こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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褥瘡がお好き?

2012-06-29 22:38:30 | 訪問看護、緩和ケア
先日、PCで褥瘡の写真を整理している私を見て、事務のOさんが「すごく、楽しそうだね。」と言いながら通り過ぎていきました。
Windows Live メールで、患者さんの褥瘡アルバムを作って、新規に往診医をお願いした先生に、経過を送ろうとしていたのですが、その姿がどうやら楽しそうだったみたいです。

確かに、私は褥瘡の写真をコレクションしていて、患者さんごとにファイルして、時々よくなる経過を眺めてはうっとりしています。

でも、事務方は素人さんなので、褥瘡はじめ瘻孔や皮膚病変や、医療処置の写真を、そのままにしておくと、「写真を表向きに置いとかないでください!」とよく怒られます。(-_-;)

「そろそろ、慣れてくれない?」「嫌です。」みたいな会話を繰り返しているわけす。

スタッフも、訪問中によく褥瘡や湿疹を写メしては、メールで送ってくるので、嫌でもその数は増えていくわけです。

ご了解を頂いた患者さんでは、その写真を使って事例発表用にまとめたりすることもありますが、もっぱらそういう写真は、主治医や皮膚科往診医との連携用に使用します。

これをうっかりマイドキュメントのピクチャーに入れてしまうと、知らないうちに褥瘡の拡大写真がスクリーンセーバーとなって、次々とPCの画面を彩ることになるのです。

最近の、うちの褥瘡の患者さんの傾向は、踵の褥瘡です。

退院前に、ケアマネさんから「踵に軽い褥瘡があるみたいです。でも、もうほとんど良いらしいですよ。」と言われ、初回訪問で確認すると、両方の踵が真っ黒・・と言う事が立て続けにありました。

褥瘡も、潰瘍になってジュクジュク汁が出ていると「何とかしなくちゃ。」と思うのかもしれません。けれど、踵によく見られる一度水泡になって、その水泡がそのまま吸収され、乾いて硬く真っ黒になった皮膚が張り付いているドライなものは、放っておかれることが多いようです。

でも、そのドライな痂疲の下は、実はけっこう深くダメージがあって、やがてダメージのある皮下組織が自壊してくるのです。

お一人は、ドライな褥瘡の下が深そうだったので、皮膚科の先生に往診をお願いし、デブリ―トメントをして頂きました。
麻酔をして、鋏でチョキチョキ黒いカサ蓋を取ると、その下は黄色くブヨブヨとした壊死組織で、鋏で切っても血は出ません。
この部分をきれいに切り取り、赤いお肉だけになるよう掃除して終わります。
この時は、皮膚科の先生が「リラウェーブ」を貸してくださいました。
リラウェーブは、日本褥瘡学会の真田先生がおすすめの、微小振動装置で、足の部分のマットの下にこの板状の器械を入れておき、一日に2回10分ほどずつスイッチを入れるだけというものです。
この板が、微小振動を発生させることで、血管の再生を図り、創の治癒が早まるらしい・・というものです。
この板のおかげか、かなり深い褥瘡でしたが、3か月ほどでほぼ完治しました。
そして、先日退院された患者さん。
大腿骨骨折のため、股関節に人工関節を入れ、そのまま寝付いてしまった方です。
退院後は、ご家族が看るのに、入院中一度も処置も創も見せてもらえなかったそうです。
そして、右足はゲーベンクリーム、左足はワセリンのみだされ、「これを塗っておけば治るから。」と言われ帰されてきました。

でも・・

右踵は、黒色痂疲の下から、すでに膿が流れてきており、周囲の皮膚食も悪く、とてもこのまま治るものではありませんでした、
左の踵は、水泡も皮がまだブヨブヨ残っていて、その破れた水泡の下が、紫色になっていました。
どちらもかなり深く、やはりデブリの対象となりました。

股関節の人工関節の手術の後は、上むきで両足が内転・内旋しないようにしますから、踵の褥瘡リスクはとても高くなります。まして、糖尿病がある為、末梢神経障害があり、感覚が鈍いのでなおさらです。

現在、2度目のデブリを終わりました。まだまだ写真は増えると思います。

要は、環境を整え、必要な物品を揃え、きちんと洗浄、処置を行っていくことで、どんどん治っていく褥瘡を見るのが好きなのす。

褥瘡は、実は在宅でできるよりも入院中、入所中に出来ることが多いのです。

その褥瘡をせっせと治す。

褥瘡は、ぜひ訪問看護師に見せてください。
褥瘡大好きなのが、訪問看護師です。(褥瘡見ると治したくなる!)
かなりの確率で、速やかに治りますよ。