「中国ガン・台湾人医師の処方箋」(林 建良著)
セントジョセフ国際大学 国際社会工学部 主任教授
古賀 剛大 様
中国の本質を知る最高の解剖学とその処方箋が本書に掲載されています。
皆様にその全貌をこれからご紹介していきます。(茂木)
その9
【中国ガン対策】これ以上待てない
●崩壊と再生を繰り返す中国ガン
正常な細胞を食いつぶし、最終的にはすべてを破壊して、自分自身も滅亡することになるガン細胞は、あたかも永遠に生き続けることを前提としているかのように、すべての秩序を無視し、すべての栄養分を奪い取ろうとする。まるで自分さえ生きていければいいといわんばかりに、無限増殖しようとするのだ。
そのような意欲の下、どんどん大きくなって、他の細胞を圧迫していくのである。
中国は数千年の歴史があるといわれる。文献上はっきりと記載されている歴史だけでも三千年くらいはある。中国にガン細胞的要素があるのに、なぜこの国はいまだに滅びることがないのだろう。このガン細胞は、なぜ今まで海外に転移することがなかったのか?
実は中国はこれまで何度も崩壊している。黄河流域の中原を中心に、崩壊と再生を繰り返し、徐々に周辺地域を食いつぶし、今日の広大な版図を形成している。
それでも中国は、たしかに今日の版図以上は拡大していない。それは自己完結型の世界観、天下観に支配されており、中国そのものが天下であって、それ以外の世界に関心を持ってこなかったからだ。もっともこれは交通手段が発達していなかった時代のことである。交通手段がなかったから、その影響力が海外に届かなかっただけともいえる。
金観濤氏と劉青峰氏の書いた『中国社会の超安定システム│「大一統」の構造』は、中国社会の原型は秦、漢の時代にほぼ完成しており、その後は二、三百年の周期で膨張と縮小、崩壊と再生の繰り返しが行われてきたと指摘している。
そのような崩壊によって、中国のガン細胞に自滅効果をもたらし、たとえば人口膨張というマイナス面は、自滅効果によって抑制されたことで、再出発することができたのだ。
秦から漢にかけての八年間で、人口は半減して一千万人になった。さらに後漢当時、五千万人いた人口は、続く三国時代には七分の一の七百万人になっている。
隋の時代には九百万戸あった人口は、次の唐の時代には三百万戸に減少している。それでも唐の時代は五千万人にまで増えているが、次の北宋の時代には再び三百万戸になっている。一戸を八人とすれば、三百万戸は二千四百万人だから、唐の時代よりも半減していることになる。
南宋の時代には一億人に達しているが、その後、明、元の時代を経てさまざまな増減を繰り返しながら、清の初めの時代には一千四百万人にまで落ちている。
なぜこれほど人口の増減が激しいのかといえば、それは水害、飢饉、疫病や戦争が頻繁に発生しているからだ。
二十世紀に入り、国共内戦のときには数千万人減っている。今の中国になってからも、大躍進や文化大革命などで三千万人が死んでいる。
●世界に波及する中国問題
ところがその後は、社会の安定を保ってきた自浄効果、つまり人口減がない。これは中国社会への大きな圧力となっている。そして今の中国がかつてと違うのは、天下観の概念である。かつては黄河流域だけに限られてきた「天下」も、いまや全地球レベルにまで拡大している。つまり、中国の抱える問題がいよいよ世界にも波及しつつあるわけだ。
一方でこれは、中国問題解決の先送りでもある。たとえば洗面器の中の水の汚れは見ればすぐわかる。しかしプールの中の水となると、その汚れがプール全体に拡がるまではわからない。つまり、問題を広範囲のレベルで処理しなければならなくなるわけだ。こうなれば問題を問題視するまで、さらに時間がかかることになる。こうした問題解決の先送りにより、人々の危機感は希薄となり、そして鈍感となる。
一方、中国と世界のリンケージは、かつてないほど強くなりつつある。各国企業の対中国投資により、世界と中国の連携が強まり、そのため中国の変動によって世界経済も大きな影響を受けるまでに至っている。すでに「大きすぎて潰せない(Too Big to Fail)」という状況だ。そのため各国は、中国の崩壊をできるだけ食い止めたいと考えるようになっている。
かくしてこれまで中国が隠蔽に努めてきた同国の問題に関し、各国もまた、それが表面化することを恐れ始めるようになったのだ。このように、カネ、ヒト、情報のリンケージが強化され、世界が一つの運命共同体となりつつある今日、中国の問題は、すでに中国一国だけのものではなくなってきている。
ところが、世界が情報や経済などで公開の方向に進むなか、中国は依然として政治面では閉鎖的なままだ。そのため、経済や環境問題など、世界が共同で関心を持つべき事柄が中国では政治的決定に関わっているため、各国は手も足も出せない。それでいながら中国は、国連など国際機構に参加し、自分に有利なものだけを守り、有利でないものは守らないという自己中心的な行動を繰り返している。これがガン特有の行動であることは言うまでもない。
●風邪薬でガンを治そうとする医者たち
このように、今のところ、世界のガン細胞となりつつある中国が自ら崩壊するとは考えられない。それではこの中国ガン細胞の世界移転を防ぐにはどうすればいいのか?
