「絶好のパートナーにめぐりあったんだ!」
人もうらやむ玉の輿に乗った結婚生活だったはずが・・・
終焉は、ある日突然あっけないほどあっさり訪れた。
物事全般にこだわりがなく、爽やかでさっぱりした性分は彼の大きな魅力の一つでもあったのだが、逆の側面の落とし穴のようなものも潜んでいたわけだ。
二年ちょっとの結婚生活で渚に残されたのは、家具や家電製品を含めたチャコズガーデン505の部屋丸ごと。
そんなわけで巣ごもり状態だった生活を一変させたのは、隣室に岡地一家が越してきたからだ。
その頃から不可解なことが吉祥寺にある瀟洒なマンションで起き始めるわけですが、これがどんな事件に発展するのかと謎解きをしながら読み進んでいくのが楽しい。
誰も見たことがないという、7階ワンフロアーに住むオールドレディとは?
昭和にはどこそこにあった人との係わり合いが少なくなり、地域社会も高齢化で消滅しつつあります。
コクーンかシェルターのようにプライバシーが守られた生活は気楽かもしれませんが、無縁社会じゃ寂しすぎます。
今回の東北大震災で言われていることも「絆」だもの。
あったか系ミステリー。
「チャコズガーデン」 明野 照葉