こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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ご家族それぞれ。

2012-06-06 23:14:35 | 訪問看護、緩和ケア
学生さんの素朴な疑問。

2週間の長い在宅実習を間もなく終える学生さんが、ちょっと考えながらこんな質問をしてきました。
「この2週間の間に、お二人のお看取りに向けての最終的な場面に立ち会わせて頂きました。
お一人は、ご家族もすごく悩んで苦しんで、泣いて泣いて病院をえらばれました。でも、お一人は間もなくお別れが来る話をされても、最後の経過の説明の時にも、なんだか全然悲しそうに見えませんでしたし、どちらかというと、笑顔も多く見られました。これはどういう事なんでしょう??」と。

色々な方の最後の場面で、ご家族の表情は確かに大きく変わります。

もちろん一概には言えませんが、比較的ご高齢者のお看取りの時には、ご家族の受け止めがとても冷静だったり、悲しさのなかにもどこか納得され、泣き笑いの中で見守られる場合が多いような気がします。

日本には、「天寿全う」とか「大往生」という言葉があって、文化として長寿のかたが亡くなるときには、「よかったよかった。立派な最期だった。」「大往生であやかりたい。」などという言葉さえ聴かれたりします。

思い起こしても、私のおじいちゃん、おばあちゃん、親戚のお年寄りのお通夜などは、かなり賑やかなものでした。
仏教思想も根ずいていて「仏様になった。」「三途の川を渡って、あちらに行った。」「今頃おじいさんと会えた頃かね。」という感じでしょうか。

そこには、高齢者の死を、自然な経過として受け止められる、人間本来の感性みたいなものがあるように思えます。


悲しいのは当然のこととして、「長い間ご苦労様。もう逝っていいよ。」「もう十分生きた。あとは極楽往生だ、」という日本人の死生観もあるように思えます。
ご家族の関係性や、介護にかけた思いなどにもよりますしね。



こんなことを言っていると、何言ってるんですか!
うちは、悲しくて辛くて仕方なかった!
と怒られるかもしれませんが、あくまでも傾向として多いような気がするという、私の主観的な話です。

年齢で悲しみの大きさは測れるはずもありませんが、人として寿命を全うして、精一杯生き抜いた方のお別れは、私たちもどこか晴れ晴れとお見送りすることが出来ます。