「埠頭の匂い」
“潮の香りのしない海” ・・・ この表現はちょっと夢がないですかねぇ。
でも、これが私の好きな海なのです。( 正確に言えば 「港」 ですが ・・・ )
貨物船やフェリー、土砂運搬船などが港内を行き交い、埠頭の岸壁に横付けされ
停泊している船舶のある風景が好きです。エンジンや汽笛の音が好きです。そして、
港で作業をしている人々が好きです。自然が広がる美しい海や白いクルーザーが
並ぶ港も良いのでしょうが、私はこうした仕事の匂いのする港湾の景色が好きです。
写真は神戸の摩耶埠頭です。
昔、仕事(海中工事/港湾整備)の為に毎日通っていて、それなりに思い入れが
ある港(埠頭)です。何らかの形で今のこの景色に自分が携わったことを客観的に
捉えると不思議な気持ちになります。あの頃、そんなことは考えもしなかった。
六甲の山手をクルマで走ります。しかし、どうも居心地が良くありません。そこから
坂道を転がるように、一気にこの港に降りてきます。すると、えも言われぬ安堵感が
広がるのです。まるで、迷子になった子どもが親を見つけた時のように ・・・ 。
■ 街的興趣 ■
潮の香りを消してしまうほどの
汗のにおいに覆われている気がする
人の汗だけじゃないかもしれない
船や岸壁が流した汗もあるかもしれない
山から見える埠頭は
青くて潮の香りがするのに ・・・
第五大成丸