『思い出の時修理します』の作者です。
『思い出の時・・・』はシリーズ化する予定はなかったそうで 第一作がとても暖かく心にじんわりと沁みるストーリーになっていました。
それに比べ この『異人館画廊』は第一作、第二作を読んだだけでは謎が多すぎます。こちらは最初からシリーズ化を考えて書かれているのでしょうか?
心に深い傷を負った過去を持つ千景はイギリスの大学で図像学を学び飛び級で卒業した18歳。 そんな千景が祖父を亡くし一人暮らしをしている祖母の元に戻ってきた。
祖母は『異人館』という画廊を営んでいて そのサロンには『キューブ』という六人の仲間がいた。
キューブのメンバーで若くして老舗画廊の経営者となっている透磨と千景は幼ななじみ。 透磨と千景は幼い頃にはとても親しかったらしいがある事件をきっかけに千景はその事実を忘れてしまっていた。
千景は自分の研究した図像学で絵画を守ろうとする。
千景と透磨の関係は・・・
『思い出の時・・・』の主人公もそうでしたが 谷さんの作品のヒロインは過去につらい思いをしており 素直に心を開くことができません。
その屈折した心が少しずつ溶けていく・・・その過程にも心を惹かれます。
心に深い傷を負った主人公が癒されていくには時が必要なようです。 千景の秘密が明らかにされ、彼女の心の痛みが和らぐのを待ちたいと思います。