君知って居たのかと、困惑気味の、大人しくお澄ましの青年、マダムは詰る、そこに友人の娘が戻って、憶えているかねと主人公、理解する娘、話があるのだがと、店の後、中華料理、いや、ラーメン屋とも、いかにも中華に合いそうな板前たち、姿、喧噪、テーブルで、ビールを飲む主人公、食べる娘、彼女の彼氏が、挨拶、小遣いを差しだす主人公、しっかり拒む娘、ミュージシャンは、音楽理論の専門家、だが、食べて行くには、中々大変、それでも、二人して、理解の無い父と喧嘩して、飛び出して、二人の暮らし、何とかなっていますと、幸福ですと、しっかりした二人の姿に、何処か、許しと信頼の主人公、が、家に戻ると、早速に、ご機嫌斜め、妻には、お前は何も知らなかったのかと、そこに戻った姉娘、ここに来なさい、座りなさい、何よと娘、若者がやって来たことを告げる、何故に今まで話さなかったのだと、怒りを露わ、俺は認めない、許さないと、そんな権利は無いとばかりに娘は外に、彼の許に、アパート、廊下、なんで私に話してくれなかったのと娘、君からよりも僕がハッキリ話した方が良いと思ったのだと、もう遅い送っていこうと、二人歩く夜の通り、家に、玄関に、母が迎えて、彼を見詰める、挨拶して去って行く彼、主人公は決して許さないと、家を出るなと、会社など良いと、判ったなと妻にも語り、娘は部屋に、母の困惑、日を置いて、バーに主人公の部下がひとりで現れて、寛いで、一杯、安いいつもの酒だとばかり、今日は元気が良いのねとマダム、そんな威張っていると重役さんが来るわよと、こんな汚いところに来るかよと若者、が、早速に玄関に現れる重役の主人公、君はずいぶんと馴染みだねと主人公、佇み項垂れる若者、主人公は娘に父親からの手紙を差しだして、友人の娘には何処か理解を示して、去って行く、が、家に戻るとご機嫌は悪い、娘は外に出なかったろうなと、娘が現れて、お前、彼奴と関係が在るのかと、酷い言葉、呆れ顔の娘、もっと信用してよと娘、あの人だってそんな人では無いと、主人公のオフィスの電話、秘書の姿、関西の女将さんの娘がまたやって来たのだ、馴染みの店か、話ってなんだいと主人公、実は、私には好きな人があるのと、母は許さないと、傲慢で、決めつけて、飛び出してきたのだと、どう思いになると、君が幸福ならば、君が責任を持って決めたのならば、それで良いでは無いかと、他人の事には物わかりが良くて、笑みの娘、しめしめと、これはトリックと、姉娘に、父親の許しが出たと電話しますと、私の話は嘘なのと、困り果てる主人公、でも、この娘の素早い巧みさには如何とも、家では妻が笑みで迎えて、やっぱり良いお父さんだと、判ってくれたのだと、あの人も良い人らしいと、何が判るかと主人公は相変わらずに、不満顔、結婚式には俺は出ないと、それは困りますと妻、お前が良いと云うのだから、お前が出れば良いと、ならば、私も出ませんと妻、それは無いだろうと主人公、何処までも、矛盾だらけ、流石に、妻も、たたみ掛けの衣服を放り出して、迫ってくる、何だと主人公、しっかり物言われて、何が矛盾だと、どこかの学者の言葉まで持ち出して、愚かしさ、ゴルフ場、一回り終わった主人公の元に、始まりの結婚式の花嫁の父、友人の彼が、君の奥さんが来たよと、仲人を頼まれたと、俺は出ないよと主人公、ああ、出るな、出るなと友人、だが、この話は進めるよと友人、同窓会の話をも持ちかけて、こちらには出ろよと、判ったと主人公、ここにも、全てを見抜いての巧みな仕業が、妻の巧みでもあるのだが、主人公の傲慢など如何とも、戦後の、近代の巧み、いや、現実とも、家族の、恋愛の、今日風、戦前、戦中の