道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

猫顔と犬顔

2018年04月14日 | 自然観察
ユーチューブを見ていたら、ロシアから中央アジアにかけて棲息する「マヌルネコ」というヤマネコの画像に出会った。

世界最古の猫らしいが、一目見て、只者でないこのネコに魅了された。何とも野生的な顔立ちだ。

マヌルとは、モンゴル語で「小さな」という意味とか。見るからに、剽悍なな表情と体躯をしている。何と言っても凶悪そうな表情には凄味がある。この表情は種に固有のものだというから驚くほかはない。

人には犬好き派と猫好き派がいるようだ。私のように一方に偏らないで両方好きな人間もいる。

人類と犬・猫との同居の歴史は長く、5万年ぐらいという説もある。永く共同生活をしていたため、人類は犬か猫かどちらかに似る形質的な進化を遂げ、犬顔と猫顔に大別できるようになった、というのは、まるで科学的根拠のない私の荒唐無稽な独断。だが経験的に、人の顔が犬顔と猫顔に分かれるという見方には、大方が同意する。

犬や猫の方にも、人間に似る形質遺伝性を獲得したのではあるまいかと疑わせるほど、人に似た顔立の個体を多く見かける。

犬顔・猫顔の分類は、同一人種内での比較であることは言うまでもない。両者相半ばするようだ。異人種間、欧州人と東北アジア人とを比べれば、前者は犬顔、後者は猫顔ということになるだろう。それはヒト、イヌ、ネコ、それぞれの種としての成熟度(完成度)の差異を示すものである。

猫は犬より「成熟(ネオテニー)」の特徴が顕著に現れているように思う。成熟の極にあるタイガーと比較すると、東北アジア人が欧州人と較べて「幼形成熟」の特徴をもっていることは、議論の余地がない。したがって、欧州人と比較すれば、極東アジア人は大方男女共に猫顔に見えるだろう。我々が彼ら彼女らより若く見えるということが、何よりもその説に説得力を与えている。

この猫顔・犬顔の分類は、人が異性を選択する場面で意識されるようだ。世のカップルを観察すると、異型の組み合わせが圧倒的に多い。私たちは配偶者を選ぶにあたり、自分に無いものを求めることが多い。

男女では女性の方が「幼形成熟」の程度が強いから、夫君が犬顔、妻君が猫顔に落ち着くはずだ。因みに自分たち夫婦も、犬と猫の組み合わせと、互いに認め合っている。特に家内は猫に酷似している。それも超野生的なマヌルネコに・・・

彼女が子どもの時分、当時の恐怖時代劇映画のエースは「化け猫=怪猫」だった。それを真似て演じる度に、幼い妹弟がその迫真性に怯え怖がったと聞いている。結婚してからも、嫌がる私にそれを幾度か実演して観せたが、地顔が山猫似だけあって、私は心底恐怖を覚えた。夜中に台所で、密かに油を舐めている姿を想像すると、眠れなくなったものだ。

かつて愛犬が健在だった頃、公園へ散歩に連れて行くと、遊んでいる小学生たちが「あのオジサン犬に似ている」と囁き合う声が聞こえた。その時は、他人の空似だろうと思ったが、子供の直感は大人より鋭く無視できない。家に帰って改めて愛犬と自分の顔をしげしげと見較べてみた。顔の骨格と個々のパーツは明らかに異なっているのだが(あたり前だ)、全体的な印象と雰囲気は近縁・同類に見えた。ペットが飼主に似てくるのか?飼い主がペットに似るのか?そこのところはよくわからない。

人類と永く生活を共にしてきた犬・猫だが、まだまだ知られていないことが沢山ありそうだ。


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