今はオンラインでのイベントがたくさんあって、今まで諦めていたことも参加したり視聴したりできるので、ありがたいなと思っています。
サインバルタという薬で、どうもやる気が起きないという副作用が出てしまいました。
アパシーという現象らしいのですが、医師である夫が自画自賛します。
「僕、優秀だな!なんてったって、アパシーだ、と見分けがついたんだから!」
なるほど、サインバルタという薬は基本的に気分をあげるものなので、やる気がなくなるとか気分が落ち込むというのは考えにくい現象だそうなのです。
あまりに普通ではない現象なので、副作用としてもなんなら否定されてもおかしくないということです。
僕、すごいでしょ?すごいでしょ?と、子どものように褒めて欲しそうにニコニコしています。
こちらは具合が悪いのです。
大のおじさんをほめそやかす余裕はありません。
でも、考えてみれば確かにすごいなあと思いましたので、
「うん、確かに。すごいね。」
と言うと、照れながら喜んでいました。大人でも褒められるのは嬉しいものですね。
重たい空気の我が家が、少しほっこりしました。
結局やっぱりやる気がでないなあと思いながら無意自閉な日々を過ごし、この間にこれまた下手の横好きではじめた刺繍をもくもくとやっていました。下手なんですけど、時間が経つのを忘れられるので好きな趣味のひとつです。
いつもだとやめ時が見つからずに通常の生活に支障が出ます。あれ?もうこんな時間!?あとちょっと、みたいに、自分の弱さが露骨に出てくるので困ったものです。ですからこういう時の方が取り組みやすくていいですね。
それでも時々ムキになってふんふんと針を刺して肩に力が入りまくりのときがあるので、私は一体何やってるんだろうと、呆然とすることもあります。
ほんと、自分が謎。
そして、やっぱり結構しんどいので1ヶ月後の受診で主治医の先生に相談しました。
したところ、え?そんなことが起こるのかね?と。確かにサインバルタで落ち込むという現象はほとんど聞いたことがありませんが、主人がそう言うので先生に相談してみたらどうかと言うので、とお伝えしたところ、
「そっかあ。」
と、聞いたことがないということを言いつつも、やっぱり今回も否定せずに私の話を聞いてくださいました。
「えーっとね、なんだっけな。他のがあるのよ。えーっと」
そして早速、サインバルタに代わる他の薬を考えてくださっているようでした。
「そうだ!サインバルタだ!」
先生。豪快に思い出されたその薬の名前は、、、
「いえ、先生、、その、今飲んでおります。」
「あ、そうだった。えーっとね、えーっとね。」
いつも思うのですが、お薬の名前を覚えてるってすごいですよね。一般名と商品名でひとつの薬なのに2つ以上の名前がありまして、今はジェネリックというものも一般的になってしまいましたから3つも4つもひとつの薬で名前があるわけです。私なんか朝から駄菓子のラムネのお菓子ひとつ分くらいジャラジャラと服用しますが、それぞれ覚えるだけでも大変です。朝にどれ、昼にどれ、レスキューがどれ、えーっと?もう自分のことですらこのような有様ですから、いくらプロとはいえ、どんどん出てくる新薬にも対応しつづけるわけですよね。すごいなあと思います。
「パキシルよ、パキシル!」
「パキシル?SSRIの?へー!パキシルが効くんですか?」
先生が思い出されたようで、パキシル!と言われたのですが、私には明後日の薬というか、え?なんのこと?みたいな感じでとてもびっくりしました。非常に有名な精神科の抗うつ薬のひとつがパキシルという薬です。あまりにメジャーなのですが、逆に抗うつ薬以外の用途を知らないのです。パキシルと疼痛?
その後、疼痛と精神科薬の歴史を話してくださいました。
元々、疼痛と神経痛に対する精神科薬の利用はパキシルから始まったそうです。
今は第一選択薬がサインバルタだそうですが、昔に戻る人がいたところでなんの疑問もないよ!とのことでした。
こういう歴史の話は主人も知らなかったらしく、勉強になるなあとつぶやいてみたり、そんなことまでお話ししてくれるの?と驚いてみたり、相変わらず先生の診察の技術も知識も、そして人の話を否定しないという姿勢も医師である主人にとっては勉強することだらけです。私はいわずもがなですが。勉強したところで発揮する機会もありませんけど、いつも心は洗われて帰ってきます。
こんな高名で素晴らしい先生も、診察室の中では時々おちゃめな間違いをされることがあって、もちろん「つっこむ」なんて恐ろしくてし難い先生なんですが、つい常連になってきて先生がお優しいのも知っているので「つっこみ」を入れてしまいます。
ということで、私のアパシー生活はもう少しで終わるかなと思います。
パキシルも、副作用が出ないかちょっと怖いですけれども、がんばることになるのかなと思っています。
離脱症状が出るといけませんので、サインバルタ、もう少しだけ飲む予定です。(精神科薬の場合、ずばーんと切ってしまうと頭痛とか吐き気などの離脱症状が出てしまうことがありますので、ゆっくり減らし、ゼロにする時は慎重に、というのがセオリーだそうです。)
離脱、出ないといいなあ。