モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

プレ・モダンローズの系譜 ①全体の俯瞰図

2008-12-25 10:01:41 | バラ

「プレ・モダンローズ」とは??
ジョゼフィーヌのマルメゾン庭園にバラが植えられたのは、1801年が初めてという。
翌年には大規模なバラ園がつくられ、世界各地からあらゆるバラが集められた。
そして、ジョゼフィーヌが支援した園芸家アンドレ・デュポンにより、
初めて人工交雑によるバラの新種がつくられた。

ここから自然交雑ではないバラの品種改良が進み、
現代のバラの祖ともいうべきハイブリッド・ティー・ローズ(略称HT)が誕生する。
第一号のHT「ラ・フランス」が誕生したのが1867年であり、
フランスの育種家ギョー(Jean-Baptiste Guillot)によって作出された。

(写真)最初のハイブリッド・ティー・ローズ「ラ・フランス」


この1867年は、パリ万国博覧会が開催されており、
「ラ・フランス」は、会場となったシャン・ド・マルスの庭園で展示され、
大輪で花弁がたくさんある香り豊かなピンクのバラは注目を集めたようだ。
フランスにとっては、園芸が産業化された記念すべき年でもある。

オールドローズ達が交配され、この「ラ・フランス」誕生までをモダンローズが誕生する前夜“プレ・モダンローズ”と呼ぶことにし、園芸品種の改良の歴史を追ってみる。
品種改良の歴史的な記録がきちっと残っているのはバラだけのようで、他の園芸品種は省みられないか秘匿されたようだ。

ちなみに品種改良はバラの品種数に反映しており、
1791年のフランスのバラカタログには、25種しかなかったというが、
この人口交雑によりフランスのバラ育種業が活発になり、1815年には2000種もの品種を販売できるようになり、1825年頃には5000種まで拡大し、米国南部ミシシッピー周辺にまで輸出していたという。
別の記録では、1829年にはケンティフォーリア系2682種、モス・ローズ系18種、ガリカ・ローズ系1213種、アルバ・ローズ系112種が記録されており、オールドローズの系統の品種交雑の展開が伺える。

このようにジョゼフィーヌが亡くなった後でもマルメゾン庭園は、バラの栽培を続け、バラの発展に寄与しただけでなくフランスの花卉産業を勃興させ、美しいイメージの国にした。

プレ・モダンローズの主要なバラ年表
四季咲きで花の色も形も美しい「ラ・フランス」が誕生するまでにいくつかの道がありこれを簡単に整理すると次のようになる。
(オールドローズに関しては、当ブログ『バラの野生種:オールドローズの系譜①~⑨』を参照ください。)

(1)西アジア、中近東を経由して地中海沿岸・ヨーロッパに自生していた数系統のバラ(R.アルバ、R.ケンティフォーリア、R.ダマスケナ、R.ガリカ、R.フェティダなど)
(2)18世紀末にヨーロッパに入ってきた中国・インド原産のコウシンバラ、および、日本にも原生するノイバラ、ハマナスなどの系統。

これらが交雑され次のようなバラが誕生する。
<主要な年表>
・1812年ころ: 「ノアゼット・ローズ」が発表される。
・1817年: 「ブルボン・ローズ」が発表される。
・1837年:フランスのジャン・ラフェイ、パリ郊外のベルブゥの庭で、最初のハイブリッド・バーベチュアルである「プリンセス・エレネ(Princes Helene)」を発表。
・1838年:最初のティ・ローズ「アダム(Adam)」が発表される。
・1864年:ノアゼット・ハイブリッドの代表種「マレシャル・ニール(Marechal Niel)」がブラデルにより作られ発表。
・1867年:最初のハイブリッド・ティー(HT) 「ラ・フランス(La France)」がギョー(Guillot)によって作られ今日のHTの基礎が確立した。

(続く)

コメント