ⅭⅩⅩⅩⅠ「三尺左吾平」を見る聴く、
伊達藩、藩内の権力争い、幼い江戸表の殿、取り巻きの狙い、殿を貶めて実権を握ろうと、愚かしいばかりの正月の飾り立て、この姿に呆れて酒に酔い物申す武士、そこに左吾平が、飾りを手にして現れた、これでどうだとばかり、驚きの武士、首を賭けるとならば今私が斬ろうと、長い刀に手を掛ける、主人公、悪かったと武士、刀は殿の為にこそ抜くのだと武士、命は飽くまでも殿のためだと、理解する左吾平、この武士は謀略家らに反発する上司の家来なのだ、だが、政治の趣は何も知らない左吾平、彼は貧しい武士の一人、同僚が江戸から戻り殿と対面したと自慢、堪らない左吾平、項垂れて、いつまでたっても出世は出来ないと、甲斐甲斐しく働く母、母と子の家、友人の男が妹を連れて現れる、妹の面倒を頼むと、彼女には結婚話が、これを拒むべく友人は左吾平との約束が有ると語ったのだ、早速に呼ばれる左吾平、友人の妹は手前どもで面倒を見ておりますと語るのだ、こうして妹との同居が、可愛い娘、だが、恥じらいで何も出来ない左吾平、謀略家らはまたしても悪巧み、たまたま殿が語った平目が手に入ったと、ありもしない平目、架空のひられめ、殿の狂気を演出しようというのだ、これを江戸表に届けようと、直ぐに送り届けられる者がよいと、こうして出世を夢見る左吾平、殿にも対面叶うと聞かされ、左吾平は名乗りを上げる、一方始まりの主人公に殿のためにこそと語った武士は上司から命を受けて、いよいよだと、殿のために死ぬ覚悟の武士、始まりでの飾り付けの事で切腹の話まで出たが、却って暴力家らに収められて居た、彼らはこの武士らをも手の内にしようとの事なのだろう、そして、左吾平の腕をも試して、襲いかかり、左吾平は見事に大木を切り倒しても居たが、この腕試しの武士達の前で、笑いものにする武士達の前、主人公のアップ、次のショットでは、笑う武士達、去って行く主人公、が、大木が見事に一太刀で斬られて、戦きの武士達、語りの武士は左吾平に形見の品と印籠を差し出す、受け入れる左吾平、だが、愚かにも左吾平はこの話を仲間にしてしまう、こうして漏れた形見の話、何か敵方がしでかすと察せられて、謀反、故に切腹に、愚かな主人公、彼は何も知らずにひらめを運ぶ、だが、中身は、戦きの主人公、いったい何が、項垂れて遅れて到着、最後に殿に会って己の不始末を罰して貰おうと、中身が無かったのでは、変わってしまった、あるいは、だが、これが殿を助けたのだ、架空のひらめが届けられるはずもなく、遅れたが故に、殿は助かったのだ、罰するはずもなく、謀略家達の手配は叶わず、難儀だったとばかり、だが、その晩の宴、左吾平は殿の食事に毒を盛る女の部屋に、何も気づかなかったが、女の方が察して戦いて、謀略家は医師にまた毒を作らせて左吾平をも始末しようと、出世の為に働く仲間、仲居は消えて、不審の主人公、偶然か、その場を去る、何が仕組まれたか、解らないまま、去っていく、そこに知らず、主人公の席に、怪しい仲居と共に戻った仲間は主人公の杯を飲み干す、そこには毒の入った酒が、滑稽、謀略家達の仕業はまたしくじりに、戻った左吾平は皆に殿のことを告げる、娘にも土産が、だが、誰も相手にしてくれない、娘も実家に戻ってしまった、左吾平は初めて知る、己が語った武士の形見の話が漏れて武士が切腹になったこと、主人公が彼を殺してしまったのだと、皆の冷たい視線、己の出世欲、己の誉れのことばかり考えて、あのひらめも謀略家らの狙いの品なのだ、そして、桶の中には江戸表への手紙が入っていたのだ、まんまと謀略家らに利用された主人公、今初めて己の馬鹿さに気づいて、でも、この江戸よりの帰り、あの毒を作った医師を助けていた、左吾平は何も知らずに、この医師を始末しようとした原田甲斐の医師に対しての追っ手を一閃で片づけていた、今故郷で再会、この医師こそが毒を作った張本人、そしてその裏に居る謀略家も判明、医師こそが、証人、、最後の決着の為に武士の上司は謀略家らと対決の場に、だが、謀略からの手の内に填まり苦境に、そこに左吾平よりの手紙が届く、涙の上司、見事に解決、謀略からの仕業は、全て始末されて、何か欲しいものは無いかと上司、何でも望めと、いやと主人公、あの失敗を理解して、己故に死した武士の痛みを判って、何も望まない、貧しい武士のままに居りますと、ただに殿の前の金平糖ばかりをと、こうして近所の子供達にこの甘菓子を与えると最後に差し出した手の主は友人の妹娘、彼女もあの一件以来、武士の死以来、主人公の屋敷から、立ち去っていたが、また戻ってきたのだ、笑みで、風景の勝利、林の中の映像、輝き、最後の門、ロング、木々、通り、ロケの勝利、空間の勝利、屋敷の、美術の勝利、今ではこんな世界、空間はなかなか作れない、撮れない、エノケンを使ってのどこか滑稽な映画ではあるのだが、画面は見事です、あの説得の武士の死はしかし、余りに痛い、悲しい、己のしくじりの中でも、信頼する、尊敬する人の死を自身が招いてしまったことの苦悩、しかも、勝利は偶然に、確かに医師を助けたことが要因ではあるのだが、ひらめの件も、医師の件も、あまりに偶然、大木の一閃、走る主人公、捕らえに来た人々をあっという間に走りきるばかりで、皆を倒してしまう、主人公、楽しさ、遊び、刀は、鋭いが、結局、尊敬すべき侍を助けることは出来なかった、切腹させてしまった、これが武士の世界、偶然の勝利で、笑っていて良いのか、金平糖を手にして、子供達、娘は、喜んだ、だが、侍の世界は、門の中に、閉ざされて、刀の世界の悲しさ、軍事の悲しさの中に、どこまでも、