Sketch of the Day

This is Takeshi Kinoshita's weblog.

Committee on the History of Modern Landscape(CHML)

2005-04-28 | Japan
2005.4.27.Wed
*読売新聞の取材を受ける
昨年度、流山市の新川耕地の有効活用計画を扱った環境デザイン実習5(学部3年生の授業)の内容について、読売新聞の「教育ルネッサンス」という連載コーナーで紹介させていただきたいということで、受講生らと共に取材を受けました。実習の成果については先月、流山市の井崎市長さん以下、市の職員のみなさんに向けてプレゼンをさせていただき、地元紙千葉日報にも掲載していただきました。実社会で生起している問題を大学の授業のテーマに取り上げ、得られた成果を再び社会に向けて発信したことを評価していただいたのではないかと考えています。授業には、未来風景社の高橋靖一郎さん、鶴島孝一さん、近藤卓さんも参加していただいてデスククリティックをいただきました。重ねて御礼申し上げます。

*近代○△史出版企画キックオフミーティング
ランドスケープデザインの石川初さん、新川藍さん、マスターピースの高橋靖一郎さんらとともに赤坂で打合せ。長年の懸案だった表記企画について、ついに始動。まったなし。

New Arrivals

2005-04-26 | Media
*景観まちづくり研究会編著『景観法を活かす』学芸出版社、2004
*高橋裕『地球の水が危ない』岩波新書、2003
*山田利一『「郊外」復興 “緑の海”の住空間 サバービア文化論』春風社、2004

@公園通り

2005-04-25 | Japan
2005.4.25.Mon
*「公園計画論」講義・2回目:公園と緑地
睡眠をとったせいか昨日より身体の調子がだいぶいい。息子を保育所に送り届けてから急いで研究室に駆けつけ、授業の準備。
*研究室のゼミで流山市S地区を研究対象とすることを決定
*戸定会理事会に出席

2005.4.24.Sun
*風邪でダウン
寝てる場合ではないのだが身体が動かない。論文発表会の打合せをするはずだった笹谷君に断りの電話を入れる。明日の授業の準備もできていない。。。

2005.4.23.Sat
*日本造園学会総務委員会,同常務理事会、同理事会
*遅ればせながらLord of the Ring: The Return of the Kingをみる
いまいち。Harry Potter and the Prizoner of Azkabanのほうがいいな。比べてもしょうがないけど。

@高岩寺十福苑

2005-04-19 | Japan
2005.4.18.Mon
*講義(公園計画論)が始まる
今期の担当はその他に、「緑をデザインする」「情報処理」「環境デザイン実習1」など。情報処理科目で情報倫理についてしゃべれって言うんだけどこいつは困った。

*巣鴨地区まちづくり協議会運営委員会
・国道17号線歩道整備と買収済用地の暫定利用のあり方、中心市街地活性化関連事業「巣鴨地蔵通り商店街の景観整備」、同「江戸東京園芸まつり」、同「巣鴨・大塚商業観光マップ」等の各事業について発言。
・使える事業制度を用いてできるところからひとつひとつ着実に進めていくという姿勢はもちろん重要であるし必要なことである。そして、中心市街地活性化事業に網羅されている事業がことごとく実現していけば確かに街はすばらしく生まれ変わるように見えるかもしれない。しかし、総花的に羅列された事業を漏れなく展開すればそれでこと足れりというわけではなかろう。自分たちの街をこうしたいのだというひとつの明快なイメージなりコンセンサスのもとに、多種多様な事業が有機的に束ねられていかないと、それらはまさに「乱発」に終わり、全体として何が達成されたのかが不明瞭になってしまう。その点には注意していきたいと思う。

@神楽坂

2005-04-17 | Japan
2005.4.16.Sat
*論文発表会の打合せで五十嵐君と渋谷で会う。
*その足で日本造園学会学術委員会へ。委員会終了後、委員長の宮城俊作先生と食事。

2005.4.15.Fri
*流山市マーケッティング課でS地区の有効活用計画について打合せ。
*引き続いて同市農政課に顔を出す。たまたま居合わせた千葉大学名誉教授廣保正先生と一緒に農業振興プランについて議論。
*流山市から大学に戻る途中、息子が保育所で怪我をして、病院で一針ほど縫ったとの連絡が妻から入る。

