お盆です。 懐かしい鉄道模型の方々を偲んでみたいと思います。
1. 水野良太郎さん
鉄道模型趣味誌に毎号挿絵を書いておられた漫画家の水野良太郎先生です。
毎号の挿絵が楽しみでした。 これって鉄道模型に相当没頭していないと描けない内容です。
私が、氏と知り合いになったのは、私が2003年に鉄道模型趣味誌に「家庭で走らせる模型を求めて」というタイトルで3号連続(TMS714、715、716))で記事を載せた時でした。 サブタイトルが「ヨーロッパの鉄道模型」で、家庭に小さなレイアウトを作って走らせているヨーロッパの状況を、狭い部屋で走らせられるような車両の機構や考え方などを紹介したものでした。
車両作りで精密なものばかり考えずに、小さなレイアウトで良いから作って、景色の中で走らせよう。 そのためには車両の構造が伸縮式連結器や、急カーブ対策ができていないと、本物にこだわった構造では、ダメだ!、 模型としての構造を考えようと、いろいろな図示を含めて書きました。 また、何人かで集まってモジュールレイアウトして走らせれば良いという、HNモジュールの前身も紹介しています。
この後、水野先生から手紙が来て、鉄道模型に対する考え方が私と同じだ、是非一緒に話をしたいとのことで、私が東京に行ったときには何度もホテルに来ていただいてお話ししました。 当時先生は、何万人に一人という難病で歩くのもキツかったようです。
左端が水野先生。 上の漫画の顔はとてもよく似ています。さすが画家です。 右端はRMモデルスの方です。
何度も東京で会いましたが、手紙もたくさんやりとりしました。 この方はパソコンメールは嫌いで必ず封書かハガキで、返事を出すもの紙でした。
先日引き出しを開けたら見つけた手紙類。 写真もご自分で撮られたものです。
天国でも模型を走らせておられるでしょう。 合掌。
2. 伊藤 剛さん
この方とは全く面識がありません。 名古屋の模型クラブNMRCに所属しておられてユニークな模型の記事を何度も見ているので名前を存じ上げていた程度です。
こんな市電の記事がありました。 OJゲージです。
驚くなかれ、車体が全自作なのは当然ですが、モーターを作っている。 それも平面モーター。 厚さを薄くするために市販されていないとんでもない形のモーターを設計して自作。
この方は本当にアイデアマンです。もちろんポールは進行方向に合わせて回転するし、自動的に何か動作するような電気回路も入っているし。
そして一段と驚いたのが
車体が歪んだ絵があります。 市電はガタガタ車体を歪ませて走っていると、模型でも走ると車体が歪むように作ってあるのです。 もちろん模型ですので車体を持ち上げますが、壊れないように作ってあると書いてあります。
昔はこういう、アイデアというか面白い模型もあったのですが、最近は精密ばかりで面白く無い。
さて、この方との接点は前述の「家庭で走らせる、、、」の中で、ファーラーのカーシステムを紹介して、自動車運搬貨車の上に模型のトラックが上がって行き、自動的に各貨車の上で止まるようになっている、皆さん構造が分かりますか? と書きました。
これに関して、伊藤さんから手紙があって、私はこう考えると機構を図示されていました。 よく考えられた機構でしたが、ファーラーの機構は違います。 そこで、伊藤さんへの返事もかねて、TMSに「家庭で走らせる 番外編」として、カーシステムの貨車での構造を載せました。
カーシステムの車は地面に埋めた磁石で止まります。 カーシステムの貨車では貨車に磁石があり止まるのですが、その磁気の解放のために線路下に強力な電磁石を置いて逆磁界をかけるという想像を絶するような構造になっていますが、ちゃんと市販されていました。 それを使った、自動車運搬貨車のレイアウト図も載せています。
道を走ってきたトラックが、貨車の後ろから乗り、貨車を次々に走る抜けて一番前の貨車の上に止まる。 次のトラックも同じように乗っていて隣の貨車に止まる。 列車が走って終着駅に着くと、このときには貨車は後ろ向きに付け替えてあるのですが、トラックは走り出して道路に出てゆく。 これが自動的に行われているのです。 ヨーロッパの模型の考え方は走らせることにあります。
この後、伊藤さんから時々手紙が来て、その後、愛知から神奈川に引っ越しされましたが年賀状はお亡くなりになるまでつづけていました。
なにか勲章をいただいたとこんな絵もいただきました。
享年94歳。
合掌
3. 山城正一さん
鉄道模型クラブ、京都トンネルクラブの会長さんでした。
鉄道模型大集合IN OSAKAでお会いしたこともあるのですが、立派な紳士で、高貴な方という気がしていてあまりお話ししたことはありません。
しかし、TMSに近鉄の電車をよく載せておられていたので、すごい人だとは思っていました。
古いTMSを探したら、近鉄ではありませんが、京王の記事がありました。 珍しい大きなパワートラックを使っておられます。
日本橋の電気屋街でばったりお会いしたときに、ボークスという店ができましたよと教えたのですが、後日良い店を教えてくれてありがとうとお礼を言われました。 他では、京都の八条口模型や、大阪のきりん模型店でバッタリあったり、何度か会っているのですが、いずれも挨拶程度で、喫茶店でも行ってしっかり話ができればよかったと今でも悔やんでいます。
お会いしたときに必ず言われたのが、私は電車の模型を作ってきたが、車両を作ることが鉄道模型だとばかり思っていました、しかし貴方とお会いして、情景のある中で模型を走らせるのが鉄道模型だとこの歳になって分かりました、と。 何度かこう言われていました。
トンネルクラブのブースにはこの方の遺影が飾ってありました。 偉大な方でした。
合掌
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