秋の日暮れ、
明かりが灯された宿への案内灯は、どれも柔らかで包み込むような光を放って
います。宿に到着する前に、その光を見ただけで温かな設えが想像できるのです。
“味わう、もろみの島宿。” への誘い ・・・
都会の喧騒
から離れ、この宿を目指して来られる客人にとっては、「非日常な時空間」 である
ことは間違いないのでしょうが、私にとっては、非日常な時間を楽しむというよりも、
日常をどこに置くべきかを確認するための一泊であったような気がします。宿の
設えや料理、スタッフの皆さんの温かな接客を含め、今後の仕事や自身の日常
生活に何が足りないのか、逆に、何が多かったのか、といった自問自答を行える
時間がとれたことは大きかったと感じます。
答えではないのですが、
世の中、色々な方が、色々な場所で、色々なスタンスで生きている。ということを
改めて感じました。そして、島宿も然りです。この宿にしかない空気があります。
においがあります。それこそ世の中、好き嫌いや合う合わないは、何につけある
ものですが、それらを超えたところに存在感や存在意義があるように思います。
“何故、この宿が人気を博しているのか?” というのは愚問なような気がして ・・・
( アメニティは 「井上誠耕園」 のオリーブ製品でした ・・・ このセレクトも一つ? )
「座布団コンサート」
という名だったと思います。ロビーでの小イベントです。夕食時、スタッフの方から
“9時頃ですので、お食事終わったらお越しくださいね” と声を掛けてもらっていた
のですが、ゆっくり食事をしていたら9時を回ってしまいました。慌ててロビーへ
向かいました。何とか少しだけ参加できました。部屋に帰ると、綺麗に片付いて
いて、食事で残ったご飯を夜食用におにぎりにして持って来てくれていました。
( たった15分位の時間で片づけて ・・・ )
手造りの 「果実酒」
何種類あったでしょうか ・・・ 母屋の 「囲炉裏」 がある共有スペースに、こうして
たくさん並んでいます。夕食後、スタッフの方がサーヴしてくれます。他のお客様
との交流の場としても使えるスペースで、食後の一杯、また、横にあるお風呂の
貸切の待合時間に ・・・ きっちりしたパターンでなく、一緒に時間を楽しんで寛いで
ください、という宿からのメッセージだと思います。
ちなみに、
私たちは、「座布団コンサート」 のあと、一旦、部屋に帰ってから出直して ・・・
と思っていたのですが、何と、そのまま寝込んでしまいました。
( 飲み損ねました!スタッフの方や他のお客さんとも話してみたかった ・・・ )
「真里ギャラリー(土産処)」
があります。真里さんで使っている器やお箸、手ぬぐいをはじめ、醤油やもろみ、
素麺、オリーブ商品、日本酒、えびせんなどが販売されています。私たちは食事で
気に入った諸味味噌と小引き素麺、そして、使いやすかったお箸を買いました。
( 写真のお天気ボードとどんぐり君たちは売り物ではありませんので ・・・ )
「島宿 真里」 は、
シックな和風モダンというより、島の特産である醤油(もろみ)のにおいが漂い、
情緒溢れる設えを施した島宿です。特に、質感のある古木や温かみのある灯りが
一層、島宿の風情を醸しています。さりげない調度品の配置も見逃せません。
極め付きは、
静かな時間をゆっくり過ごしてもらいたい、という思いを伝えることができる
スタッフ力でしょうか ・・・ 。小さな宿だからこそ可能な心配りなのかもしれませんが、
各々が高いレベルで宿のコンセプトを理解し、役割を果たさなければ顧客の満足や
感動は生まれないものです。
お客は、
それを望み、それを受け入れ、そして、それを愉しむ ・・・ 。
一泊でしたが、
「島宿 真里」 さんは、ゆったりとした気分で心から寛ぐことのできる秀逸の宿でした。
スタッフの方々が、“自分がお客様だったら ・・・” という目線で、宿運営に積極的に
参加している様子もあちらこちらで伺えました。
結局、
ご主人とはお会いできませんでしたが、ドリンクメニューに私の知っている
ワインが数本ありましたので、チェックアウトの際、女将さんとその話を少し ・・・
女将さんは、
“日本酒なら少しは分かるのですが、ワインは酒屋さんに任せてます。” と仰って
ました。ただ、その酒屋(久本酒店)さんは、ちゃんと真里さんへ来て食事をして、
料理の流れや味を理解した上で、ワインをセレクトしているというお話も伺いました。
とても大切なことです。そして、絶対に必要なことなのです。そうしたブレーンの存在
があり、また、それぞれがちゃんと自分の仕事をしてくれることで、この宿の人気が
支えられているのだと改めて感じました。やはり、「類は友を呼ぶ」 でしょうか ・・・ 。
もう一つ、
個人的に宿のデザインや建築が気になりましたので少し調べてみました。高松の
「グッドデザインスタジオ」 さんが参加されているようです。とても素敵なデザイン
です。デザインスタイルにフレキシブルさがあります。個人的に好きな方向性です。
一泊二日、
女将さんはじめスタッフの皆さん、お世話になりました。
小豆島へ行く機会があれば、“また 「島宿 真里」 さんに!” と思います。
本当にありがとうございました。
「島宿 真里」
〒761-4421 香川県小豆島醤油蔵通り
Tel 0879-82-0086 Fax 0879-82-6432
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