アンティーク時計にはまる・・第三弾
アメリカには
日本のヤフオクと同じようなオークションサイト=e-Bay があります。
この”e-Bay”と日本をつなぐのが ”セカイモン”という日本運営のサイトがあります。
現地担当も現地の日本の方がされているので
質問やトラブル対応など 日本語で丁寧に答えてくれ
支払いや 発送・商品の確認など すべてを責任をもって代行してくれるので
安心して アメリカのオークション商品を購入することができます。
日本とは まったく違う世界が広がっていて
覗くだけでも面白いですよ。
・・っで その”セカイモン”のサイトで
”アンティーク時計””で検索してみると・・
見つけたっ!
1920年代 アールヌーボー様式のアンティーク時計!
アールヌーボーとは
1900年代に流行したデザインのことで
流線形のツタや花模様などが繋がる装飾が特徴です。
これに対し・・1920年代から
アールデコが 流行します。
アールヌーボーの流線形に対し
アールデコは 直線的・幾何学的な模様を特徴としています。
・・っで 今回、探していたのは
流線形で 華美なデザインが
これでもかっ!っと 施された”アールヌーボー”様式の時計
1920年代の時計ですが
この時代は まだ アールヌーボー様式が流行していたようです。
1920年後半~1930年になると
幾何学模様が施されたアールデコ様式が主流になり
この装飾華美な アールヌーボー時計は姿を消します・・。
なにが・・装飾華美なのか?っというと・・
縁飾りも もちろん 彫刻がぎっしり彫り込まれているんですが
文字盤の中央・針の部分 に 花の模様が彫り込まれているんです。
中央の部分・・浮き彫りになっている柄 分かりますか?
これは・・この時計だけでなく
この時代のアールヌーボー様式の時計には
ほぼ すべての時計(メーカーやブランド関係なく)に 施されています。
蓋の開き方も 特徴的。
ケースが片方 蝶番でつまっているため”クラムシェル(貝殻)”と
呼ばれています。これも アールヌーボー時計の特徴。
そして・・
分かりにくいですが・・時計の側面(厚みの部分)
ここにも ぐるりっ一周 彫刻が施されています。
これも この時代・アールヌーボー時計の特徴。
さらに・・
分かりにくいですが・・時計の裏面・・ここにも
裏蓋の縁に ぐるり 一周 彫刻が 彫られています。
これも この時代の時計の特徴。
さらに・・尖がった三角のブルーのリューズ。
これも 同じく どの時計も このリューズが使われています。
光が当たると ブルーが透けて美しい。
とにかく・・
見えない部分 人の目が届かない部分へのこだわりがすごい・・(苦笑)
ちなみに・・これだけ 手の凝ったこだわりの時計。
ケースも 14Kやホワイトゴールドなどが使われ
磨きなおせば キレイに光り輝くっと思うんですが
動かない・汚れている・・それだけで
なんと・・
3000円以下・・なんですよ(泣)
物の価値って・・なんなんでしょう??
そして・・この時代の時計は
見えない内側の ”機械”にもこだわっています。
一般的に
歯車などの摩擦が生じる部分には
”受け石””と呼ばれるルビーなどの”石”が使われています。
見えますか?
縦に並んだ・・赤いルビーの石。
その緻密さ 美しさ・・。
以前、ある番組でスイスの高級時計ブランドの工房が取材された際に
機械の精密さと美しさに驚いたリポーターが
その若き時計職人に
「なぜ 見えない 時計の内側(機械)にこだわるのか?」っと質問したところ
その工房の若き天才時計職人は
「この時計をみた(他の)時計職人を 驚かせたいからだよ。」
っと答えていました。
時計は、何年も何十年も 受け継がれていく
いつか 自分が亡くなったあと 誰かが この時計の修理をしようと
時計の中身を見た際に
自分が作ったその時計の”精巧さ・美しさ”で
その時計職人を
・・驚かせたいからだと。
確かに・・
時計の機械の中身って 時計をはめる側の人間は
なかなか・・見ることができない。
その時計をはめる 持ち主に対して
「この時計は こんなに凝っているんですよ。」っとアピールするためではなく
その”いつ””誰”かもわからない
どこかの時計職人に
「うわっ!これ作った時計職人・・すげぇ・・。」っと
言わせるためだけに
”今” こだわって作っているんだと。
時計職人のプライドが
・・かっこよすぎて 忘れられない一言です。
こんな風に言える仕事をしたい・・っと思いますね・・。
・・っで
これで 私のアンティーク時計への情熱もようやく一段落。
届いた時計を眺めながら
いろんなことを考えさせられます。
100年という月日を経たこの時計たち。
その間には 楽しいことばかりではなく
戦争もあり 疫病もあり 災害もあり・・大恐慌もあり・・
こんな辛いこと・・あんな悲しいこと・・
もう・・乗り越えられない・・というような日々もあったかもしれない・・。
それでも
時間は過ぎ・・年月は流れ・・
人から人へ・・受け継がれ
いろんな街を旅して
100年の年月を経て・・
・・海を渡って 日本に来るなんてこともあるわけで・・。
この時計たちにも
”ここにきて よかった”
そう思ってもらえるよう
これからしっかりお世話したいと思います。
つらつら・・っと 洋服に関係のない時計の話を書き連ねましたが
人の手から生み出される ”モノの素晴らしさ”
捨て去られそうな ”モノの価値”
”今”を築き上げてきた 先人たちの技術とこだわり
現代から・・この先の 未来から 排除されそうなものばかり。
ですが・・学ぶべきものも たくさんあり・・。
私の拙い表現で うまく伝わったかどうかわかりませんが
”古い”と言われる”モノ”への価値・興味を
もう一度 持っていただくキッカケになれば
幸いです。