モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その1.セイヨウシャクナゲの花 と ツツジ と プラントハンター

2010-04-15 08:17:57 | 中国・ヒマラヤのツツジとプラントハンター
その1:セイヨウシャクナゲとツツジ

(写真)セイヨウシャクナゲの花


サクラの後はツツジの季節となる。
このツツジ、サツキなどはマニアが多く人気のある花卉だが、私はあまり関心がない。

今回初めて書いてみようかなと思ったのは、鎖国をしていた中国・日本などから1800年以降にアジアのツツジをヨーロッパに持っていったプラントハンターの存在があったからだ。

ただ、唯一気にいっているツツジがある。
山手線の車窓から見る駒込駅のツツジは、大都会東京の喧騒を忘れさせる不思議な働きをしてくれる。わずか数十秒の癒しなのだろうか?

この駒込界隈は、今では日本を代表するサクラとなった「ソメイヨシノ」の発祥の地として知られるが、江戸時代は、植木屋が集積した“染井村”であり、江戸のツツジもここから広がっていったという。
その始まりは、1656年に九州霧島のツツジ3種が、伊藤伊兵衛という染井の植木屋に分け与えられ、この栽培に成功して江戸中に広まったという。
ツツジは、日本古来の花であり万葉集に登場するが、江戸では比較的新しい花なのには驚いてしまった。

この伊藤伊兵衛は、植木職人だけではなく園芸家でもあり植物学者でもあった。彼と彼の息子4代目政武は、『錦繍枕(きんしゅうまくら)』(1692年刊)という世界初と思われるツツジ専門書を出版し、ツツジ173品種、サツキ162品種を取り上げた。
というほど、数多くのツツジ・サツキが江戸時代に作出されるほどこの頃の栽培技術は高度になり、世界最高水準の園芸文化を生み出すようになっていた。

ところで、ツツジ、サツキ、アザレア、シャクナゲの違いがわかるだろうか?

これら全てはツツジの仲間で、学名では“ロードデンドロン属(和名ツツジ属)”に分類される。

そういえば、小石川植物園の入り口近くに、ツツジの原種と思われる古木が大切そうに植え込まれていたが、無関心がゆえに気にもとめないでいたのを多少反省し始めた。
だから、はっきりした違いがよくわからなかったが、
サツキは数あるツツジ類の品種の中での1品種であり、日本では盆栽に使われるのでツツジとは区別されているようだ。(なるほど、盆栽用ということね)

ツツジとシャクナゲの違いは、葉に繊毛があるがないかの違いで、繊毛があるのがシャクナゲ、ないのがツツジと大雑把に区別できるという。

アザレアとシャクナゲは区別が難しく、園芸上の違いで、オランダで改良された園芸品種がアザレアでセイヨウツツジとも呼ばれる。耐寒性が弱いところがシャクナゲと異なるという。

シャクナゲについてはこれから説明することにするが受け売りだからご勘弁を。

シャクナゲ (石楠花、石南花) は、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の低木の総称で、亜寒帯から熱帯の高地まで広い地域に生息し、ツツジ属のうち常緑性のものを指すのでその品種数はかなり多いという。

日本でもシャクナゲは結構あるようだが、大部分は亜種であり原種は少ない。
原種が多いのは、ヒマラヤ山脈から中国にかけての2000-4000mの地帯にある中国雲南省、四川省、ビルマ北部、チベット南東部、ヒマラヤ東部などであり、この地帯がシャクナゲの原種の宝庫となっていて、3月末から4月にかけて見事な花が咲くそうだ。

今では観光スポットとなっていて、ネパールの標高2,000m~3,500m付近にはシャクナゲが群生し、高さ10mを超える大木に真っ赤なシャクナゲの花が雪山を背景に咲いているという。(これはきっと美しいだろうな~と思う。)

このような秘境から原種のシャクナゲをプラントハンティングしてヨーロッパに持っていった人たちがいる。
そしてヨーロッパで交配を重ねて品種改良がされたのが「セイヨウシャクナゲ」で、今では日本にも逆輸入されている。。

「セイヨウシャクナゲ」は、“ロードデンドロン(Rhododendron)”と呼ばれ、ギリシャ語で“バラ”を意味する‘rhodon’と“木”を意味する‘dendron’の合成語で、バラのように美しい花を咲かせる木に由来する。

今ではツツジ属のことを“ロードデンドロン属(Rhododendron)”というが、単に“ロードデンドロン”といった場合は、園芸化されたシャクナゲのことを言うようだ。

子供の頃は、山学校をし、野生のツツジの花を摘み蜜を吸ったものだが、ロードトキシンというケイレンをおこす毒を含むようであり、摂取すると吐き気や下痢、呼吸困難を引き起こすことがあるそうなのでご注意されたい。
わからないものは口に入れないほうが良さそうだ。

(次回は、ツツジ、シャクナゲをヨーロッパに持っていったプラントハンターについて記載する。)

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