前回の続きです。
人間関係に行き詰まった バルテュスは、パリを捨てて新たなアトリエに移ります。
45歳の バルテュスは田舎への移住を決めます。
農園つきの3つ目のアトリエです。
ここで、義理の姪のフレデリック・テイゾン15歳と出会い、共同生活を始めます。
牧歌的な風景画です。
アトリエの壁に描いたフレデリックの絵。
バルテュスはこのアトリエでフレデリックと8年間過ごします。
そして、当時フランスの文化大臣アンドレ・マルローから思いがけない提案がされます。ローマにあるフランスアカデミーの館長就任の要請でした。
ルネサンス以来の古典芸術の殿堂、ヴィラ・メデイチを拠点にフランスの若い芸術家を支援するものです。
館長就任を快諾し、ローマに行く バルテュス
バルテュスはルネサンス時代に建てられた ヴィラ・メデイチの修復という大仕事に没頭します。
この時代の作品
そして、ある時期から日本の若い女性の作品が目立つようになります。
彼女は出田節子、後に妻になる女性です。
出会いは京都、フランスで開催する日本美術展の作品を選ぶため日本に訪れていました。
節子さんは上智大学でフランス語を勉強する20歳の学生です。
54歳のバルテュスは心を奪われ、肖像画を描きたいと申し出ます。
以来40年、モデルとして、妻として支えます。
ローマの仕事もメドが立った頃、残された人生を絵に捧げるため、新たなアトリエを探し求めます。
現在のバルテュス夫人、節子クロソフスカ・ド・ローラさん。
最後のアトリエは、スイスのロシニエール村です。
バルテュスはここで、最後まで絵を描き続けます。