こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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「癒しのエンゼルケア」セミナー

2010-07-07 23:13:22 | 訪問看護、緩和ケア
今日は朝から訪問看護振興財団主催の「癒しのエンゼルケア」セミナーに行ってきました。
普段電車通勤していないので、朝から満員電車はキッツいです。(電車通勤の皆様、いつも通勤ごくろうさまです。)

でもおかげで「もやしもん9巻」をじっくり読むことができました。
いやー、深いですよ。いろいろと・・・
(余談ですが、、もずく酢を冷蔵庫に入れっぱなしで、期限切れをなめてみたら、舌がびりびりしました。
元々醸されているお酢につけて密封してあるのに、さらに醸されたのでしょうか…深いです。)

話は戻りますが、
場所は虎ノ門の日本振興財団です。

道路を隔てると特許庁が・・

中に入ると、受付をして会場に入るのに、セキュリティーが厳重なのに驚きました。
ゲートに警備員が監視していて、カードをつけてないとゲートをくぐれません。

さて、今日の講師は「ナーシングリソース」の馬場先 淳子先生です。

ナチュラルな感じで、白いシャツがお似合いの素敵な先生でした。
午前中は、事例などを織り込んでの、終末期のかかわりや、看護師は大前提で人として患者さんとどう向き合うのかというようなお話でした。

午後からはエンゼルメークの実際でした。

準備として、いろんな化粧道具をもらって集めておくのもよいとのことでしたが、同じ化粧道具を何人ものご遺体で使っていくのに若干抵抗感がありました。

まずは、お顔をきれいに拭いて、しっとり系のクリームを塗り、そのうえから蒸しタオルでむします。
数分後に、クリームをふき取るようにタオルを外し、乳液、ベース、ファンデーションとつけていきます。
ファンデーションとしては、花王ソフィーナの半練りタイプが、とても伸びがよく自然に肌にフィットするとのこと。
もし、皮膚にシミや小さな凸凹があるのなら、コンシーラーで補正します。
眉は、ペンシルではなく筆で書いたほうが自然。
マスカラは、あまりけばけばしないものをつけると、斜め上からのぞくととても美しく見えるそうです。
この際、アイライナーは細くつけたほうがよいそうです。
そして、湯上りのような自然な柔らかさを出すために、良質のはけで、目元~目じりに向けてうっすらとピンクのチークを入れるときれいになります。
口紅は、一度唇の色をファンデーションで消してから、まず輪郭を紅筆で書き、そのあと口紅を塗ります。
このとき、輪郭を本来の唇よりややふっくらと書き、口角が下がっていれば補正して書きます。

これで、とてもきれいなお顔となります。

産毛は出来れば逆剃りしないように、そっと剃ったほうがよいのですが、なるべく摩擦が少ないように注意が必要です。
剃刀での傷跡は変色して残ってしまい、とても目立ってしまうからです。

男性のシェービングは、横にがーが―すらないで、ポイントで縦に押しつけるように剃っていくのが良いそうです。

また、目がどうしても閉じないときは、私はご家族に目を閉じたほうがよいかを確認して、ティッシュ1枚だけ小さくちぎって瞼の下にいれます。
摩擦抵抗によりきれいに目は閉じますが、抵抗のある方は、アイプチ用の接着剤を使用したりするようです。
以前、チンキャップのコストが高いことを業者に詰め寄ったら、奥歯に接着剤を使用する方法を研究中だと話していました。

これは基本なので、あとはお元気だったころの写真を見せてもらったり、ご家族の話を聞いたりしながら、いつものお化粧に近い形にしていきます。

どちらにしても、ご遺族にとって、愛するご家族の身体を変にいじられたくないのは当たり前です。
ちゃんとしたご説明の上、席を外して頂いても良い事をお伝えすることも必要です。

また、消化管出血などの様な場合でない限り、詰物はしなくても大丈夫な事も多く、何もしない選択もあることも説明する必要がありますね。(ただし、絶対出ないかというと、断言できませんが・・)


ともかく、私たちの願いは、「穏やかで眠るように美しいお顔で、最後のお別れができれるように・・・。」ということです。

もし、お顔に傷などがあって、どうしても隠しきれないときは、髪の毛をウェーブさせて隠したり、お花で隠したりちょっとした小物を使って工夫するとよいようです。

また、エンゼルケアの時に、ラベンダーのアロマオイルを噴霧したり、質の良いお香を焚いたりすることで、家族の気持ちも鎮めることができるそうです。

ただ、どちらにしてもコストがかかりますので、訪問看護ステーションでは持ち出しになってしまいますね。

そこまで効果がなくても、私的には清拭用のお湯にバブなどの沐浴剤を入れてもよいと思います。
特に、排濃や排せつ処理後などの消臭にも効果があると思います。

また、
ヒュー・メックス社の方もみえていて、高分子ポリマーのエンゼルケアセットの展示や説明もありました。
これは、まだ訪問看護ステーションではあまり普及していず、馬場先先生も使ったことはないそうです。

いろんな質問もあり、全体の感想としては、うちのステーションでも実践されていることが多かったなと感じました。
高分子ポリマーも1年以上前から使っていますし、ご家族のご要望によっては、エンゼルケア用の化粧セットも使っています。
このファンデーションは、油分が多くご遺体の肌になじみやすく、チークと口紅も付いています。
刷毛やブラシは、同じものを使っていくことの抵抗感があり、ご利用者さんの受け止めなどを聞いていく必要を感じました。

死後の処置を医師の死亡確認前にしておくよう指示があったが、やってもよいのかという質問がありましたが、先生は「医師の指示があればいいのでは・・。」と答えていました。
でも、これは実は×なんですよね。
ただし、死亡時刻(死亡確認)が死後の処置の前なら問題はないので、そこのところで医師とよく話し合っておくことや、あとから普段関わりもしないのに、そういうときだけワーワー騒ぐ御親戚もいるので、ご家族と書面なりでの確認をしておくことが大切だと思います、
ちなみに、医師法で死亡時に立ち会えなくても、普段から診療している患者さんであれば、前後の状況からあとで死亡時刻を決めることが許されてますので、うちステーションでは、そこで医師、看護師、家族間での十分な関係性が築けていることを前提に、説明、文書の交換をしています。
この説明のタイミングも、看護師の判断が重要になってきますので、これも訓練ですね。