2005.4.14.Thu
*保育所の懇談会に出席。

ロイヤル・クレッセントのハハー

2005-04-15 | Great Britain
Royal Crescent, Architect: John Wood Jnr., Erected: 1767-75, Bath, England, UK

ロイヤル・クレッセントにハハー(Ha-ha 写真)があるということは訪れるまで知らなかった。ハハーと言えば普通はカントリーハウスでみられる仕掛けである。それがタウンハウスの古典、ロイヤル・クレッセントにつくられているのだから面白い。とはいえ、このあたりは創建当時、バースの町はずれで牧草地や入会地(Common)が広がっていた。実際、先日、ある書物(書名は忘れた)をぱらぱらと捲っていたら、ロイヤルクレッセントの古い写真が載っていて、驚いたことに、ハハーの外側に実際に羊が放牧されていた。あたりまえとは言え実用を兼ねたものであったのだ。そのような立地とこの建築の規模、それから後述する建築の性格からすれば、やはりハハーがつくられてもおかしくはないのだ。

この、ハハーがある芝生地は、いわゆるプライベート・ガーデン(Private Garden)でクレッセントの住人だけしか入ることができない。写真に写っている人物の立っている側は、公園(Royal Victoria Park)から地続きのクレッセント・フィールド(The Crescent Field)と呼ばれる区画で、恐らくクレッセントの地所の一部と考えられるが、このカップル達は公園のほうから歩いてきたのであろう。しかし、立ち入れるのはここまでである。このハハー、写真ではそのようには見えないが実際には人の背丈近く高低差がある。よく見ていただきたい。カップル達の影がハハーを超えていないことにお気づきであろうか。

ロイヤルクレッセントのあるバースの街は古くからの温泉地。そこに建てられたクレッセントは今で言う高級コンドミニアムで、著名人や実業家ら一級の金持ちたちをテナントにもつ別荘であった(現在は定住型のテラスハウス)。彼らがクレッセントに何を期待したかと言えば、都会では味わえない「パストラル」であったことは容易に想像がつく(イギリス人とはそういう人たちだ)。それでいて、都会的な利便性、居住性、上質な空間をも期待したところにこの物件が生まれ落ちた背景があるだろう。正真正銘のパストラルな、カントリーハウス的な風景を備えているという点で、とてもユニークなタウンハウスと言えるのではないだろうか。たんなるプライベートガーデンを内包したタウンハウスとは明らかに一線を画すものである。ハハーの存在がそのことを雄弁に物語る。

公園の風景はどこから来たのか?

2005-04-13 | Japan
2005.4.13.Wed
*緑をデザインする
新年度最初の講義。導入から全開のスライドショウ「パストラリズムの系譜」。反応はまあまあといったところか。
*緑地・環境学セミナー「拡大ガイダンス」
引き続いて、導入のガイダンスを2コマ連続講義。午後はベッタリ教室にカンヅメ状態。さすがにチト疲れた。

A Genealogy of Pastoralism

2005-04-13 | Great Britain
バーケンヘッドパーク Birkenhead Park(写真)はリバプール近郊の Metropolitan Borough of Wirral の住宅街の中に今もある。J.パクストン(Joseph Paxton)の設計により1847年に開園している(貴族庭園の開放ではなく行政によって整備された公園)。この公園が重要とされる理由には幾つかあるが、デザインという面からみると、イギリス風景式庭園を範とするピクチャレスクな空間様式を持っていること。何も知らない人がこの公園に放り出されて、ここは貴族のカントリーハウスですよと言われても、にわかには否定しがたい風貌をこの公園は備えている。

さらに重要な点は、かのフレデリック・L・オルムステッド(Frederic Law Olmsted)がニューヨークのセントラルパーク(1858)の設計に先立つ1850年にこの公園を訪れているということだ(http://www.wirral.gov.uk/er/birkpark.htm)。写真の風景が、セントラルパークのBethesda Fountainあたりの雰囲気と酷似しているように見えるのは僕だけであろうか。実際、セントラルパークの歩車分離された園路のサーキュレーション等は、この公園に倣ったものとも言われている。

17~18世紀にかけてイギリスの庭園で登場・発展した「風景式」は、その後18~19世紀にかけて欧米の公園に瞬く間に伝播し、大げさに言えば、やがては世界中の公園を席巻することになる。その影響力は20世紀を通して持続し、いまだに巨大な風景モデルであり続けている。