青春、恋愛とは違うのだ、家では、妻と姉妹が結婚前の最後の晩の食事、だが、主人公は拗ねて戻っていない、妻は先に寝なさいと姉娘に、笑みの娘、そこに主人公が、相変わらずの顰めっ面、そして、妻の前に放る手袋と靴下、あなた出て下さるのと、皆が来てくれるのだから、出ない訳にはいかないだろうと主人公、妻は走る走る、二階に、階段を上がる、娘に語りかける、お父さんが出て下さるって、涙の姉娘、お母さん、心配掛けて済みませんと、涙、そして、長い橋、島の宿、結婚式では無く、その後の同窓会、麻雀に離れる者たち、残ったいつもの面々と僅かの他の者たち、始まりの結婚式に参列しなかった、バー仕事の娘の父が謡曲を、楠木の闘いか、目を閉じ、聴き入る仲間たち、戦前に青春を送った者たちのロマン、桜井の別れ、父と息子の別れ、今日の若者たちの青春から遠く離れて、母はラジオで三味線の響きにリズムを取っていた、中途で辞める謡い手、この辺で良いだろうと、もはや、青春から遠く離れて、翌朝、橋に佇むバー娘の父と主人公、子供たちは思うように成らないと、当たり前の話なのだが、彼らは、親の決めたままに結婚して、戦争に交わり、戦後の復興に追われ、家族は、子供たちは、知らず大人になって去って行く、洗濯物、竿に干されて、色彩、素晴らしい、何処の家族だ、このショットの相変わらずの凄さ、ドラマの繋がりなど、良いのだ、ショットごとの響き、風景画であり、肖像画で在り、繋がりは取り敢えずに、帰りに関西の宿に寄って、女将と娘と、主人公は問う、娘に、あの話、君にボーイフレンドが居るというのは、満更嘘でも無いのでは無いかと、はぐらかすばかりの娘、母を一人置いて出て行けないと、ならば養子でも良いでは無いかと主人公、巧みに動く娘だが、果たして、己の事においては、中々に、それでも、結婚式でも、一度もにこりともしなかった主人公を詰って、早く、笑いを見せてあげなさいと、広島に結婚して旅立った二人の元にこのままに出掛けなさいと、それが良いわと、直ぐに伯母さんに、主人公の妻に電話しますと、待てよと主人公、会社があると、そんなもの行かなくて良いと、待ちなどしない娘、女将もまた、あんないい人なんであなたは気に入らないのだと、詰め寄るばかり、女将の娘は主人公の妻に連絡して、女将に電話口に主人公を連れてこいと、斯くて、電話口の主人公、相手の妻は笑みで、主人公は渋い顔で、行くと決めては居ないと、口ごもりながらも、妻は判りましたと笑み、斯くて特急の中、電報を頼む主人公、車掌は大阪で打ちますと、広島到着を告げる電報、口ずさむ桜井の別れの歌、主人公に息子は無い、だが、今日の桜井の別れなのだとも、全ては、個々の絵画の中、ショットの中、お芝居の中、現実というお芝居の中、家族だって、結婚だって、ビジネスだって、時代の中のお芝居に過ぎない、父と娘も、母と娘も、姉妹も、重役と部下も、同級生も、友人も、作り物の中、孤独で在るばかり、女将の娘と共に部屋の外に視線を向けた、その先に在るのはラスト近くのあの洗濯ものなのかも知れない、まともに視線を子交わそうとすると何やら不吉な波乱が、だから、静かに、外を仰いでいよう、孤独を噛みしめて、部屋の中の赤い薬缶は、収まっているのか、叫んでいるのか、人物たちの孤独な叫びが聞こえますか、
