今朝6時、居間の窓を開け放ち、外気を胸一杯に吸い込みながら、ふと何かが変わっていることに気づいた。
太陽光線から灼熱感が失せ、光の入射角が低くなっている。そのせいだろう、草木の枝葉や住宅の瓦の陰影が濃く感じられる。
気がつけば、あれほど耳を聾するばかりに喧しかったセミの声も遠のき、微かに聞こえる程度。セミの初鳴きに始まった今年の夏も、幕を下ろそうとしている。
この時期になると、何故かかつ . . . 本文を読む
水生植物とは、水中から陸上で生活するよう進化してきた植物の中で、再び生育場所を水に求めた植物群と言われている。その中に、抽水植物というグループがある。
抽水植物(オモダカ・シラサギカヤツリ・ヤナギタデ・ミソハギ・ヨシ・マコモ)、浮葉植物(アサザ・ハス・スイレン)、沈水植物(バイカモ・エビモ)などがある。
鮎の塩焼きに用いる蓼酢に欠かせない〈ヤナギタデ . . . 本文を読む
若い頃から、峠路を歩くことが好きだった。
汗をかきかき一歩一歩高みに向かって歩を進めると、前夜宿った村は徐々に谷の底に沈み、往く手の稜線が迫り来る。胸突き八丁をなんとか登り切れば目前が急に開け、稜線の鞍部、峠に出る。人や荷駄、時には山の獣も、山越えの労が最も少ない峠で稜線を乗り越える。峠は自然と人間との接点でもある。
峠に至れば、誰もがその日の行程の半ばをこなした安堵感を覚えた。旅人は、眼下に . . . 本文を読む
ある時、東行するJRローカル線の電車に乗っていた。 対面横座席シートの車両だった。 通勤時間帯を過ぎていたので、車内は乗客もまばらで空席が目立っていた。 ある駅で、妙齢の容姿の好い白人女性が乗り込んできて、私の向かい側の シートに腰かけた。カジュアルな服装で、電車の利用に馴れているように見えた。 どこの国の人かと思いながら美貌に見惚れていたら、やおら彼女はバッグから鏡を とりだし、メーク . . . 本文を読む