安岡正篤氏の『活眼活学』(PHP研究所)の中に、ある一節がある
(以下、引用)
世界史の中でも類い稀な大宰相といわれた耶律楚材(やりつそざい)という蒙
古の大宰相がある。五十幾歳のジンギスカンが二十そこそこの耶律楚材に一見
して惚れ込んだという大人物である。この人が若い時、北京で禅に没頭して、
澄公という非常に優れた和尚さんに参学しておったが、いろいろ自分の意見を
言うと、うんうんといってしきりに同意してくれる。
その頃、彼は満州の王族であったが、蒙古の侵略を受けて自分の現在仕える王
国金は没落する。国家の没落の危局に臨んで彼は苦しんだ。そういう深刻な状
態になってくると、それまでの観念の遊戯などというものは実は気分の満足な
んで、いわゆるムードなんていうものでは片がつかん。えらく自分が参禅して、
できたつもりでおったけれども、何やら怪しくなった。それでその行き詰まっ
た気持ちで澄和尚の所へ行った。
すると、和尚は非常にご機嫌が悪くて、いろいろ意見を言うと、それは駄目だ。
これはなっておらんと、もう頭ごなしにやられる。そこで楚材は、今迄お師匠
さんは何ごとにもよらず私を許してくれたが、今日はどうも頭から否定される。
どういうわけですかと聞いてみたら、今迄はおまえの参禅も遊戯であった。貴
族の道楽だった。だからどうでもいいから、うんうん言っておったのだ。今日
のおまえは真剣らしい。真剣に聞くなら、実はなっておらんという。それでハッ
と悟ったということがある。
人間というものはそういうもので、少し調子を下げればどうでもいい。たいて
いのことは、うんうんでいい。しかし真剣に命がけで取り組むということになっ
たら、それこそ簡単にはゆかん。
(以上は、「株式会社フェイス総研」のメールマガジンからの転載です)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は以前、「本当に見込みがある人に対しては厳しく指導する、これが日本人だ」と思っていました。
でも、耶律楚材の例を見ても、それは日本人に限らないということが分かります。
ヨーロッパのある国では、電車の中で騒ぐ子供に蹴りを入れてでも静かにさせる母親がいる、
と聞いたことがあります。アメリカでも、小さいときに厳しく叱られた経験のある人は、何人もいます。
3年前、愛知大学の先生に紹介していただいたある教育者のお話では、いい先生というのは、次の4つを備えている人のことだそうです。
1.ものすごく厳しい
2.ものすごくやさしい
3.ものすごく楽しい
4.学生のいいところを引き出し、将来の仕事につなげていく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本気で相手に向き合えば、優しくするばかりではいられなくなる、私もそう思います。
(以下、引用)
世界史の中でも類い稀な大宰相といわれた耶律楚材(やりつそざい)という蒙
古の大宰相がある。五十幾歳のジンギスカンが二十そこそこの耶律楚材に一見
して惚れ込んだという大人物である。この人が若い時、北京で禅に没頭して、
澄公という非常に優れた和尚さんに参学しておったが、いろいろ自分の意見を
言うと、うんうんといってしきりに同意してくれる。
その頃、彼は満州の王族であったが、蒙古の侵略を受けて自分の現在仕える王
国金は没落する。国家の没落の危局に臨んで彼は苦しんだ。そういう深刻な状
態になってくると、それまでの観念の遊戯などというものは実は気分の満足な
んで、いわゆるムードなんていうものでは片がつかん。えらく自分が参禅して、
できたつもりでおったけれども、何やら怪しくなった。それでその行き詰まっ
た気持ちで澄和尚の所へ行った。
すると、和尚は非常にご機嫌が悪くて、いろいろ意見を言うと、それは駄目だ。
これはなっておらんと、もう頭ごなしにやられる。そこで楚材は、今迄お師匠
さんは何ごとにもよらず私を許してくれたが、今日はどうも頭から否定される。
どういうわけですかと聞いてみたら、今迄はおまえの参禅も遊戯であった。貴
族の道楽だった。だからどうでもいいから、うんうん言っておったのだ。今日
のおまえは真剣らしい。真剣に聞くなら、実はなっておらんという。それでハッ
と悟ったということがある。
人間というものはそういうもので、少し調子を下げればどうでもいい。たいて
いのことは、うんうんでいい。しかし真剣に命がけで取り組むということになっ
たら、それこそ簡単にはゆかん。
(以上は、「株式会社フェイス総研」のメールマガジンからの転載です)
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私は以前、「本当に見込みがある人に対しては厳しく指導する、これが日本人だ」と思っていました。
でも、耶律楚材の例を見ても、それは日本人に限らないということが分かります。
ヨーロッパのある国では、電車の中で騒ぐ子供に蹴りを入れてでも静かにさせる母親がいる、
と聞いたことがあります。アメリカでも、小さいときに厳しく叱られた経験のある人は、何人もいます。
3年前、愛知大学の先生に紹介していただいたある教育者のお話では、いい先生というのは、次の4つを備えている人のことだそうです。
1.ものすごく厳しい
2.ものすごくやさしい
3.ものすごく楽しい
4.学生のいいところを引き出し、将来の仕事につなげていく
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本気で相手に向き合えば、優しくするばかりではいられなくなる、私もそう思います。