始まりは東京駅、風の注意の標識、ベンチに座る駅員の二人が語らう、今日は日和が良いのかと、何組も新婚がホームにやってくると、そして、花嫁の器量までも、、良いのが余り居ないと、何処かコミカルだが、何処か嫉妬とも、未だ、その結婚に入り込めない二人の愚痴、背景を列車が走り去る、式場の外、ロングで捕らえる窓たち、一つの窓が開いて、白いカーテンが舞う、ドラマを招き入れて、結婚式、旧制中学の同級生たち、その一人の娘が結婚、挨拶する主人公、己らの夫婦と比較しての話、笑みの隣の妻、時代が変わった、二次会、馴染みの店、店の女将も馴染み、男が強いと娘が生まれ、女が強いと男が生まれるとの戯れ言、そこに女将、息子ばかりだろうと同級生、なんで判りますのと不審顔の女将、同級生らは皆それぞれに今や戦後の社会の中での重鎮たち、主人公も大きな会社の重役、二人の娘が、結婚の時期、家の中、式から先に戻った妻が甲斐甲斐しく後片付け、翌日には葬儀が在るらしい、明日はどうしますと妻、スーツで良いだろうと主人公、そうね、モーニングも混乱しますわね、戦時中に防空壕で四人で逃げて、あの時に、このまま家族一緒に死んでしまうかと、そんな過去が、四人でいつも食事して、あの時が懐かしいと妻、威張った奴らばかりで、私はあの頃は気に入らないと、時代が変わった、下の娘、自由な恋愛を語る、父らの見合いなど古いとばかり、そうかと、困惑顔の父、後から戻ってくる姉娘、使用人の伯母さん、小津のショットたち、人物を捕らえる構図、それぞれが何処を見ているのか、確かに、厳密に見れば、壊れているのだとも、ショットの主体たちは、何を見ている、まさに、カメラとしか、監督をとしか、詰まりは私たち、姉には見合いの話が、聞き入れる姉娘、会社、ビルの中、音が素晴らしい、建築の音、ドリル音、まさに、戦後、復興、更なる経済発展の中、朝鮮特需、この豊かさとは、結婚式に現れなかった一人の同級生が尋ねてきた、彼の娘が家を飛び出したのだ、ミュージシャンと同居して、娘はバーで働いているらしい、こんな事も在って、結婚式には出席出来ずに、主人公に、尋ねて様子を観てきてくれないかと、そこに関西から馴染みの宿の女将が、人間ドックに、彼女の娘の結婚相手を探して、女将にも適齢期の娘が、相変わらずに話し好き、終わるまで待てずに、トイレにと立ってしまう主人公、こうして休日に、女将の娘が尋ねてきて、人間ドックに入った母のトリックを語る、実はその医院の医師を娘と結婚させたいが故に、わざわざ、東京の医院に入ったのだ、ちゃんと見抜いていますと娘、庭を見詰める娘、視線、だが、その先に何が見えているかは判らない、この娘の視線と、主人公の視線、これは何を見ているのか、家の外、庭、家族の外、結婚話のドラマの中に、その外を見詰める、二人、孤独、個人の視線、哀しみ、関西の女将の娘と主人公の娘の語らい、座っている二人、対面しながらも、それぞれの後ろ姿、お尻の可愛らしさ、素晴らしい、手前の娘の後ろ姿、ずれて、横に、対面する娘の姿、約束、それぞれに助け合いましょうと、両親らに振り回されないように、主人公ら家族の箱根、ボートの姉妹、見詰め、手を振る母と父、四人で一緒に来れるのは最後かもと母、彼女もまた、孤独を感じている、子供たちは去って行く、いや、夫だって、どこに居るのだろうか、今や、四人一緒の食事など、特別なときでも無いと、それぞれに忙しいのだ、皆の帰りを待つばかりの妻、主人公ののオフィス、若者が書類を持って、そこに今一人の若者が、若者同士は知り合いか挨拶して、部下は去り、残った初対面の若者、主人公の姉娘と結婚したいと、今度転勤に成るので、それまでにしっかり決めておきたいと、姉娘は、母の勧める人とお見合いをしたばかり、主人公も気に入って、彼らはこれで漸くとばかり、だからこの青年の話に怒り、今日のところは帰ってくれと、そこにまた現れた始まりの結婚式に出席出来なかった友人、娘の事で、行ってくれたかいと、忙しくてまだだと、今日にも行ってみると、斯くてバー、先ほどに結婚したいと現れた青年と語らっていた部下の若者も連れて、知り合いらしいから、大学の先輩です、良い人らしいばかりで、満足に知らないのだ、何だ何も知らないでは無いかと主人公、しかも、この店のマダムと若者は馴染みらしい、ずいぶん歩いたのに、君知って居たのかと、困惑気味の、大人しくお澄ましの青年、マダムは詰る、そこに友人の娘が戻って、憶えているかねと主人公、理解する娘、話があるのだがと、店の後、中華料理、いや、ラーメン屋とも、いかにも中華に合いそうな板前たち、姿、喧噪、テーブルで、ビールを飲む主人公、食べる娘、彼女の彼氏が、挨拶、小遣いを差しだす主人公、しっかり拒む娘、ミュージシャンは、音楽理論の専門家、だが、食べて行くには、中々大変、それでも、二人して、理解の無い父と喧嘩して、飛び出して、二人の暮らし、何とかなっていますと、幸福ですと、しっかりした二人の姿に、何処か、許しと信頼の主人公、が、家に戻ると、早速に、ご機嫌斜め、妻には、お前は何も知らなかったのかと、そこに戻った姉娘、ここに来なさい、座りなさい、何よと娘、若者がやって来たことを告げる、何故に今まで話さなかったのだと、怒りを露わ、俺は認めない、許さないと、そんな権利は無いとばかりに娘は外に、彼の許に、アパート、廊下、なんで私に話してくれなかったのと娘、君からよりも僕がハッキリ話した方が良いと思ったのだと、もう遅い送っていこうと、二人歩く夜の通り、家に、玄関に、母が迎えて、彼を見詰める、挨拶して去って行く彼、主人公は決して許さないと、家を出るなと、会社など良いと、判ったなと妻にも語り、娘は部屋に、母の困惑、日を置いて、バーに主人公の部下がひとりで現れて、寛いで、一杯、安いいつもの酒だとばかり、今日は元気が良いのねとマダム、そんな威張っていると重役さんが来るわよと、こんな汚いところに来るかよと若者、が、早速に玄関に現れる重役の主人公、君はずいぶんと馴染みだねと主人公、佇み項垂れる若者、主人公は娘に父親からの手紙を差しだして、友人の娘には何処か理解を示して、去って行く、が、家に戻るとご機嫌は悪い、娘は外に出なかったろうなと、娘が現れて、お前、彼奴と関係が在るのかと、酷い言葉、呆れ顔の娘、もっと信用してよと娘、あの人だってそんな人では無いと、主人公のオフィスの電話、秘書の姿、関西の女将さんの娘がまたやって来たのだ、馴染みの店か、話ってなんだいと主人公、実は、私には好きな人があるのと、母は許さないと、傲慢で、決めつけて、飛び出してきたのだと、どう思いになると、君が幸福ならば、君が責任を持って決めたのならば、それで良いでは無いかと、他人の事には物わかりが良くて、笑みの娘、しめしめと、これはトリックと、姉娘に、父親の許しが出たと電話しますと、私の話は嘘なのと、困り果てる主人公、でも、この娘の素早い巧みさには如何とも、家では妻が笑みで迎えて、やっぱり良いお父さんだと、判ってくれたのだと、あの人も良い人らしいと、何が判るかと主人公は相変わらずに、不満顔、結婚式には俺は出ないと、それは困りますと妻、お前が良いと云うのだから、お前が出れば良いと、ならば、私も出ませんと妻、それは無いだろうと主人公、何処までも、矛盾だらけ、流石に、妻も、たたみ掛けの衣服を放り出して、迫ってくる、何だと主人公、しっかり物言われて、何が矛盾だと、どこかの学者の言葉まで持ち出して、愚かしさ、ゴルフ場、一回り終わった主人公の元に、始まりの結婚式の花嫁の父、友人の彼が、君の奥さんが来たよと、仲人を頼まれたと、俺は出ないよと主