退院すると
全ての何気ない日常生活の一つ一つが
幸せに感じる。
うちには段ボール箱の空き箱を利用したゴミ箱が
全ての部屋に置いてあるが
ごみの収集日の前の晩に
全てのごみ箱から
一つの指定ビニールゴミ袋に集結させ
その大きいゴミの充填した袋を手に持って収集所に持ってゆく。
ゴミを出したときの爽快感。
あ~すっきり。
これも幸せである。
また
お風呂を沸かしたんだけど
沸かしたりなくて
冷たい湯船に
身を沈めながら
寒さに凍えてるときでも
追い炊きをしてるうちに
徐々にお湯が温まってゆくときの
安堵感は
何物にも代えがたい幸福感に包まれる。
また
顔の表面の
ブツブツを
爪先ではがす。
と
指先に
白い粟粒のようなモノがとれる。
この粟粒を
左人差し指の爪の上に乗せ
右爪でつぶす。
つぶれた粟粒を眺めながら
しばし陶然となる。
これもまた
小さな小さな幸せの一つである。
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