山野草の栽培に親しんで数十年、多いときには地植えの外に三、四十鉢も育てていた。家に在っても野山に自生する植物をいつも想っていたいからで、芽が出れば、花が咲けば、心は野山に跳んで群生地や生育地に足を運び、天然の草花や樹木を鑑賞した。
その山野草も、旅が多くなるにつれ、潅水その他の管理が不十分になり、種類、鉢数は減って目下はキキョウとオキナグサ、サクラソウぐらいしかない。潅水を気にしないで済むラ . . . 本文を読む
登山していた頃には、いつも胸ポケットに入る水彩セットとハガキサイズの用紙を携行していたが、人が周りに多勢居たり、描く時間がなかったり、疲労困憊してその意欲が湧かなかったりと様々な障りがあって、山のスケッチは僅か20点ほどしか描けなかった。
彩色までを含め10分から20分以内だからもっと描けそうなものだが、その気にならないことにはどうしょうもない。描かずには其処を去れないほどの情動が必要だ . . . 本文を読む
今月は、2度も小田原駅に降りた。初回は強羅行き、この日は小田原城の桜を見物するためだった。地元の浜松城も桜の名所だが、惜しいことにこの城は濠が無い。童謡「隅田川」を引くまでもなく、川辺や濠端などに生える桜は格別に美しい。桜は乾燥を嫌い水湿を好む。日本の風土に適した樹木なのだろう。
桜の花は、それだけで充分に美しいが、背景によって見映えに違いが顕れる。以下に、桜の美しいシーンを挙げてみ . . . 本文を読む
多様性(diversity)という言葉は、欧米由来の、馴染みの薄い単語だと理解している。記憶に照らしても、昔はあまり使ったことがない。 多様性を尊重してきた文化の国で多様性を認めるのは、国際化によって価値を共有する必要が生じたからであろう。我々にはdiversityの概念はなく、variety の方が理解しやすい。海外から地球環境用語としてbiodiversityという複合語が伝わり . . . 本文を読む
人の歩行の速度が、思考を左右するということを考えてみたい。先ず結論を先に言うと、自分の心臓の拍動に同期した速度でゆっくり歩くと、頭脳は活性化する。平静時の脈拍が60の人は2歩を1秒、120歩を1分で歩く。歩幅60cmの人で時速4.3km。
ウオーキングで推奨される速度では速すぎて、歩速のカウントに思考がついていけない。できるだけ大股にゆっくり歩けば、片足で体重を支えている時間が長くなるから、 . . . 本文を読む