こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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苦しみの中でも・・

2010-07-23 23:37:44 | 訪問看護、緩和ケア
今日、日本の混沌とした時代を看護師として支えてきた女性が、90年の人生に幕を引きました。

いつも、気使いを忘れず、清拭やマッサージをすれば「ありがとう。ああ、気持ちいい・・」と言ってくれた方です。
ぎりぎりまで、自分で座薬までいれて、我儘をほとんど言わない方でした。
息子さんが介護者だったので、無理は言えなかったのか、いつも静かな方でした。

「Kさん、私たちの大先輩ですね。お国のために、頑張ってこられたのですね。」

と言うと、満面の笑みを浮かべて、恥ずかしそうにうなずいていました。

そして、今日が旅立ちの日となりました。
これからは、ゆっくりお休みできますね。




夕方、訪問から戻ると以前訪問していて、ホスピスに入院されていた患者さんの娘さんが来ていました。

「あら?Tさんじゃない。」
「あー!!よかった、会えたー。」とTさん。

お母様をお見送りできたという報告をしに来てくれました。

お母様との間には、苦しい葛藤の時間があって、私も担当看護師も長い時間をかけて、娘さんの気持ちを聞いていましたから、娘さんのお元気そうな姿をみてほっとしました。

最後の時間を、ホスピスで過ごしたことで、自分に余裕ができてお母さんにも穏やかに接することができたようです。
そして、長い間言えなかったお母さんへの感謝の気持ちも、「ちゃんと言えたの!」と誇らしげでした。

苦しみの中でも、光は射します。

その光をちゃんと感じて、プラスに転換することができたようです。

毎日、庭をみながらお母さんと二人でアイスクリームを食べていたの。」

私には、母と娘が柔らかな新緑の庭のベンチで、よりそう姿が見えました。

本当に、「死」というものは、苦しみとともに、今まで見えなかったものを見せてくれるものだと思います。

「これからは、自分の時間を楽しみたいの。」

もちろんOKですよ。本当にみんな、みんな頑張ったね。

もう頑張らなくっていいからね。



それにしても・・・

こんな毎日の中で、実は人出不足で新患さんを受けられない状況になっています。

新患さんの電話をお断りするたびに、とても苦しい、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいます。
訪問看護は、素敵な仕事です。
本当にたくさんのものを、患者さんやご家族から得ることができます。
難しい理屈も、無理やりひねくった看護用語も要りません。
素直な気持ちで、患者さんに寄り添えるのは、訪問看護の特権です。

誰か一緒に訪問看護しませんか?