オルムステッドのバーケンヘッド訪問には後日談がある。オルムステッドはその後1898年にシカゴ郊外にリバーサイド(Riverside)という有名な郊外住宅地をつくる。そしてできたてホヤホヤのリバーサイドをなんとE.ハワード(Ebenezer Howard)が訪れていた可能性があるという(Jonathan Barnett, The Elusive City: Five Centuries of Design, Ambition and Miscalculation, 1987)。同年、ハワードは田園都市(Garden City)の構想をイギリスで発表している。これらの関連性を証明する確たる史料等が残されているわけではない。しかし、その後のパストラリズムの系譜を思い描くと両者の間に何らかの因果関係があったのではないかと想像したくなる。

つまり、オルムステッドはパストラリズムを都市~地域スケールにまで拡大してパークシステムを実現する。一方、ハワードの構想はやがてアンウィン(Raymond Unwin)に受け継がれ、レッチワース(Letchworth, 1903)やウェルウィン(Welwyne, 1919)等のガーデンシティとして実体化されていく。さらに言えば、パストラリズムの究極の展開が、ロンドンを田園でエンクローズしてしまった大ロンドン計画(Greater London Plan, Patrick Aberecrombie, 1944)のグリーンベルト(グリーンベルトも世界中に伝播している)であろう。

New Arrivals

2005-04-11 | Media
*TOWN AND COUNTRY PLANning, Feb. 2005, Vol.73 No.2, TCPA
特集:Attracting families back to the city
・What now for rural planning policy work?, p.49
・A programme for sustainable development / TCPA
TCPAが2001年の"A Programme for Sustainable Communities"に引き続いて発表した、「持続的開発/発展」のためのプログラム。ここには1つの考え方の転換が読みとれる。例えば、GREEN OUR COMMUNITIESの項。「ブラウンフィールド(の開発)はよくて、グリーンフィールドはダメ」という議論を乗り越える時が来た。開発はいつでも少なからずカントリーサイドで発生しているし、逆にカントリーサイドはまちになることを許容すべきである。本当の変化とは、すべての開発を持続的にすることであって、個々のビルディングをグリーンにすることではない」。要するに、開発するところとしないところを区分(ゾーニング)するのではなく、すべての開発を持続的、グリーンにするということだが、理念としてはすばらしいが、現実はそう簡単にはいかないだろう。sustainableというのは言葉だけが一人歩きしている感があって、何をもって持続的と言うかが依然としてはっきりしない。ただひとつだけ言えることは、UKのグリーンフィールド、カントリーサイドはもはやアンタッチャブルな「聖域」ではないということだ。

*地域開発,Apr. 2005, Vol.487,財団法人日本地域開発センター
特集:「定常型都市」を考える
・逆都市化時代と中心市街地:大西隆,pp.7-11

*新都市, 17/2, Vol.59 No.2, 財団法人日本都市計画協会
特集:「都市の危機」を考える
・アメリカの都市政策における新しい動き:原田英生,pp.27-33

*新都市, 17/3, Vol.59 No.3, 財団法人日本都市計画協会
特集:大都市圏における広域連携
・大都市圏の緑と水を対象とした広域連携の構図:蓑茂寿太郎,pp.18-26

レビューは後ほど。

Flower Holiday

2005-04-10 | Japan
2005.4.9.Sat
*千葉大学園芸学部100周年記念事業企画委員会
サクラ満開のキャンパスでお花見をする地域の方々を横目に出席。

*平成16年度日本造園学会全国大会分科会報告
“アーバニズム”とどう向き合うか? その2 シビックデザインとランドスケープ の報告記事が造園学会誌「ランドスケープ研究Vol.68,No.4,pp.315-322に載りました。関係者のみなさまありがとうございました。しかし、早速誤植発見。分科会当日、会場からコメントいただいた、浜松まちづくりセンターの方のお名前を入れ忘れるという大失態を。お詫びのしようがありません。

*巣鴨まちづくり協議会運営委員会の開催通知

*第7回韓中日国際ランドスケープ専門家会議及びシンポジウム報告
造園学会から飛び込み(メイル)で仕事が入る。職場のアドレス宛のメイルはすべて自宅に転送されるようにしてあるので、休日でもよく仕事が舞い込んでくる。

