ソースから
訪日中国人10+ 件観光客の“爆買い”が盛り上がる中、「効果が不明な商品を買わされた」などといった苦情が今年、観光庁に相次いで寄せられている。背後には、中国人10+ 件の無資格ガイドが、中国人10+ 件観光客を日本でだますといった妙な構図が浮かぶ。だまされているのが旅行者なだけに日本の捜査当局などへの情報提供はごく一部。「観光立国」を目指す安倍政権の政策にも悪影響を与えかねない事態で、関係機関などが実態解明を急いでいる。(森浩、加藤園子)
狙いは「団体客」
記者「ガイドの証明書は」
ガイド「なんだそれは」
記者「持っていないのか」
ガイド「研修は受けている」
記者「研修は公的なものか」
ガイド「知らない。会社が準備した研修を受けた」
ある週末の東京・秋葉原。大型免税店で、中国人10+ 件ツアーの若い男性ガイドに中国語で質問を投げかけると、目を泳がせながらこう回答した。
男性ガイドは大型観光バスから降り、観光客らに集合時間を指示。中国人10+ 件とみられ、毎日この免税店に観光客を連れてきているという。店の関係者によると、この店には平日でも1日20台以上の観光バスが訪れ、観光客が買い物をしていく。店員もほぼ中国人10+ 件だ。
別の免税店の店員も全員が中国語で会話しており、日本人が訪れると浮いてしまうほどだった。
「ガイドがたくさん客を連れてきたときは、いろいろなものを売りつけるよ」。こう話す店員は、こちらに一切の商品PRをしてこなかった。「個人旅行者や、こちらに住んでいる客は日本に詳しい。そういう人に売りつけても、買ってくれないからね」
「免税店限定!」
観光庁はインターネット上に中国人観光客向けの「訪日旅遊意見箱」を開設し、滞在時の感想を募っている。今年この意見箱に、昨年までほぼなかった買い物をめぐる苦情が約30件、相次いで寄せられた。
内容のほとんどは、ガイドに勧められて日本の免税店で購入したサプリメントや化粧品について、「商品の効果がみられない」「ネットで調べたら数分の1の価格で売っていた」などといったものだった。
悪質なのはガイドのPR方法で、移動のバスの中で「日本人はこんな商品を使っている」と紹介し、「その商品はこの店でしか売っていない」と特定の免税店の前で停車。「時間がないから買い物はこの店で済ませてくれ」と、選択肢を与えない状況に持ち込むのだそうだ。
同庁国際観光課の担当者は、「ガイドのやり口も含め苦情のほとんどがこの内容。正規ガイドであるはずがなく、無資格ガイドが店と連携して客を案内している可能性が高い」と指摘する。
苦情を基に調べてみると、ガイドが指定した免税店は「日本人客お断り」で、中国人が経営しているとみられるケースが多かった。
実際、記者が免税店を訪れた際、中国語で話しかけると熱心に商品説明を初めたが、日本人と明かすと急に紹介を止め、態度を硬化させた
商品は日本製ではあるが、免税店名を冠した別の製造会社によるもので、そもそも日本人にとってそのブランドは浸透していない。ガイドの説明がかなりいい加減であることがわかる。
国家資格の形骸化
本来、外国人に対し外国語で日本を案内するには、観光庁長官が執行する外国語や日本地理、歴史の試験に合格し、「通訳案内士」の国家資格を取得しなければならない。日本政府観光局によると、通訳案内士の4月時点の登録者数は約1万9千人。海外受験も可能で昨年度試験は約1600人が合格した。
ところが中国語の案内士試験の受験者数は、訪日中国人が増えているにもかかわらず年々減少している。事実上、無資格でガイドができているからだ。
通訳案内士でつくる「全日本通訳案内士連盟」(東京)の調べによると、無資格ガイドは、現地の旅行会社に“礼金”を払ってツアーのガイド権を買い取る。客が日本の免税店やレストランで使った買い物代や飲食代の一部がキックバックされ、ガイドの収入となるという。
このため正規ガイドの資格は形骸化。「純粋なガイドの仕事が減って壊滅寸前状態に陥っている」と同連盟の松本美江理事長は警鐘を鳴らす。
韓国では「観光警察」も
観光庁などはこれまで無資格ガイドに対する警告チラシを作成するなどしたが、事態は好転しない。同様の問題が確認されている韓国では2013年、無資格ガイドや観光客へのぼったくり行為を取り締まる観光警察を発足させているのとは対照的だ。同連盟は「日本は『無資格でも取り締まらない』と侮られている。きちんと悪質ガイドを摘発すべきだ」と主張する。
国際観光課は、ガイドやツアー会社の特定を進めて違法ガイドを起用しないよう求めているほか、中国当局に訪日ツアーの実態についての調査を依頼している。ところが当事者は旅行客であり被害回復もほぼ見込めないことから、帰国後にわざわざ日本に苦情を伝える人は少ない。
担当者は、「把握できているのはほんの一部で泣き寝入りが相当数あるのだろう」と指摘。「旅行客からより具体的な店名やツアー名を集めて調査し、関係省庁にも協力を呼びかけたい」と情報提供を求めている。
