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人形が心を持つようになる・・・という話、なんて興味が湧きませんか?
15Rの映画、ということで ちょっと覚悟をして 出かけてきました。
まず、夜の大都会の片隅の寂しげな雰囲気に引き込まれていきました。
そして、人形役の ペ・ドゥナの透明感のある演技に圧倒されました。
人形、といっても かなり特殊な人形なのですが その特殊さゆえに際立つ儚さ、哀しさが美しいタッチで描かれています。
人形も どうして自分は「心」を持ってしまったのか悩みます。
「心」を持って人を好きになったために 悲しみを感じたり、嘘をついたりします。
それでも 傷ついた心で戻っていった自分を作ってくれた人形師に「君が見た世界は 綺麗なものもあった?」と問われ、「うん」と答えました。
毎日生活していくなかでつらいことがあると 心の痛みがたまらなくなり、心なんていらない!と思ってしまうことがあります。
だけど 人形が 人形師にむかって「産んでくれてありがとう。」と言ったように「心」があることってステキなことなんだと思います。
この映画に登場する人物は皆、どこか虚ろです。 小学生の子どもまで心に暗く深い闇を抱えて生きています。
人形は自分の体の中は「空っぽ」だと 知りあった老人に告白しますが 老人は「こんな街に住んでる人間は皆空っぽだよ。」と答え、人形はまわりの人たちの虚ろさを感じ取ります。
映画に起承転結があるとすると 「起」と「承」は本当にすばらしいと思いました。 でも、「転」で盛り下がってしまい、「結」でまあこうなるのかな、と・・・
別に「転結」が良くないのではなく ただ単にハッピーエンド好きの私の趣味には合わなかったというか・・・
特に「転」はなんでそうなるの?と思ってしまいましたが・・・
ちょっと特殊な雰囲気の映画なので 皆さんにぜひ!とお勧めはできませんが ハッピーエンドの映画じゃなくても良いという方なら大丈夫かも・・・
うまい表現を思いつきませんが 私は「芥川賞」より「直木賞」の作品の方が好きなタイプで この映画はどちらかというと「芥川賞」っぽい雰囲気を持っているのです。
でも、嫌いなタッチの映画ではありませんでした。