イベントのお知らせ

2005-04-09 | Fieldwork
平成17年度日本造園学会全国大会ワークショップ
景観を育てる制度の現場での運用 -研究・行政・産業の立場から-

日時:平成17年5月14日(土) 10:00~14:40(12:00~13:00昼食)
会場:東京大学農学部弥生講堂一条ホール(入場無料)
主催:日本造園学会学術委員会

趣旨:平成16年6月18日に公布され、平成16年12月17日に景観計画区域等に関わる一部の規定が施行された「景観緑三法」、平成16年5月28日に公布された「文化財保護法の一部を改正する法律」により文化財保護法に創設された文化的景観の保護制度など、良好な景観を育てるために新たに創設された制度の運用が平成17年度から本格的に始まる。
 このような背景をふまえ、既存の制度と新たな制度とを複合的・総合的に活用して、日本における良好な景観の保護・再生・創造に向けて、現在どのような取組みが動き出しており、また、これからどのように発展・継続させていくべきかということを、行政や市民活動の現場の視点から議論を深めることを目的とする。

プログラム:
10:00~10:10 趣旨説明
10:10~12:00 セッション1:景観緑三法の施行と行政のとりくみ
12:00~13:00 昼休み
13:00~14:30 セッション2:景観緑三法による街づくりの課題
14:30~14:40 総括

セッション1:景観緑三法の施行と行政のとりくみ(話題提供各15分・討論50分)
話題提供1:景観行政団体の動向(仮題):森口俊宏(国土交通省都市・地域整備局都市計画課)
話題提供2:都道府県レベルでのとりくみ(仮題):高山英夫(滋賀県琵琶湖環境部自然保護課)
話題提供3:市町村レベルでのとりくみ(仮題):深尾甚一郎(近江八幡市文化政策部企画課)
話題提供4:景観緑三法にかかわる政策連携(仮題):本中 眞(文化庁文化財部記念物課)
モデレーター:宮城俊作(奈良女子大学生活環境学部/日本造園学会学術委員会)

セッション2:景観緑三法による街づくりの課題(話題提供各15分・討論45分)
話題提供1:景観の保護・保全を契機とする街づくり(仮題):玉井澄夫((財)天神崎の自然を大切にする会)
話題提供2:景観の創造による街づくり(仮題):神吉紀世子(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
話題提供3:専門技術者の役割(仮題):出来正典((株)シビックデザイン研究所)
モデレーター:木下 剛(千葉大学園芸学部/日本造園学会学術委員会)

*平成17年度日本造園学会全国大会分科会
平成17年度日本造園学会全国大会分科会
“アーバニズム”とどう向き合うか? その3 都市化する河川とランドスケープのデザイン

目 的:
 都市インフラとしての土木構造物のデザインとその評価基準について検証した昨年の分科会に引き続いて、今年は河川空間のランドスケープ・デザインに着目する。河川は土木が対象としてきた公共用物の中でも、その自然公物としての位置づけから、本来ランドスケープ・デザインに深く関わるべき対象と言える。しかしながら、河川管理施設(堤防等)のデザインはこれまで主に技術的・経済的な面からのみ処理される部分が多く、デザイン本来の可能性が見過ごされてきた点は否めない。近年、シビックデザインと称して堤防等のデザインにも多面的な展開が見られるようになってきたが、そのような試みはまだ始まったばかりである。しかし、これらの試みの多くが、(当然とはいえ)現行の治水システムや制度環境を前提とした、いわば河川空間表層のデザイン改善にとどまっている点を我々は何よりも問題視したい。
 治水システムの見直し、自然公物としての管理の限界、公物管理と土地所有の問題等々、この国の河川と都市化の関係はいま新たな局面を迎えつつあると言ってよいであろう。こうした状況をふまえ、まず、日本の河川空間をとりまく制度環境、治水システム、土地所有形態等について、海外の事例を参照しながら復習、相対化してみる。そして、現行の河川制度や治水システムの枠を取り払って(見直して)みた時に、我々はどのような新しい枠組みやデザインの考え方、都市の空間モデルを展望しうるのかについて、土木や造園、景観の専門家を交えて自由に議論することを本分科会の目的とする。

企画責任者:
  木下  剛(千葉大学 園芸学部 緑地・環境学科)
  高橋靖一郎(マスターピース/ランドスケープデザインスタジオ)
  石川  初((株)ランドスケープデザイン)