訪日中国人10+ 件観光客の“爆買い”が盛り上がる中、「効果が不明な商品を買わされた」などといった苦情が今年、観光庁に相次いで寄せられている。背後には、中国人10+ 件の無資格ガイドが、中国人10+ 件観光客を日本でだますといった妙な構図が浮かぶ。だまされているのが旅行者なだけに日本の捜査当局などへの情報提供はごく一部。「観光立国」を目指す安倍政権の政策にも悪影響を与えかねない事態で、関係機関などが実態解明を急いでいる。(森浩、加藤園子)
狙いは「団体客」
記者「ガイドの証明書は」
ガイド「なんだそれは」
記者「持っていないのか」
ガイド「研修は受けている」
記者「研修は公的なものか」
ガイド「知らない。会社が準備した研修を受けた」
ある週末の東京・秋葉原。大型免税店で、中国人10+ 件ツアーの若い男性ガイドに中国語で質問を投げかけると、目を泳がせながらこう回答した。
男性ガイドは大型観光バスから降り、観光客らに集合時間を指示。中国人10+ 件とみられ、毎日この免税店に観光客を連れてきているという。店の関係者によると、この店には平日でも1日20台以上の観光バスが訪れ、観光客が買い物をしていく。店員もほぼ中国人10+ 件だ。
別の免税店の店員も全員が中国語で会話しており、日本人が訪れると浮いてしまうほどだった。
「ガイドがたくさん客を連れてきたときは、いろいろなものを売りつけるよ」。こう話す店員は、こちらに一切の商品PRをしてこなかった。「個人旅行者や、こちらに住んでいる客は日本に詳しい。そういう人に売りつけても、買ってくれないからね」
「免税店限定!」
観光庁はインターネット上に中国人観光客向けの「訪日旅遊意見箱」を開設し、滞在時の感想を募っている。今年この意見箱に、昨年までほぼなかった買い物をめぐる苦情が約30件、相次いで寄せられた。
内容のほとんどは、ガイドに勧められて日本の免税店で購入したサプリメントや化粧品について、「商品の効果がみられない」「ネットで調べたら数分の1の価格で売っていた」などといったものだった。
悪質なのはガイドのPR方法で、移動のバスの中で「日本人はこんな商品を使っている」と紹介し、「その商品はこの店でしか売っていない」と特定の免税店の前で停車。「時間がないから買い物はこの店で済ませてくれ」と、選択肢を与えない状況に持ち込むのだそうだ。
同庁国際観光課の担当者は、「ガイドのやり口も含め苦情のほとんどがこの内容。正規ガイドであるはずがなく、無資格ガイドが店と連携して客を案内している可能性が高い」と指摘する。
苦情を基に調べてみると、ガイドが指定した免税店は「日本人客お断り」で、中国人が経営しているとみられるケースが多かった。
実際、記者が免税店を訪れた際、中国語で話しかけると熱心に商品説明を初めたが、日本人と明かすと急に紹介を止め、態度を硬化させた
商品は日本製ではあるが、免税店名を冠した別の製造会社によるもので、そもそも日本人にとってそのブランドは浸透していない。ガイドの説明がかなりいい加減であることがわかる。
国家資格の形骸化
本来、外国人に対し外国語で日本を案内するには、観光庁長官が執行する外国語や日本地理、歴史の試験に合格し、「通訳案内士」の国家資格を取得しなければならない。日本政府観光局によると、通訳案内士の4月時点の登録者数は約1万9千人。海外受験も可能で昨年度試験は約1600人が合格した。
ところが中国語の案内士試験の受験者数は、訪日中国人が増えているにもかかわらず年々減少している。事実上、無資格でガイドができているからだ。
通訳案内士でつくる「全日本通訳案内士連盟」(東京)の調べによると、無資格ガイドは、現地の旅行会社に“礼金”を払ってツアーのガイド権を買い取る。客が日本の免税店やレストランで使った買い物代や飲食代の一部がキックバックされ、ガイドの収入となるという。
このため正規ガイドの資格は形骸化。「純粋なガイドの仕事が減って壊滅寸前状態に陥っている」と同連盟の松本美江理事長は警鐘を鳴らす。
韓国では「観光警察」も
観光庁などはこれまで無資格ガイドに対する警告チラシを作成するなどしたが、事態は好転しない。同様の問題が確認されている韓国では2013年、無資格ガイドや観光客へのぼったくり行為を取り締まる観光警察を発足させているのとは対照的だ。同連盟は「日本は『無資格でも取り締まらない』と侮られている。きちんと悪質ガイドを摘発すべきだ」と主張する。
国際観光課は、ガイドやツアー会社の特定を進めて違法ガイドを起用しないよう求めているほか、中国当局に訪日ツアーの実態についての調査を依頼している。ところが当事者は旅行客であり被害回復もほぼ見込めないことから、帰国後にわざわざ日本に苦情を伝える人は少ない。
担当者は、「把握できているのはほんの一部で泣き寝入りが相当数あるのだろう」と指摘。「旅行客からより具体的な店名やツアー名を集めて調査し、関係省庁にも協力を呼びかけたい」と情報提供を求めている。