ネットで評判になっているというので、高木仁三郎さんの本を読んでみた。
1999年に起きた東海村JCOウラン加工工場における臨界事故の衝撃と、二十世紀の終わりに過去五十年ほどの間に進んできた原子力開発を振り返ってみるという二つの動機から、文明的な転換と原子力問題の根本を理解し先を考える必要を誰にでも分かりやすく説いている。
日本の原子力技術は優秀だ。
確かに福島原発事故が起きるまで、いたるところで事故が起きていてもどこかでそう信じていた。
だから事故後、安全対策どころか優秀だと言う根拠がどこにもなかったことに驚いたのだった。
原子力は安い電力を供給するものでもなく、地域振興に寄与するものでもなく、クリーンなエネルギーでもない。
「火」を作る技術は進歩しても、「消せない火」である原子力は無害化することが出来ない。
唐突だった浜岡原発停止措置は、人気取りだろうとなんだろうと適正な判断だと思ったのだが、他の原発は安全対策をとった上で稼動・・・
対策費を再生可能エネルギー開発研究に使うべきじゃないのだろうか。
「安全神話は崩壊した。そんなものには頼れないというところから出直そう」
そう言いながら、同じ報告書によって日本の原子力が再構築できるかのごとく言う11年前と同じことを繰り返せるつもりだろうか。
これからのことを考えるために読んでおくべき本だ。
「原子力神話からの解放」 高木 仁三郎