人公、ああ、出るな、出るなと友人、だが、この話は進めるよと友人、同窓会の話をも持ちかけて、こちらには出ろよと、判ったと主人公、ここにも、全てを見抜いての巧みな仕業が、妻の巧みでもあるのだが、主人公の傲慢など如何とも、戦後の、近代の巧み、いや、現実とも、家族の、恋愛の、今日風、戦前、戦中の青春、恋愛とは違うのだ、家では、妻と姉妹が結婚前の最後の晩の食事、だが、主人公は拗ねて戻っていない、妻は先に寝なさいと姉娘に、笑みの娘、そこに主人公が、相変わらずの顰めっ面、そして、妻の前に放る手袋と靴下、あなた出て下さるのと、皆が来てくれるのだから、出ない訳にはいかないだろうと主人公、妻は走る走る、二階に、階段を上がる、娘に語りかける、お父さんが出て下さるって、涙の姉娘、お母さん、心配掛けて済みませんと、涙、そして、長い橋、島の宿、結婚式では無く、その後の同窓会、麻雀に離れる者たち、残ったいつもの面々と僅かの他の者たち、始まりの結婚式に参列しなかった、バー仕事の娘の父が謡曲を、楠木の闘いか、目を閉じ、聴き入る仲間たち、戦前に青春を送った者たちのロマン、桜井の別れ、父と息子の別れ、今日の若者たちの青春から遠く離れて、母はラジオで三味線の響きにリズムを取っていた、中途で辞める謡い手、この辺で良いだろうと、もはや、青春から遠く離れて、翌朝、橋に佇むバー娘の父と主人公、子供たちは思うように成らないと、当たり前の話なのだが、彼らは、親の決めたままに結婚して、戦争に交わり、戦後の復興に追われ、家族は、子供たちは、知らず大人になって去って行く、洗濯物、竿に干されて、色彩、素晴らしい、何処の家族だ、このショットの相変わらずの凄さ、ドラマの繋がりなど、良いのだ、ショットごとの響き、風景画であり、肖像画で在り、繋がりは取り敢えずに、帰りに関西の宿に寄って、女将と娘と、主人公は問う、娘に、あの話、君にボーイフレンドが居るというのは、満更嘘でも無いのでは無いかと、はぐらかすばかりの娘、母を一人置いて出て行けないと、ならば養子でも良いでは無いかと主人公、巧みに動く娘だが、果たして、己の事においては、中々に、それでも、結婚式でも、一度もにこりともしなかった主人公を詰って、早く、笑いを見せてあげなさいと、広島に結婚して旅立った二人の元にこのままに出掛けなさいと、それが良いわと、直ぐに伯母さんに、主人公の妻に電話しますと、待てよと主人公、会社があると、そんなもの行かなくて良いと、待ちなどしない娘、女将もまた、あんないい人なんであなたは気に入らないのだと、詰め寄るばかり、女将の娘は主人公の妻に連絡して、女将に電話口に主人公を連れてこいと、斯くて、電話口の主人公、相手の妻は笑みで、主人公は渋い顔で、行くと決めては居ないと、口ごもりながらも、妻は判りましたと笑み、斯くて特急の中、電報を頼む主人公、車掌は大阪で打ちますと、広島到着を告げる電報、口ずさむ桜井の別れの歌、主人公に息子は無い、だが、今日の桜井の別れなのだとも、全ては、個々の絵画の中、ショットの中、お芝居の中、現実というお芝居の中、家族だって、結婚だって、ビジネスだって、時代の中のお芝居に過ぎない、父と娘も、母と娘も、姉妹も、重役と部下も、同級生も、友人も、作り物の中、孤独で在るばかり、女将の娘と共に部屋の外に視線を向けた、その先に在るのはラスト近くのあの洗濯ものなのかも知れない、まともに視線を子交わそうとすると何やら不吉な波乱が、だから、静かに、外を仰いでいよう、孤独を噛みしめて、部屋の中の赤い薬缶は、収まっているのか、叫んでいるのか、人物たちの孤独な叫びが聞こえますか、