地球を人に例えてみよう。この「地球さん」がガンにかかり、それを告知されたとする。このとき人間の一般的な反応として、①否定する、②怒る、③絶望する、④受け入れる、の四つの過程が考えられる。
今、「地球さん」の体に中国というガン細胞が増殖していることが告知された。すると八割の人間は「そんな馬鹿な」「中国はガン細胞などではない」と否定するだろう。残りの一割は「なぜ中国が」と怒る。そしてもう一割は「これはどうしようもないな」と絶望する。ところが、この現実を受け入れて、これからどう治療するべきかを考える人はほとんどいないのだ。自分たちの地球がガンにかかっているというのに。
ここでもっとも大切なことは、地球の人々に中国ガン細胞の存在を指摘し、それを認識させることだ。否定する人々には認めさせ、怒っている人や絶望している人には現状をしっかり認識させるべきなのだ。そうして初めてどう対処するべきかを考えることができるようになるのだ。
一方「地球さん」を診察した医者の側はどうか。中国の現状を認識している人々がこの医者にあたるだろう。こうした人々はガン細胞の存在を指摘はするものの、ほとんどが肝心の対処法を示していない。つまり明日も、明後日も、来年も、二年後も診断、検査ばかりを繰り返して治療に着手せず、そのうち「地球さん」は死んでしまうのではないかと危惧される状況だ。
実際、ごく少数の人々は「これはガンだ。早く治療しよう」としている。それでもまだ、どのように患者やその家族と話をしようかと考えている段階だ。
一般的には、中国というガンに対する診断も対処法も知らないヤブ医者ばかりということだろうか。日本では、このヤブ医者たちの声が大きい。彼らは言う、「これはガンではない」と。
日本のほとんどの政治家、マスコミそして企業などは、まさしくこのヤブ医者にあたるだろう。彼らは中国というガン細胞を「いい細胞である」「元気な細胞だ」などと見立て違いをして、「早く大きくなってほしい」と、ODA(政府開発援助)などの栄養分をどんどん送り込んできたのだ。今でも「発展途上国」中国にODAをと叫ぶ者がいる日本だ。
これは日本だけの状況ではない。世界がこのガン細胞に対し、「民主化を待つ」「国際機構に加わることで、責任ある国になってほしい」「その良識に期待する」等々、大きな期待をかけている。これはまるでガンを風邪薬で治そうとしているようなものだ。
私は一人の医師として、社会に対して医者の役割を果たすべき政治家やマスコミなどが、何の治療方法も見出せないことに苛立っている。その無知と無関心、そして無気力に対して怒りさえ覚えている。
このような政治家やマスコミも、実はすでに中国ガンに侵されていると言ってよい。中国ガン細胞による環境破壊や治安破壊などを目の当たりにしながら、それに対処方法を見出せないどころか、危機感さえ抱いていない。逆に、そのガン細胞に栄養分を送ってしまう。このような人々はすでにガン細胞に惑わされ、それに加担することで、自らもガン細胞の一部になっているのである。
彼らの脳細胞に中国ガン細胞は移転し、それに支配され、良識も勇気もみな麻痺してしまっているのだ。
このようにすでに中国問題は世界に波及し、中国一国だけのものではなくなっている。中国ガンの進行を食い止めるための治療を今すぐ始めないといけないのだ。これ以上待てない状況に差しかかっているのだ。
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近視眼的思考は、国家を危うくするのは、前述もしたが、全方位的思考が、外交には求めれられる最大の武器となろう。
アジアの繁栄と台頭は、欧米諸国、欧米新本主義を建前とする資本たちには、決して心よいものではない。アジアが安定せず、いつも問題を起こす厄介な事件ほど、彼れらには、好都合の論理が表面化するのである。日本、中国、韓国、北朝鮮ともめればもめるほど、彼らには、触手を機敏に動かし、徹底した利益を追求するのが常套手段である。今、日本は、ロシアに対しても、融和を求めているが、ロシアから見れば、アメリカの傘にある日本には、懐疑的なのである。ロシアだけが理解が薄いとなじるのは、適当ではないと記者は思う。ロシアは、日本を利用しようと企んでいると仮定して、根本を発想するとすれば、そのハザードになっているのが、日米の安全保障の条約である。つまり利用しようと企んだほうが、ミイラ取りになってしまう傾向が強いのである。だから、日本をロシアは、信用していないし、信頼を寄せる気持ちはない。と解釈したほうがいい。
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日本時事新聞社 デスク 古賀剛大