過日投稿のブログで、往年の女優さんのことを何人か思い出したので、老生が少年の頃に憧れていた女優さんについて書かせていただく。中学生の頃、東映時代劇のお姫様女優、桜町弘子さんの清楚で愛らしい魅力に傾倒し、熱烈なファンになった。知り合いの伝手を頼りに、東映京都太秦撮影所をニ度も訪れた。ニ度目の見学の際、スタジオでの撮影現場を見終え、白昼の屋外に出た。所在なく、オープンセットの街並みを俳優会館に向かって . . . 本文を読む
国々の民族を特徴づけ、その地を訪れた旅人に印象を刻印するのは、その国の人々が共通して用いる言語の音声と、その地に立つ伝統的な建物や服飾の意匠(特に色彩)である。異国に在って、その国に普遍の音声と色彩に馴染めるかどうかは、その国の食べ物と同様、旅人の個性にとって重要なことである。社会や政体よりも何よりも①食べ物②色彩③言語音声が、その国の印象を特徴づける文化的な要素だと思う。私は妙に音に敏感で、外国 . . . 本文を読む
旧い話で恐縮だが、小学校3年の時に家の改築があり、1ヶ月ほど大工さんたちが出入りした。好奇心旺盛なイタズラ盛り、学校から飛んで帰ると若い大工さんにべったり貼り付き、大工仕事を具に見学した。まだ木工機械が導入されない昭和20年代の建築工事は、大工さんが木材を現場でコツコツ加工するのが普通だった。ノコギリやノミ・カンナの使い方から、造作材の組み手の墨付け・加工法・取り付け方など、伝統の技を毎日見学でき . . . 本文を読む
旧い時代に儒教の洗礼を受けた東北アジアの中・韓・日3国の社会には、合理性と実証性を缺いた儒教思想に由来する不条理な権威主義・形式主義が蔓延し、3国の一般庶民の心裡に、長い間鬱屈の思いを澱のように沈潜させ続けて来たように思う。個人を自縄自縛に陥れる教条の数々によってもたらされた鬱屈が、広く社会の各層に蟠っていたと観て差し支えないだろう。儒教の精神は、社会を開明し人々を闊達にする方向には導かず、逆の方 . . . 本文を読む
私たちは日頃、健康を保つことに特段の注意を払っているが、いったん病気になって病院にかかってみると、自分のほかにこんなにも多くの、治療を必要とする病人がいることに愕き、失われた健康の回復を痛切に願う。日進月歩の医学の進展は、検査の精度を高め、診断の正確性は向上の一途を辿っている。治療成績も卓越していることだろう。今日、疾病は比較的軽微なうちに発見でき、早期に治療できるようになった。病気によっては、発 . . . 本文を読む