話題提供(仮題):
1. グランドデザインとしての提体構造と治水システム:辻野五郎丸((株)修景社)
2. イギリスの運河景観にみる土地所有と舟運の影響:荒井 歩(東京農業大学)
3. 東京キャナルプロジェクトからの提言:石川 初((株)ランドスケープデザイン)
討 論:
 話題提供者および会場参加者による討論
モデレーター:
 木下  剛(千葉大学園芸学部)
 高橋靖一郎(マスターピース/ランドスケープデザインスタジオ)

豊島区中心市街地活性化基本計画

2005-04-09 | Japan
2005.4.8.Fri
*息子の4歳の誕生日
仕事を済ませてから妻と一緒に保育園に息子を迎えに行き、その足で外食。保育園でもお祝いしてもらったらしく終始上機嫌の息子であった。

2005.4.6.Wed
*タウンマネージメント機構(TMO)「株式会社豊島にぎわい創出機構」設立祝賀会に出席。
昨年、修景社の辻野さんから、巣鴨まちづくりワークショップのアドバイザーとしてお呼びいただいた経緯で参加。出席者名簿を見ると、僕は知らない間に巣鴨まちづくり協議会の顧問になっていた。光栄なことである。終了後、巣鴨まちづくり協議会、巣鴨地蔵通り商店街振興組合の方々と大塚で飲む。楽しい人たちばかりで、笑いの止まらない宴。地蔵通り商店街の小林さんは、僕と全く同じ生年月日であることが判明。かなりびっくり。

計画と政治

2005-04-06 | Japan
計画、とりわけグリーンベルトのような広域的な計画の決定において「政治的」なプロセスが重要になってくることについて、僕はむしろすごく面白いことだと思っている。というか、計画=政治と言ったっていいくらいだ。翻って、計画やデザインの実際において、「政治的」な問題はおおむね捨象されるか、あるいは専門家がまともに向きあうべき問題ではないと一般には認識されている。しかし、都市計画なんて利権や政治的パワーバランスの縮図そのものだし、一枚のサイトプランにだって政治のかたちを読み取ることは可能だ。それを理想的正論で押し通そうとするから無理を生じるのだ。いや、一枚のプランは実際には理想とは裏腹にいわば満身創痍の状態で立ち表れるのだが。それはそうと、計画がそういうものであるとするなら、「政治」をも計画に取り込んでしまえばいいのだ。政治的プロセスを包含した計画、いわば計画の計画について「理論的」に考える必要がある。少なくともプランナーはそういうこと-政治-に無関心であってはならないと思う。本来、市民参加なんていうのは、プランナーが政治的調整に援用すべき重要なツールなのだ。

ロンドン・グリーンベルト

2005-04-05 | Media
政策の階層化とボトムアップ化による計画の未来,Marco Amati,横張真(BIO-City no.30,2005,p.18-23)
・イギリス都市計画におけるトップダウン/中央集権的計画立案からボトムアップ型計画立案への移行に伴って、グリーンベルト政策も見直しが迫られているとする論文で、欧米における広域的ランドスケープ・プランニングの潮流を理解するのにも適している。
・著者が、イギリスとてグリーンベルトの設置が可能であったのは、強硬なトップダウン型の施策展開と少数の理解ある地主との秘密裏(しかし合法的な)の土地取引が先行的に行われていたからであると指摘しているのは非常にうなずける点である。少数の好意的な地主を味方につけて彼らに将来の開発と施策展開において有利な立場を与える一方で、大多数の投機的な土地開発を期待する地主達を出し抜いてグリーンベルトを設置してしまったわけである。時代の産物と言ってしまえばそれまでだが、これぞ政治というものなのであろう。
・そんな、トップダウン型政策の象徴でもあるグリーンベルトが今日、ボトムアップ型かつ階層的な政策展開へと様変わりしつつあるという。グリーンベルト一本でこれまで守ってこれた土地も、住民や団体の多様なニーズや野生生物の生息地としての重要性を踏まえて指定される多様な地域地区制度によって重層的に守られていく時代になりつつあるという。そして、ボトムアップ/階層的政策展開の先進国!?である日本を引き合いに出しながら、ボトムアップ/階層的政策展開には、開発業者に様々な逃げ道を用意するという潜在的弱点もあることを認識すべ樹であると締めくくる。
・こいつを敷衍すると、日本では今ボトムアップを叫ぶだけじゃなくて、むしろ逆にトップダウンの「可能性」をこそ論じるべきではないか、というのが僕の考えだ。